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転生したからって、ざまぁされなくてもいいよね? ~身内との8年間、攻略対象達との3年間の駆け引き~  作者: 鶯埜 餡
11才編『フレデリカ3』『攻略対象者1』

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 一方、屋敷組はスフォルツァ領へ行って―――いなかった。


「どういうことですの」

 王都の近くにある埃っぽい屋敷にたどり着いてから、リリスは何度も喚き散らしていたのだが、アリア、エレノアは彼女に構わず、中へ進んでいた。

「申し訳ありません」

 平身低頭するのは、この屋敷の持ち主で、ここ数年この屋敷に行っていなかった、セレネ伯爵だった。

「気にすることはなくてよ」

 エレノアは多少、鼻と口元を押さえつつも大して文句を言う事もなく中へ進んでいった。アリアも埃っぽさから身を守るためにハンカチで十分に抑えていた。

(前世で『涼音』がアレルギー体質を持っていてよかったわ)

 ハウスダストに過敏だった過去(・・)を思い出しながら、屋敷の中を見回していた。

「ここだったら、数日間は持つでしょうか」

 エレノアとセレネ伯爵にそう確認した。

「ええ、そうね。この屋敷の管理人である執事さんが見つかればよいのだけれど」

「どういう意味ですか」

 エレノアが言った言葉にセレネ伯爵は首をかしげた。

「ここ数年貴方たちは住んでいない。だから、急に火が付けば、この近辺の人たちは誰かが不法に侵入してこの屋敷で暮らしている、という悪い噂を立てられやすくなるわね。だから、それを防ぐためにも、執事さんを探して、『私たち』に譲渡したという契約を作ってもらい、近辺の人たちに噂を流したいのよ」

 アリアとエレノアは全く同じことを考えていた。そう3人が話している間にも、リリスだけは、もっときれいな屋敷に行きたい、フレデリカ叔母様のところに匿ってもらいたい、などと喚いていた。


「いい加減になされたら、リリスさん」


 一番初めに痺れを切らしたのは、エレノアでも、アリアでもなくベアトリーチェだった。

「あなたは最初に会った時から、気に食わなかったんだけれど、何様のつもり?仮にも公爵家次女である私に向かって、どのような口の利き方をするのかしら」

 リリスは突然反論してきた相手、ベアトリーチェに驚きつつも、言い返したが、何せ彼女の分が悪かった。

「あなたが、それを言える立場なのですか。よく考えてください。最初にお会いした時にあなたは家族以外の人に会う態度がなっていなくて、それを注意されたエレノア様に対してどのような態度取ったか覚えているのですか」

 ベアトリーチェはリリスに対しては敬語を使うという配慮(・・)を見せながらも、思いっ切り負けじと言っていた。

「あと、アリア様を比較の対象に出されているようですけれど、アリア様はすでにデビュタントを済まされているのですよ。あなたや私と違ってね。あなたは、今年アリア様が様々なことを自ら学ばれ始めた年でもありますのに、同じようなことを自ら学ばれ始めない、とは、アリア様の時と同じ年でデビュタントは不可能ですのよ」

 ベアトリーチェは彼女自身ではなく、姉であるアリアを対照にしながらリリスの欠点を述べた。もちろん、それに黙っているリリスではなかった。

「何をさっきからほざいているのよ、あんたは。あんただって未だにその年でデビュタント出来ていないじゃないのよ。もとはあんたの父親が横領するから悪いんじゃないのよ」

 先頭にいるセレネ伯爵に聞こえていると思わないのか、大声でぶちまけたリリス。その言葉を言い終わった瞬間に、誰かが平手打ちをリリスにくらわしていた。

「いい加減になさい」

 手を挙げたのは、珍しく怒りの感情を示しているアリアだった。

「あんたこそ何も知らないのね」

 冷たい視線でリリスを見下ろすと、彼女のおびえた目が入ってきたが、無視した。

「まず、本人もいらっしゃるので、伝えときますけれど、セレネ伯爵はおそらく二重にはめられたのではないかと思います」

 アリアは一年間、王宮で侍女としてきた。なので、ある程度の勢力図は把握してきたつもりだった。

「誰が最終的な黒幕かはわかりませんがもともと、セレネ伯爵は隠れ蓑として使われるはずだったと思います。それを利用した、としか私には考えられません」

 その言葉に、一番安堵したのは娘のベアトリーチェだった。

「そして、ベアトリーチェは最初の授業で実力を見てもらったときに、マナーの講師から選択肢を与えられました。一つは、このまま一つの伯爵家(・・・・・・)として結婚するか、それとも彼女自身(・・・・)で見てもらえるようにするか。彼女は当たり前のように後者を選び、そのためにわざとデビュタントを遅らせてもらっているのです」

 アリアはベアトリーチェの行動に尊敬を抱いていた。いくら『前世』を思い出したからと言っても、アリアには少しそれができる自信ができなかった。

「だから、あんたもいい加減フレデリカ信仰をやめて、自分自身を見てもらえるようになりなさい」

 彼女の言葉に、ばつが悪そうな顔をしたが、何も言わず、それからは素直に従った。

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鶯埜 餡
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