第一章12 『辿る足跡』
あと2話で1章終了です!
ほんと、うまくかけて無いですが、それでも、
伝わって、わかってもらえたら――幸いです。
「……」
「クロ……」
「……」
互いに『ミニマム』に目線を向け、その数値に唖然とする。
――<『RENEWWAL』…7>
「明らかに……」
「減りすぎね……」
「……」
自然で不自然な解消に頭をかしげる三人。
クロの後悔に問題は無い、機械の故障かと思えばそれも違う。
――なら、いったい……。
「ただ、わかることと言えば……」
呟くレイ。
腕組みしながら考え込んでいるレイに、二人は目をやる。
「『RMI』で『Delete』により消せるものは、ある程度軽く、一部何かにより解消されたもののみ。そして……」
クロの後悔は全て重いものだ。
たとえ、ほとんどがくだらないものからできた後悔であったとしても、それは本人の受け取り方による。
だがこれは、明らかにおかしい。
――解消されたとしても……、
『ミニマム』に表示されるものはまだあった。
点滅しながら画面にそれぞれ違う表示がされていく。
「<『ORIGIN』…303>、が表示されることはわかります。それで……」
表情が険しくなるレイ。
腕組みの中、人差し指を動かす姿には少しの苛立ちがあった。
――<『Delete』…296>
「〈『Delete』…296〉。『Delete』により消された数値が表示される、というのもまだわかります。問題は……」
繭が上がり、額にしわを寄せる姿に、苛立ちが増したことがわかる。
――〈『UNCERTEINTY』…10〉
「何ですか、これは……?」
――何ですかこれは!
『ミニマム』に新たに表示されたものに、疑問符を浮かべるアオ。それと同時に、心の中で同じ言葉を叫ぶレイ。
「……」
彼女等の反応に、無言で立ち尽くすクロ。
その姿にレイは苛立ちの視線を送り、クロはビクリッと焦りを浮かべるのだが、その反応に呆れ、ため息を漏らすレイだった。
――私も知りたい……どうしてこうなったのかをねぇ!
「『UNCERTEINTY』は不確定要素という意味。つまり、クロの後悔の内、10個ほど測定不能の後悔が存在するということ……」
真剣な眼差しで語るレイの姿に黙然と聞く二人。
同時に、空気の冷たさと静けさ、話の重要性とその重さを実感していた。
いろいろ不思議に思う部分もある。
それでも、大事なことなので唾と共に飲み込む。
一瞬の間なのに、危機迫る感はこの空気の重さが示していた。
焦りと冷や汗が伝う中、少女の声が耳を通っていく。
「それは、クロの後悔の重さを現す……。7つは、一つ目の『AGAIN』と同等かそれ以上の難易度の後悔の数を示し、後の不確定要素である10は、その7を含め、その『AGAIN』の途中途中に3つほどのハプニングが挟むということを現している……。極端な話、クロの『AGAIN』の難易度が増したということですね」
「……」
レイに満面の笑みで答えられ、クロに驚きはあった。
それでも、固まって表情にはでなかった。
※
「……」
「どうしますか、クロ?」
先の会話で思い当たる節により黙り込むクロ。
周りから見れば考え込んでいるようにも見えるが、今の場合はどちらでもあるだろう。
「『どうする』つってもなぁ……」
頭を掻き、「よし!」と決意の笑みを浮かべる。
「どのみちやらなきゃいけないんだ。腹を括るしかねぇだろ」
「そうですね」
クロの答えに『冷静な対処だ』という反応をするレイ。
アオはアオで「それは、そうですけど……」と少し不安気のようだったのだが、
――それに、
クロは心の中で秘かに思う。いや、確信とでも言うべきか。
恐らくだが、あと『7つの後悔』というのには、覚えがある。まぁ、あって当然なのだろうが。
予想され、そこからわかること。
それが、とてつもなく酷いものだということはクロが一番よく知っている。
予測不能の10の後悔。
ここからは、思い出したくない残酷さが待っているのも確か。
『あれ』をもう一度味わえというのも乗り気はしない。
むしろ、やりたくないまである。
――それでも、
やらなくちゃ変わらない。
守れなかった、失った、取り戻したい。
そんな大事なものがあったから。
本来ならどうでもいいと思っていたものたち。
――全く、お前らのせいだからな……。
一人、心の中で呟くクロ。
友へと向けた、宣戦布告のような、そんな感謝を。
「……変わるかな。……変わると、いいな……」
一人呟いたつもりが、二人にも聞こえたらしく、笑顔で返される。
「きっと、変わりますよ」
「頑張れば何とかなるとは言えませんが、この場合、何とかしたいなら頑張るしかありません」
レイは優しく微笑むのに、アオが太々しく述べる言葉にクロは「ひでぇな……」と苦笑する。
「まぁ、それでも……事実なんだけどな」
二人の少女を見る。
何なのかわからない気持ちが浮かんでくる。
新たなる決意、したつもりだった覚悟。
それぞれを胸に抱き、立ち上がる。
何度でも、また何度でも立ち上がる。そんな意を浮かべて。
打開策はある。心配もある。
また、崩れ去ってしまうかもしれない。
そんな不安が過ぎるし、なってしまったらどうしようとも思う。
――でも、
何だが大丈夫な気もする。二人の少女の顔を見ていると。
――全く、だらしないな。他力本願とは……。
心の中で呟いたつもりだった。
だが、彼女等は読んでいたのか、
「いくらでも頼ってくださいね!私たちはクロの味方ですから!」
「何度でも倒れなさい。その分、何度だって背中を押しますから」
「……っ」
二人の言葉に驚きの表情を浮かべるクロ。
「ありがとう……」
彼女等の言葉に少しの涙を溢して、クロは笑顔で感謝する。
まだまだ始まったばかりの冒険。
危なく、帰って来れるかもわからない、そんな感じの。
それでも少年は旅をする。
自分のため、この子たちのため、友のため。
重く、険しい道のりを――。
――少年は辿る。
重く、険しい道のりを――




