↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生したからって、ざまぁされなくてもいいよね? ~身内との8年間、攻略対象達との3年間の駆け引き~  作者: 鶯埜 餡
11才編『フレデリカ3』『攻略対象者1』

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

37/198

15

15

 それから、アリアとクリスティアンは互いに言葉を交わすこともなく、ただ人々の踊る姿を見つめていた。アリアは久しぶりの社交界、という側面でこの夜会には出席している。普段なら適齢期間近の王族の隣というものは、同じくらいの年頃の娘を持つ貴族連中にとっては、格好の売り込みの場(戦場)なのだが、『スフォルツァ公爵令嬢』が隣にいること、そして、その家は国王の元愛人の実家であることを鑑みて、誰も近づくことが出来ず、ただ、遠巻きにしか見ている人はいなかった。

そのため、アリアにとって『王太子の隣』という場所は、貴族たちの観察には格好の場所でもあった。なので、喩え恋愛感情には至らなくても、彼に感謝はしていた。

 彼女は近くに王太子はいるものの、一人でじっと全体図を眺めるような状態を保っていた。すると突然、王太子からドレスのフリル部分を引っ張られた。

「なあ」

「何でしょう」

 アリアは、すぐさまフリルの部分から彼の手を叩き落とすと(もちろん周りからはそう見えないように慎重にやっているが)、王太子を少し睨めつけながら、言った。

「あ、すまん。あ、あのドレスの女性は誰か知っているか」

 彼の視線の先には数人の男女が話しており、その中にはベアトリーチェもいた。

「その中の何方の事ですの」

アリアは耳をそばだてている連中に聞かれまいと、極力唇を動かさずに小声で言った。当然、社交的な笑みは浮かべたままである。すると、クリスティアンは少し赤くなりながらも、

「あのピンクのドレスの女性だ」

 アリアはその瞬間に、クリスティアンのクリスティアンルートでの一目惚れ(破滅フラグ)だという事に気づいた。だが、今のアリア(悪役令嬢)は違う。そう自分に言い聞かせて、アリアはある提案をした。

「クリスティアン様、もう一曲踊りませんか」

 口調はにっこりと言った。しかし、貴族連中に背を向けた瞬間に、『踊りなさい、話がある』という視線を向け、強引にダンスのフロアに引っ張っていった。周りにいた貴族は、わぁとか、きゃあ、とか、さすがはスフォルツァ家令嬢、やり手が汚い、とかイロイロ聞こえてきたが、アリアはまるっと無視させてもらうことにした。


「どういうつもりだ」

「貴方、あの娘に一目ぼれしたんでしょ」

 きっぱり言ってやると、少しむくれて、だから何が悪い、とクリスティアンは言った。

「お前は俺の事を単なる政治の駒だと思っていないか」

「多少は。でも、基本的に王家も上位貴族の家も政略的な結婚はしても、きちんと当人同士の意向も考慮する」

「だから、お前はそれを逆手にとって、俺との婚約話を無かったことにしようとしているだろう」

 クリスティアンは、アリアが思っていることを正確にくみ取っていた。

「そうね。私が役人として働けるような環境にしてくださるんでしたら、あの子を紹介してあげてもいいわ」

 アリアは半分冗談交じりに言った。そうしてくれると、アリア・スフォルツァ(自分)の破滅フラグは大きく回避できるからだ。

 さすがのクリスティアン王子も一瞬詰まったが、いいだろう、と言った。


 その後、間もなくして夜会はお開きとなり、それぞれの屋敷へ帰り始めた。

「さあ。アリア、帰りましょう」

 母、エレノアがいつの間にか近くにきており、王太子や国王夫妻へ挨拶を済ませ、帰宅することにした。帰りの馬車の中で、

「どうでしたか、王太子とのダンスは」

「全くね」

「全く?」

 エレノアは娘の言葉に目を見開いて聞いていた。

「上手いのはうまいのですが、やはり私の趣味には会いません」

 アリアのさす『趣味』というものがわからなかったが、とりあえず、エレノアはそう、とだけ言って、しばらくこの話題に触れないでおこう、と思った。


 帰宅するなり、アリアは王妃の元へ届けてもらうため、一通の手紙を書き、セルドアに直接届く鳩で運んでもらった。数日後、彼から『わかりました。お伝えさせていただきます』とだけ、書かれた手紙が返ってきた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
fc2ブログ『餡』(番外編などを載せています)

鶯埜 餡
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。