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第二十話

主人公と父を連れて、カエサレアにある教会へやって来た。

大聖堂を備える威風堂々とした教会ではあるものの、今は威圧感にしか

感じられない。


「カッパドキウス導師、今日は、教会に何のご用で?」

 教会の仕事を請け負ったことも多い俺は、顔パスで入れてもらえる

程度には、顔が知られている。

「この度、神の慈悲を乞いに来ました」

 父が応対に出ていた神官に伝える。

誰?と目を向けられたので、父と兄であることを紹介した。

俺達のただならぬ雰囲気に、何も言わずに司教に取り次いでくれた。


「我が息子、アルカディウス=パウロ=カッパドキウスが罪を得たため、

慈悲を乞いに参りました。」

 父が厳かに告げる。

ちなみにミドルネームのパウロは、主人公の洗礼名だ。

「罪ですかな?信徒パウロ、自らの罪を懺悔なされよ」

「罪?罪なんかありません。そこのカッパと無能が聖書を曲解し

始めたのです。助けてください」

 驚いた、

ゲームでのユーザーからのテオの呼び名は、無能だったとは俺も知っている。

父がカッパと呼ばれていたこともだ。

だが、同人ゲームのキャラの呼び方など、ゲームを知らない人が

知っているとは思えない。

プレイヤーが転生したのだと、確信する俺。

「導師、あなたの兄は、公式の場で父を父と呼べないほど、

愚かなのですか?」

 そりゃそうだ。

教会で司教様に拝謁する場で父を苗字の省略形もしくは、無能の

どちらかととれる発言をしたんだ。

内容以前の問題になるのは、避けられない。

「この状態もあり、兄には兄と異なる存在が憑いているのではないか?と、

私は疑っております。それが悪魔かどうかまでは、浅学の身ゆえ

わかりかねますが、本来の兄であるとは、思えないのです」

「導師の考えもごもっともです。いくらわがままに育ったとしても、

不自然すぎますな」

 やりとりに驚愕を浮かべる主人公。

それもそうか、自分が転生だとバレているとは、普通は思わないよな。

思うぐらいなら、もう少しは、自重したはずだ。

「導師、って何?話を聞いていると、まるでそこの無能が導師と

呼ばれているようなんだけど」

 ……そっちかよ。

自分の運命の話題をされているぐらい、本能で察してくれ。

「導師は、九歳の身で皇帝陛下の特許を受け、魔術師ギルドの導師に

就任した」

淡々と事実を伝える父。

「なんですって!?ゲームでは学園にも入れない無能が導師なんて、

おかしいじゃない!」

 口調も乱れているな。

ゲーム前提で暴言を止めどなく続けるアルを支配する存在。

俺以外には、何のことかわからないだろうが、悪魔憑きと判定されるには、

十分だった。

「信徒パウロの魂による言動ではないと判断せざるを言えない。聖マリア大聖堂での審問が必要となろう」

 聖マリア大聖堂は、帝都ルキウスニアにある最高神殿だ。

教会トップの案件になった瞬間だった。




 俺達は、聖マリア大聖堂に連れてこられた。

移動魔法ならすぐだけど、裁かれる身である俺は、教会の移送に全てを

委ねた。

「導師が対象でなければ、導師指名で移送依頼を出したのですが」

なんて言われても、恐縮するしかない。


 長旅を終えても休む時間はない。

ことがことだけに当たり前だけど、拘束され続けている主人公には、

不満だったようだが、誰も気にしない。


 真実の間に連れていかれ、神の審判を受けるように言われる。

神様が俺達と話をしたいと望まれたそうだ。

何の話だろう?とは思うけど、厳粛に話すしかない。


「テオフィロス、茜、おかえりなさい」

 えっと、おかえり?

茜というのは、アルを乗っ取っていた存在の名前だろうというのは、

わかるけど。

ふと見ると、見慣れない女の子がそばにいた。

彼女が茜か。

神の姿は見えないが、この空間には、明らかに高次な存在がいると

感じられる。


「茜、ごめんなさい。あなたは手違いでこの世界に来たのです。そもそも

あなたの前の身体は生きているのですよ」

 ……ってことは、生き霊が、主人公を乗っ取ったのか??

「いえ、正確には入れ替わったのです。茜の身体には、アルカディウスが

いるのです」

 口に出していない独り言に反応されるのは、普通にあり得るとは

思っていたから、どうでもいい。

でも精神交換とは。


「茜とアルカディウスの魂は、元に戻します。アルカディウスの魂は、

茜の身体にいるとわかるまで行方不明でしたが、無事見つかりました。

茜が自分に幼い頃から優しくしてくれた執事と、父を侮辱する言動を

したことで、元の身体に影響を及ぼしたことで、見つけることが

できたのです」

 茜には心当たりがあったらしく、身をこわばらせている。


「茜、安心しなさい。アルカディウスもあなたの同人仲間に、同性愛に

ついて暴言を吐いています。お互いに同じことをやっているのですよ」

 いや、それが同じってどうなんだろう?

そんなことを考えていたら、

「テオフィロス」

 俺を呼んだ後、暫く声は黙る。

「あなたには、大変な思いをさせてしまいました」

 大変な思いをしているのは確かだけど、どういう話の流れだろう?

「あなたは、賢く育ちました。そのあなたは、疑問に思いませんでしたか?」

 何のことだろう。

漠然としすぎて、思い当たることがない。

「自分がプレイしたわけでもないゲームの知識をなぜあなたは、そんなに

詳しく持っているのですか?」

 あれ?

言われてみればそうだ。

知識はあるけど、ゲーム画面の記憶は、殆どない。

妹がやっていて……って、妹の名前も顔も思い出せない。

どういうことなんだ?


「テオフィロス、ごめんなさい」

混乱する俺の側で、謝罪の言葉が響いた。

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