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転生したからって、ざまぁされなくてもいいよね? ~身内との8年間、攻略対象達との3年間の駆け引き~  作者: 鶯埜 餡
14才編『セリチア』

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 アリアはマクシミリアンに会うため、そして軍務相ヤンと対峙するための切り札を有効(・・)にするため、国王に謁見する手筈を整え、母エレノアもそれに同席してもらうように急ぎの使者をスフォルツァ家に送った。

(さて、残りの準備は―――――)

 ジョルジュはスルグラン国へ、ポールは王立騎士団へ交渉しに行った秘書官の執務室は誰もいなく、非常に心細かったものの、彼女には彼女なりにしなければならないことがあったため、感傷に耽っている暇はなかった。

(本当はこの方法をとりたくはない。でも、綺麗なだけの自分ではもういられない)

 アリアは『相原涼音』として生活していたころでは絶対考えられない行動をとる予定であり、そして、それがどこまで影響を及ぼすのかがわからなかった。

 特に自分が悪役令嬢としての生活を送っているのならば。

 しかし、もう『ラブデ』というゲームの世界は崩れている。すでにフレデリカ(悪役の一人)は王宮を追放されており、ベアトリーチェ(ヒロイン)は王太子と婚約までしている。だから、これ以上この物語(『ラブデ』)は進むことはない。だからこそ、アリアはスフォルツァ家の娘(公爵家の一員)としての行動をとることができる。

 もし、ベアトリーチェが婚約をしていなかったら、そして、彼女が現れていなかったらこんな行動はとれなかったんだろう、そう思いながら、彼女は自ら作成した今回の計画案を見直した。






「どうした」

 アリアは数刻後、国王の謁見室にいた。そこには急いで呼び出したエレノアの姿もあった。焦って謁見を申し入れたアリアの様子に、国王は全く驚いていなかった。


「国王陛下、単刀直入に申し上げます。今すぐ(・・・)私がスフォルツァ公爵家当主代理という証書をいただきたいです」


 アリアはこの前の夜会で来たドレスに似せて作ったドレスを着て、謁見に臨んでいた。

「なるほど。其方も動くという訳だな」

 国王は穏やかにそう言った。

「はい。オルニア卿はすでにスルグラン入りをしており、マッキントン卿も騎士団との交渉に当たっています。もちろん陛下の秘書官である以上、陛下の執務の補助がメインですが、この件を放っておくわけにはまいりません。どうにかするためにも、今の『公爵令嬢』という身分では成せないことが多すぎます。ですので、『公爵代理』という身分が必要です」

 アリアは国王の目をしっかりと見た。国王とここまで近い距離で話すのは、実はあの襲撃事件以来の事だった。しかし、こうなってしまった以上、過去のことを引きずるわけにはいかなかった。アリアの発言に、

「なるほど」

 国王は頷き、少し考えるそぶりを示した。やや間があって、エレノアと無言で頷きあい、

「まあ、其方を巻き込んだのはこちら側からなので、文句は言えまい。すでに其方の当主代理就任は決まっておった。存分に掃除(・・)してくれ」

 と言った。アリアはその言葉の意味をよく考え、

「承知いたしました」

 深くお辞儀しながら言った。



 国王の謁見後、執務室に戻り過去の資料から必要な資料を集め、今後の流れに必要な事項を書き連ねていった。

(たぶん、ヤン軍務相はマクシミリアンの処分を早期かつ極秘に望む。だから公開裁判を開くようなことはせず、おそらく枢密裁判を望むでしょう)

 通常の裁判は司法官と法務相、法務の文官数名からなる公開裁判だ。『公開』と名がつく通り、一般人でも立ち入りが出来るので、大きな事件の裁判では傍聴人の群衆が多いと聞く。一方、枢密裁判は、機密事項流出の可能性や国を揺るがすような可能性がある事件を審理する裁判だ。公開裁判と違って、一般群衆を立ち入れることが出来ず、ポール曰く先王の時は盛んにおこなわれたと聞くが、現王の時代になってからはほとんど行われていないらしい。

 だが、今回は軍務相が主導に行っているがために、そして何より国民への動揺阻止のために枢密裁判になるだろうと予測された。枢密裁判になったときの対処法をメインに書きながら、公開裁判になったときの対処法も同時に書き上げたのは、国王に謁見してから5時間後、日付も変わるころだった。



 翌日――――

 果たして、マクシミリアンの裁判はその日の午後、枢密裁判で行われることが決まったと、ポールによって派遣されていた諜報員によってもたらされた。

 アリアはその事態に内心ガッツポーズを決めながら、早急に対処法をまとめ上げた。本来ならば招かざる客である彼女は、侍従たちに紛れ込む予定であり、最悪『国王からの要請』という大義名分をかざして議場に乗り込むつもりだった。そのために戦闘用意(・・・・)も怠らない。そうして完成された彼女は、どう見ても王宮にいるありふれた侍従の姿だった。証書類を隠していれば、いつも会う侍女たちの中にも彼女だとわかる人はいなかった。


 そして、乗り込んだ枢密裁判の議場では、すでに重鎮たちの大半がそろっていた。

 その顔触れの大半は、軍務相ヤン、内務相グレイヴをはじめとするジェラルド殿下派と呼ばれる貴族が十数名ほどであり、その筆頭でもある現宰相もまた出席していた。しかし、その中でなぜかクレメンスの姿も見つけたが、侍従として出席しているアリアの姿には気づかれず、彼女からも話しかけることは無理な位置に座っていたので断念した。その席順に対して、少し臍をかんでいたのだが、

「何故ここにいるの?」

 という隣からの声にアリアは、現実に戻った。

「別にいてもいいとは思うけれど、坊ちゃん(・・・・)には刺激が強すぎると思うよ」

 彼―――ウィリアムはそう言った。アリアはただひたすら変装を見破られていたので、驚きすぎて返答が出来ずにいると、彼は続けた。

「ちなみに俺は法務の仕事のために見学という名目で、あのマクシミリアンという公爵の形式的(・・・)な弁護を引き受けている。

 おそらく坊ちゃんが来たのは2つの理由からだろうけれど、タイミングは結審して、判決の言い渡す前がいいと思うよ」

 彼はアリアの目的を瞬時に悟ったらしい。

「後、補佐官も出席しているけれど、今回はあんまり役に立たないと思うから、気を付けてね」

 彼はそう言うと、いつものように静かに去って行った。


 そして、定刻になると全員が席に着き、裁判が始まった――――

前半部の裏話を自サイトの方で公開しております。

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