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30話到達~テンションとノリで書き始めたものだったので、ここまでくると思っていなくて驚いています。
読者の皆様に感謝です。
今回は、王太子と攻略対象キャラが出てきます。
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「それはどうしてですか?」
それぞれ固まる中で、素早く立ち直ることが出来たのはアリアだった。もともとこの婚約の話に大した利益を見いだせていなかった彼女は、開口一番、クリスティアン王子に尋ねた。
「うっ」
詰まるなよ、と心中で突っ込んだ。お前婚約の話を無かったことにしたいのではないのか、とアリアは思った。そんな彼女から向けられる視線に負けたのか、
「それは」
何か恥ずかしがっているのか、王太子は下を向いたが、意を決したように、アリアを見て言った。
「それは、おまえが生意気だからだ」
「は?」
アリアは一瞬変な声を出してしまった。
クリスティアンはそんなアリアを見て、一瞬しまったという顔をしたが、すぐにその表情を引っ込めて言った。
「いや。だから、女のくせに政治に口出しなんて」
ああ、そういう事か、とアリアは納得した。恐らくはあの女と同じように見られているのだろう。
「じゃあ、殿下にもう誰かを排除できる力――正確に言えば、『王太子』や『王家』の力を持ってせずに個人の力はありますでしょうか」
アリアは静かに問いかけた。彼は答えなかったが、わずかに首を横に振った。
「ならば、喩え女であっても、多少の口添えは必要だと思いますよ。もちろん、誰かのように度を過ぎた真似はよくないかもしれません。ベルシュやリエールのように他国に滅ばされるでしょう。しかし、私は母の手伝いをしたまでで、むしろ王太子殿下からは感謝されてもよいと思うのですよ」
国王夫妻が同じ部屋の中にいる中で、そんな言葉を言ったら、普通は不敬罪の現行犯ですぐさま牢屋行きだ。しかし、張本人たちは何も言わなかった。特にセレネ伯爵のことがあったのだろう、と不穏な言葉を言いながらも冷や汗をかいていたアリアはそう思った。
「なので、国家を揺るがすほどの力は持っておりませんよ」
アリアは王太子の近くまで来た。
「これ以上お疑いになるようでしたなら、今度の王宮夜会でそれを証明して見せましょう」
そう言いながら、見上げつつ持っていた扇で口元を隠して微笑んだ。王太子はそれ以上何も言わず、口をパクパクさせていた。
国王一家との会談は今度こそ終わり、一行は帰途に就いた。
「貴女は何事も派手にやらかすんですね」
クレメンスは非常ににこやかな笑顔で言った。もちろん、目は笑っていない。
(怖い怖い)
アリアはこれだから地獄耳は、と内心毒づきながらも、表面上は笑顔で、
「ええ、王太子殿下の間違いに指摘いたしました」
と、言い返した。
「だからと言って、アリア、相手は王族よ。いくらあなたが優秀な侍女で公爵令嬢だからと言っても、さすがに不味いわよ」
エレノアも苦言を呈した。この中で様々な状況を分かっていないのは、ユリウスだけだったが、誰もそれを指摘する者はいなかった。
「もちろん、ある程度はシミュレーションしておりました。しかし、どれだけ王家は弱くなったのでしょうか」
アリアの呟いた言葉に誰も反応しなかったが、ユリウス以外の二人ともが目を逸らしたことから、彼らもまた、同じ気持ちだったのはわかった。
一日ぶりにスフォルツァ家に戻り、王宮に上がっていないリリス、マチルダとセレネ伯爵一家を迎えるためにセレネ伯爵の家へ空の馬車をやった。
しかし、セレネ伯爵夫妻はやってこなかった。
『私たちは我が家に戻ります。ベアトリーチェだけ侍女として並大抵の伯爵家にそん色のない花嫁修業をさせてください』
と書かれた手紙を見て、案の定ね、とエレノア、アリアは思った。
そして、数日後。だいぶ以前よりはおとなしくなったリリスは淑女教育、ユリウスは文武共に上達するよう座学はバイオレット氏からは文官向けの、クレメンスからは武官向けの教育を受けることになった。しかし、クレメンスは武官向けの教官としては向いているのだが、あくまでも座学のみ、だ。彼は、過去に何らかの怪我を負っているらしく、実技には向いていない、という事で、クレメンスが拾ってきたという少年が相手としてくることになった。
「あなた、は――」
その少年を見た時、アリアは気づいた。
ウィリアム・ギガンティア、『ラブデ』内の攻略対象の一人で、のちの平民宰相、だと。
「初めまして、アリア・スフォルツァ公爵令嬢」
彼はにっこりと笑った。済んだ蒼色の眼が美しい、と思ったが――
アリアはそれをされた瞬間にウィリアムの頬を平手打ちし、にっこりと微笑んだ。
「あなたもマナーを学びなさいね」
彼はいきなり初対面でアリアの肩を抱き、頬に口づけたのだった。
11才編は内容盛りだくさん?となっておりますが、(たぶん)夜会がターニングポイントとなります。
以前、攻略対象者が2人出てくると言いましたが、どこかのドラ息子(ゲーム内)以外は出て来ることを完全に忘れていました。すみません。





