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転生したからって、ざまぁされなくてもいいよね? ~身内との8年間、攻略対象達との3年間の駆け引き~  作者: 鶯埜 餡
14才編『セリチア』

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 こうして、一連の事件は終息した。

 ヤン軍務相とグレイヴ内務相はそれぞれ証拠捏造および枢密裁判開催に関する不備について、改めて糾弾されることとなり、彼らの方がその場で捕縛されることになった。その場にいたクレメンスを含むほかの文官たちもまた、降格ないしは減給処分が下されることになった。さらに、文官だけでなく、武官もまた咎めを負うことになった。

 ちなみに、マクシミリアンはタイミングよく(・・・・・・・)現れたエレノアに引き取られて、王都のスフォルツァ家でしばらくの間休息をとることにしたのだ。


「ようやく長い二日が終わりましたね」

 すべての指示を出した後、ポールとアリアはアランを誘い、秘書官執務室でくつろいでいた。

「ええ。怒涛の様でした」

 アリアは自分が淹れたお茶を飲みながら、しみじみと言った。

「それにしても、公爵当主というのは面倒な役割なのですね」

 そこにいる人間の中で唯一公爵家ではないポールが、例の面倒な手続きについて呟いた。ポールもまた、それを知らなかったらしい。

「ええ、私も最初見た時は面倒としか思いませんでしたが、確かに理論さえ納得いけば、当たり前でしょう、としか言えなくなりました」

「そうですね。僕の場合は実際に身に降りかかってくることなので、子供のころにそう、父親から言われました。そのころはそんな制度があるんだね、とだけ思っていましたが、今思ってみると、子供の時に当主の座を受け継いでいて、何らかの事件にでも巻き込まれていたら、ひとたまりもありませんでした」

 アリアは今回のために参考にした本を読んだ時の感想を、アランは実体験を口にした。ポールはそんな二人を見て、僕じゃわからないわけだ、と遠い目をした。


「しかし、よくあんな短期間で証拠そろえられたね」

 ポールは弾劾の決め手になった資料をひらひらとかざした。アリアはそれを見て、少し首をかしげた。

「あれ、これらの書類を用意してくれたのは子爵じゃないのですか?」

「え?」

 彼もまた、アリアの問いに首をかしげた。

「子爵()王宮内に諜報員を放っている、とおっしゃっていましたよね」

「うん」

 アリアのその問いには、彼は迷いなくうなずいた。

「子爵が王立騎士団に行かれているときに、私のところに届けてくれたんですけれど。先輩の依頼でって」

 その言葉を聞いた瞬間、ポールは顔色が変わったが、それに対する答えは持ち合わせていないみたいだった。

「じゃあ、誰が――――」

 アリアはそんな彼の様子に、絶句した。





 アリアはもやもやとした気分であったが、うだうだと考えていてもしょうがないことだと思いなおし、今日のところはいったんスフォルツァ家に帰ることにした。マクシミリアンの見舞いもあるので、あまり重くないお菓子を買って、帰途についた。

「はあ、あれは誰なんだろう」

 と呟いた瞬間、

「使ってくれたんだね」

 と、背後から聞き覚えのある人に声をかけられた。アリアが振り向くと、その彼はにっこりと笑った。

「――――――っ、あなたは」

 灰色の髪を持つ彼―――ウィリアム・ギガンティアは文字通りの黒装束で往来の中央に立っていた。

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