ある日、突然
ジリリリリという可愛げの無い目覚まし時計の音で目が覚めた。残念ながら小鳥の鳴き声はここからは聞こえない為少女漫画のような起き方はできない。まあ、別にいいけど。
今日も1人で、ご飯を作って、洗濯をする。1人でいると口を開く機会が全然ないんだなあなんて、どうでもいいことをボーッと考える。ふと窓を見ると、キャッキャと遊んでる子どもやら散歩してるおじいちゃん、黒く大きなリムジン…という当たり前の風景が広がる。
ん?黒いリムジン?
うんうん、待って落ち着こう。落ち着け赤城唯乃。きっとこれはあれだ。夢だ。右手で頬をつねってみる。
……痛い。
ではなんだ。あの黒いリムジンは。そしてそっから出てきた無駄に長身のイケメンは誰だ。様々な疑問がぐるぐると頭を駆け抜けるうちにピンポーンと陽気なチャイムの音が家の中にこだました。
どうしよう。開けるべきだろうか。
でも家にいるのは私1人。さすがに顔はぱっとしないとはいえ女子高生しかいない家に男の人をあげるのはちょっと…。とか考えてたのに、
「ヒイイッ 」
なんと、目の前には私より20センチは大きいだろう黒づくめの男が立っていた。