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転生したからって、ざまぁされなくてもいいよね? ~身内との8年間、攻略対象達との3年間の駆け引き~  作者: 鶯埜 餡
11才編『フレデリカ3』『攻略対象者1』

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 新年の夜会に公爵令嬢として出席するため、一度王宮から公爵家へ戻っていたアリアは、ある日届いた一通の彼女宛の封書を前にして、悶々と悩んでいた。原因は二つ。この封書に使われていた封蝋の紋章と、そこに書かれていた内容だった。


「アリア、どうしたの?」

 母、エレノアが心あらずの状態で食事をとっている娘に尋ねた。

「今日王妃様から、封書が届いていたでしょう」

「ええ、そうね。内容は何だったの」

「ええと…」

 歯切れを悪くしたアリアに代わり、背後に控えていたベアトリーチェが代わりに答えた。

「まだアリアは見ていないのです」

 一応、形としては『アリアの侍女』のベアトリーチェは『主』となるアリアの様子に気づいていた。だが、スフォルツァ家の屋敷にいる時のみ、アリアに対して無理に敬語を使わなくて良いという契約のため、今もアリアに対しては友達のような喋り方になっていた。

「いいえ、見ました」

 しかし、ベアトリーチェが言った言葉に対して、アリアはすぐさま否定した。

「内容はクリスティアン王子殿下のデビュタントのファーストダンスのパートナーを務めろ、と」

「そう」

 案の定、エレノアの顔も曇った。

 この一年で、下級貴族でフレデリカに取り入って甘い汁を吸ってきた貴族は片づけてきたが、だいぶ蜥蜴の尻尾切りのように彼らは扱われてきて、いまだにフレデリカとその取り巻きを追い詰めるところまで行っていない。その中で、王家とフレデリカのどちらにもかかわりが深いスフォルツァ家としてはあまり目立った動きをしたくない、というところが本音だ。

「アリア、その話は断れないわよ」

 顔を曇らせたエレノアだったが、きっぱりと言った。

「分かっていますわ、お母様」

 アリアにもわかっていた。これが王妃からの『お願い』であり、王妃からの私信としては最重要扱いの封蝋が押されていたことから、断るわけにはいかない『お願い』だった。アリアは母親にこの件を話した時点で覚悟を決めていた。

「そう、分かっていたのね。ベアトリーチェ」

 エレノアは、そんな娘の態度に頷きつつ、ベアトリーチェを呼んだ。

「何でしょうか、奥様」

 彼女は驚き、普段は冷静さの裏側に隠している感情を今は表に出していた。

「あなたも今回の夜会でデビュタントです。あなたもディート伯にダンスのレッスンをしてもらいなさい」

 エレノアが言ったのはベアトリーチェの想像につかないことだった。

「え、しかし私は――」

「構いません。今回はスフォルツァ家の侍女ではなく、セレネ伯の娘として参加なさい」

 エレノアは微笑みながら言ったが、もちろんこれには少し思惑があった。彼女には申し訳ないものの、ある意味少し囮になってもらう必要があったのだ。アリアはその母親の言葉に隠された真意を読み取り、少し鬱な気分になった。

「はあ」

 彼女は納得いかなくても、主の母親であり、今は飛ぶ鳥落とす勢いのエレノアに逆らえる理由が見当たらなかったので、理性でねじ込んだ。

「じゃあ、今回は2人とも新しく衣装を作らなければならないわね」

 この場では、エレノアのみが浮かれていた。

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鶯埜 餡
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