第十八話
父親視点に変わります。
「テオフィロス様をお連れしました。」
「そうか」
テオは、確かに私の子供のはずだ。
しかし、最近知った事実を思い起こす限り、本当に私の子供であるのか
信じがたい。
元から良くわからない子供だった。
誰も教えていないはずの魔法を使いこなしていたとわかった五歳の時から、
敢えて目を逸らしてきたのだ。
関知しなければ認識せずにすむと。
しかし、私は近隣豪族からの祝辞の手紙で知ってしまった。
テオが、新たな魔道技術を開発する魔術師に育っていることを。
そして追加で調べさせた所、魔道技術の功績で魔術師ギルドの導師となった
ことやBランク冒険者であることを知った。
本当にテオは、私の息子なのだろうか。
愛人の血筋が特殊だったのかもしれぬが、今更調べることもできぬ。
認めたくないが、私の息子の中では、半人にすぎないはずのテオが
飛び抜けて優秀だ。
覚悟を決めるしかないのかもしれぬな。
「参りました、父上」
「導師殿、良く来られた」
とても、テオを自分の息子として扱う覚悟などできぬ。
だが、呼ぶ際の不便を考えれば導師と言うのが一番ましであろう。
テオは顔を一瞬しかめたが、すぐにポーカーフェイスに戻したようだ。
自分の十歳にも満たない息子を役職名のみで呼ぶなど、最低な父親だという
自覚があるだけに、特に咎めだてはしない。
そう、相手は十歳なのだ。
社会的立場は、状況によっては、Bランク冒険者かつ魔術師ギルドの
導師であるとなると、テオの方が、一介の騎士でしかない私よりも上に
なることもあるが。
「キースさんからお聞きとは思いますが、アルカディウスのこと、いかがなされるおつもりですか?」
「まあ待て。対処を決めるには、はっきりさせなければならぬことがある」
ここで、私の覚悟を決めるために一度区切る。
深呼吸で息を整え、
「導師殿、貴殿が次代のカッパドキウス家当主となることに、同意するか?」
そう、ゾルが本格的にダメな以上、アルにと思っていたが、もし、
長子相続しないならば最も優秀な子供に継がせるのが自明の理。
しかも、アルは明らかに同性愛嗜好があり、言動も当主に向かないと
はっきりした。
ならば、テオに継がせるのが最善だ。
皇帝陛下から特許をいただいた優秀さを理由にすれば、親族達を
抑えることは難しくない。
アカデメィア学園の二人制限も、テオを通わせるために、ゾルかアルに
通わせないとするのは、多少ものを言う者もいるだうが、皇帝陛下の特許の
前には黙らざるを得まい。
「親としては、アルが罪を理解するのを待ちたいが、カッパドキウス家
当主としては、一刻の猶予もないことは理解している。早急にアルを
処罰した上で教会に懺悔し、慈悲を乞うしかないだろう」
既にに外部の冒険者に知られたのだ。
隠すのは無理だろう。
ならば、自ら動くしかない。
私が騎士の地位を失うのは避けられまいが、テオの存在を前面に立てれば、
多少は慈悲を期待できる。
助命を取りまとめれば、実力者の次代に多大な恩が売れるのだ。
利益から動いてくれる期待をするのは、無謀と言えぬはずだ。
テオに思惑を説明する。
予想をしていない方法だったらしく、動揺していたが、しばらく後に
同意してくれた。
最後にアルを説得試み、ダメなら、この案を実行することでテオと合意。
アル、昔のアルに戻ってほしい。
私とて、子供が罰されてほしくないのだ。
私が会いに行く前に目を醒ましておくれ。




