そのスライムは。
「大丈夫だよモモコちゃん、だから投げて!」
「全然大丈夫じゃないよ!?」
「そんな!?」
ショックを受けるおっさんに私がショックだよ!
木陰にいるスライムが不思議そう(多分)にポヨポヨしている。
「わかったモモコちゃん。おっさん行くよ!」
「おっさーん!?」
何も分かってないよおっさん!?
ピョーン!とおっさんは私の肩から飛び降りると草むらに消えた。
「あわわわ」
おっさんを守らなきゃ!
スライムに食べられちゃう!
スライムもいつの間にか消え、私は手足を地面に着けておっさんを探した。
「おっさんおっさん、ひ、ひ、…ひ~ん!」
邪魔な雑草を引っこ抜き、掻き分けて、おっさんを探し続ける。
視界がボヤける…手足が思うように動かない…
おっさん、どこに行ったの!?
「モモコちゃん?」
「おっさん!?」
おっさんは何故か私の真後ろにいた。
「大丈夫?あぁ、こんなに傷だらけになって…」
「わあァァァァァァおっさーん!?」
「ぷよん!?」
私はおっさんに向かってダイブした。
そしておっさんを力の限り抱き締め、草むらをゴロゴロ転がる。
「ぷよぷよぷよぷよ!?」
「わぁァァァァァァおっさん良かったぁぁぁぁぁ!」
「ぷよーん!」
「…」
おっさんの鳴き声が、
お か し い !?
バッと腕の中を見ると…
スライムの中におっさんが、いた。
「…」
「モモコちゃん!?」
私は気絶した。
「」
「ぷよ」
「おっさん昔スライムをテイムしていた事があるんだよ」
フッ、フッ、
ピョン、ピョン、
「」
「ぷよぷよ」
「スライムはね食べ物で進化するんだよ。仲良くなればとっても頼りになるんだよ」
フッフッフッフッフッ
ピョンピョンピョンピョン
「」
「ぷよぷよよよよん!」
「だだだから、みみ見付けて、テイムしたくて、しし心配かけてごめんね、ももモモコちゃん」
ブンブン!ブンブン!
ピョンピョンピョ~ン!
「うわぁぁぁぁぁおっさん返せザコモンスター!?」
「ぷよん!ぷよん!」
「きゃぁー!?」
「うがぁぁぁぁぁ!?」
「ぷ よ ん !!」
「やめて二人とも~!?」
スライムがおっさんを離さない。
むしろ私からおっさんを守ろうとして、逃げ回る。
何 故 だ !!
こうしてスライムは私達の仲間になった。
が、
私にとってスライムはおっさんを巡るライバルになった。