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第十三話

 九歳になった。

半月に渡った地下遺跡群の探索依頼を終え、久しぶりにカエサレアに

戻ってきた。

今回の成果で、今まで考えていなかった魔術理論も思い付けて実験の結果

上手くいったし、魔術師ギルドにレポートを提出しよう。

移動魔法用に座標を振った立体模型をつくって、その座標さえ合えば

その場所に行けると言うもの。

座標の振り方さえ統一すれば、その模型を一度は記憶してもらわなければ

ならないものの、その場所をよく知らなくても跳ぶことができる。

部屋に直接飛ばされる移動陣に部屋の名前が書いてあったのを見て、

XYZの軸を合わせれば、場所を指定できるよなと。

三次元という発想を知っている異世界からの転生者ならではの

チート発想だと俺自身は思っている。


 割りと簡単な理屈だから、既にしっかりした論文があるかもしれない

けど、書いてみてからの審査次第だな。


 意気揚々としながら、カッパドキウスの屋敷に帰ったところ、玄関で

いきなり告げられた。

「テオフィロス様、どこに行っていたんですか?お探ししていたんですよ」

 一ヶ月近く帰らないかも、と伝えていたはず。

九歳にそれを言われて了承する方もどうかとは思うけど、まだ探すような

必要はないはずだ。

思わず唖然としていると、

「アルカディウス様が、お倒れになられたのです!このまま目が覚めないと……」

 あれ?ゲームにこんな風に主人公アルカディウスが倒れるイベントの

回想シーンあったっけ?



 病人の前と言うことで着替えてから、主人公のもとへいく。

実を言えば、主人公とは、会話らしい会話をしたことがない。

そもそも、家族なんてたまに父に会うぐらいで、兄二人とは、すれ違った

ことがあるかどうかだ。

顔は、ゲームで見た顔を幼くした感じなんだろうけど、一目見てわかるかと

聞かれたら、無理と答えるね。


 だから、長兄のゾルディアスに

「アルが大変な時に、どこで遊んでいた。やっぱり半人だな」

 怒鳴られても、病人の前でうるさくするなよぐらいにしか思えなかった。


 ゾルもアルも、正直他人としか思えない。

家族と思うには、接触が無さすぎる。

何も言わないでいると、殴りかかってきた。

だが、当てられても痛いとすら思えないような脱力パンチ。

流石、ゲームでは無能無能と蔑み続けたテオに殺されただけはある。

「なぜ避ける!兄の制裁を受け入れない弟など、いないのだぞ」

 いや、あれを避けないのは、むしろ失礼にあたるって。


 そんなことをしていたら、父から雷が落ちた。

「アルが苦しんでいるのに、何様のつもりだ。半人は半人らしく大人しく

していろ」

 いや、うるさかったのは、ゾルディアスだけだと思うんだけど。


 そのうるささが幸いしたのか、主人公のまぶたが薄く開いた。

騒ぐわりには大事なかったなら、良かったんじゃないかな。



 ……と、この時は思っていたんだよな。

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