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転生したからって、ざまぁされなくてもいいよね? ~身内との8年間、攻略対象達との3年間の駆け引き~  作者: 鶯埜 餡
17才編『救済の鐘』

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 一週間後――――


 三年ぶりとなる王宮夜会の日がやってきた。

 アリアはスフォルツァ家で準備をしており、後はアランの迎えを待つだけであった。

 アリアはすでに婚約している身であるので、アランのエスコートによって入城することとなっており、彼の指示のもとで作られたドレスを身に纏い、彼が来るのを待っていた。

 ちなみに今回は、二人で話し合ったときにアランが、

『古代ギリシア風のドレスがいい』

 と言いはったので、この世界ではどちらかというと北国の方で流行っているという、ワンショルダードレスと決まった。ちなみに、色は薄い青色であり、そのドレスの飾りとして、彼の瞳の色である緑色、小粒のエメラルドが散りばめられていた。また、一方のアランはタキシードであり、アリアの瞳の色である薄紫色のタイをするらしい。

 髪を丁寧に梳かれ、ドレスと同じようにアンシンメトリーに結い上げており、その髪飾りにもエメラルドが使われていた。


 やがて時間となり、アランが迎えに来た。今まではお針子たちのデッサンによるイメージ図しか見てこなかったが、実際に彼が見ると、すぐにアリアに抱き着きたくなった。しかし、時間が差し迫っていたので、何とかして理性を保ち、馬車へ向かった。




 王宮へ着くと、すぐに特別室に案内された。そこには、以前話し合いに参加していた貴族たちがおり、どうやら、今から何かの話し合いが行われ、情報が漏れるのを防ぐためなのだと理解した。

 そして、彼らとした話し合いは、今日の流れの確認と今後の予定の調整で、やはり、話し合いの結果について、今日は公にはせず、クリスティアン王子がまだ王太子である、という認識をつけるのだという。


 そうして、再度場所を変えて、今度こそ夜会が始まった。

 通常の王宮夜会はデビュタントの若者たちが最初に踊るのだが、今年は久しぶりの開催、という事もあり、国王夫妻、そして今は(・・)まだ王太子であるクリスティアン王子とその婚約者であるベアトリーチェのダンスから始まった。今日はまだ調子が良い方らしくクリスティアン王子は普通に立っていたが、かなりゆったりな曲を選曲したあたり、以前の通りではないことがうかがえた。

 最初の曲が終わり、四人は退いた。そして、デビュタントたちの踊りになり、まだ初々しさが残る子たちの踊りは以前の自分を思い出した。

「懐かしいね」

 アランは三年前の夜会でのデビュタントであるが、アリアはもう八年前になるのだ。しかし、どちらも三年前から様々なことを経験しており、デビュタントは遥か昔の事のように思えた。


 やがて、デビュタントたちの踊りが終わり、それぞれの貴族たちが互いのパートナーの手を取り、中央へ向かった。アリアたちも言うまでもなく、その中に加わった。二人はすでに婚約しているので、互いとしか踊らない。それは、婚約者のいる貴族のマナーでもある。

「アリア、もうすぐバルティア次期公爵やスフォルツァ公爵令嬢ではなくなる」

「ええ、そうね」

「ある意味、僕ら(・・)としては最後だね」

 アランの言葉に、そうだとアリアも肯定する。この身分で踊るのは、これが最後だった。

「精一杯楽しもう」

 アランの提案に笑顔で頷き、抱きしめることで返答したアリアだった。

 二人は今日がほぼ初めてのダンスでパートナーを組んだが、かなり息があっており、周りで見ていた貴族たちからはかなり羨望の視線が感じられた。



 そうして、全ての曲が終わり、夜会はお開きとなった。アリアとアランは久しぶりに揃って屋敷に戻ってきた。

 夢の時間は終わった。


 もう間もなく、二人にとって怒涛の日々が始まるだろう。


 そう思いながら、二人は抱き合って寝た。


 この二人なら乗り切れる。そんな思いがあったからこれからも一緒にいる相手として選んだ。いまなら、彼らはそう胸を張って言いきれた。

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