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転生したからって、ざまぁされなくてもいいよね? ~身内との8年間、攻略対象達との3年間の駆け引き~  作者: 鶯埜 餡
12才編『攻略対象者2』

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 王都に戻るころにはだいぶ秋が深まっており、少し肌寒くなっていた。しかし、それ以外にも王都では、休暇を取る前と空気が一変していた。

「お姉さま」

 ユリウスも王都の異変には気づいたようで、そわそわしていた。

「大丈夫よ」

 アリアは弟を落ち着かせるために手を握ったが、彼女もまた震えていることにユリウスは気づいてしまったが、あえて何も言わないでいた。


「まず、手始めに何故私を?」

 王宮に戻ったアリアは、到着後すぐに王妃の居室に呼ばれた。そこには国王夫妻、王太子、第二王子、ミスティア王女、そしてなぜかクロード王子がそろっていた。すでに降嫁したエンマ王女は呼ばれてはいないのか、その姿は見当たらず、また、次期王妃となりうるであろうベアトリーチェもまたこの場にはいなかった。この面子の次に呼ばれるとしたら彼女か王太子の婚約者であるベアトリーチェだ。しかし、ベアトリーチェが呼ばれなかったのは、この先、この婚約が破棄される、という可能性もありうるとも取れた。最初にそのことに思い当たったアリアは、少し身震いを感じた。

「一つ目は其方が非常に王家と近い血筋であること、二つ目は次期国王であるクリスティアンの表側を守れる可能性があるからだ」

表側(・・)ですか」

「ああ」

 確かに、母エレノアは国王の従妹であり、時期が時期ならば彼女は王族として遇されてもおかしくないはずだ、が。

「それはおかしいでしょう。でしたら、エンマ様もお呼びしなければならないのでは」

 と、アリアは言ったものの、それを言うと同時に、『呼ばなかった』のではなく、『呼べなかった』とみてしかるべきではないだろうか、と思った。

「呼べなかったのだ」

「呼べない、となると、もしかして、セリチアと何か」

 エンマ王女の嫁ぎ先であるピレッツ辺境伯はセリチアとの国境に位置する領地を持っていたはずだった。

「ああ。つい数日前に、外交官として来ているクロード王子の懲戒帰還命令と、向こうの国王から直々に、クロード王子の兄の王太子とミスティアとの婚約話が持ち上がっているのだ」

「え」

 国王の言葉に少し固まった。本当かどうかはわからないが、確かに異母兄である兄との確執から、クロード王子はリーゼベルツに左遷されてきた、と聞く。その彼が帰還命令を出された、となると、

「まさか、王太子派による内乱…」

 アリアはこの二年間で、こんな王族の面々が集まる事態を見たことがなく、ありえないであろう状況に頭が痛くなった。

「そうではない。まあ、最近は生粋のセリチアン主義による政策がとられているおかげで、王太子派による内乱一歩手前、というところなのだが、向こうの宰相のおかげで何とか平衡を保っているらしい」

 しかし、最悪な事態は免れないであろう。また、セリチア国王の掲げる政策やクロード王子派の行動によっては、リーゼベルツも甚大な被害を免れない。

「ちなみに、ここ最近のクロード王子の行動もなぜか、向こう側に筒抜けらしい」

 国王の続けての発言に、アリアはとうとう来たか、と思った。

「王子は心当たりがありますでしょか」

 クロード王子に尋ねてみたものの、彼は何も言わずただ首を横に振った。王宮やそれに連なる国事館勤務の侍女はかなり厳重な身辺調査を行われるので、万が一不審な動きでもしていたら、すぐに捕まるのは間違いなかった。となると、宰相級の重鎮か滞在している館に勤めている事務官たちか。アリアは考えを巡らせたが、答えは出なかった。


「アリア姫。あんたが来てくれたおかげで、僕の行動はまとまった」

 クロード王子はアリアが考えていたところに、そう言った。

「ディートリヒ国王陛下」

 彼は国王の前に跪いた。頭を垂れて、

「一度、僕はセリチアへ戻ろう、と思います」

「正気か」

「分かりません。でも、この一年半の中で、リーゼベルツをセリチア(僕たち)のせいで戦火さらすわけにはいかなくなったので、たとえ僕の身に何が起ころうとも、一度戻らなくてはなりません」

 クロード王子はやけにきっぱりとした言い方をした。

「そうか」

 国王はしゅんとうなだれていた。しかし、もう一つの要求があることを思い出していた。

「では、ミスティアの件はどうする」

「お父上、騎士団から腕の立つものを数人、ガザードの私兵から女性騎士を数人つけることはできるのでしょうか」

 国王の言葉にクリスティアンが即座に、尋ねた。

「それをつけてどうする」

 国王は彼の提案に、肯定も否定も取らなかった。

「まだわが国では、ミスティアは成人前。成人前に無理矢理させようとしたとした場合、うっかり間違って返り討ちにしても問題ありませんよね、クロード王子?」

 クリスティアン王子の目は笑っておらず、かなり怖かった。

「ああ、確かにセリチアでも、未成年の場合は互い(・・)の同意と親の了承がなければ、犯罪になるな」

 クロード王子もクリスティアン王子と同様の笑みを浮かべた。

「なるほど、その手か」

 国王の一言によって決まったものの、秋の狩りがある、という事で、それが終わったのちに、セリチアの件は実行することとなった。

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