第十二話
八歳になった。
冒険者ギルドでは順調に依頼を成功させ、今度Cランクの試験を
受けることができる。
俺の場合、魔法がいろいろ使えるのが依頼成功の秘訣になっている。
特に、荷物お届け依頼がテレポートで一瞬で出来ることが、
依頼主からも喜ばれている。
俺指名のお届け依頼もあるぐらいだ。
歩いていったら半月かかるところに、すぐに荷物を届けられるんだ。
そりゃ、早い方を選ぶよな。
剣での実戦も何度か経験している。
とはいえ、魔法メインで剣技を補助にするスタイルになってるかな。
ゲームでのことを考えると、剣メインの戦いにしないといけないのはわ
かっているんだけど、実戦では魔法の方が使い勝手がいいんだよな。
この世界の魔法は、MP等で使用回数が縛られる訳じゃないから、剣で
戦うから長く戦えると言うものでもない。
勿論疲労から制御が甘くなるなどの弊害はあるものの、それは剣でも
同じことだ。
ではなぜゲームの舞台のアカデメィア学園では剣の方が重視されていた
かと言えば、貴族社会では魔法で決着をつけるのは美しくないと
考えられているとのこと。
利便性及び、教養の面から、魔法が使える貴族は多いが、戦いの場で魔法を
使うのはみっともないんだそうだ。
相手が使ってきたら、対抗して使わないのも愚かとされているけど、
自分から使うのは貴族にふさわしくないらしい。
馬鹿馬鹿しい話だけど、老国ならではの慣習の一つなようだ。
ただ俺は、ゲームで散々言われた学園の入学試験にも受からなかった無
能と言う評価を覆すことで、悪役に堕ちて成敗されるのを避けたい以上、
学園のやり方に従う必要がある。
魔法が万能な訳じゃないし、TPOに応じた戦い方を出来るのが
冒険者ってもの。
最近ではお財布にも余裕があるから、剣道場に通って鍛練している。
やっぱ我流じゃどうしても無駄な動きが多くなるし、他の冒険者と
一緒になると俺の年齢が年齢だけに、様々なアドバイスが貰えるからな。
人生経験は、冒険者ギルドのランクじゃ図れないし、いろいろ聞いて
役に立てさせてもらっている。
そんな充実した毎日を過ごしていたある日のことだった。
カールさんから
「そろそろ、複数日にまたがる依頼を受けても良いんじゃないか?」
俺には、複数日にまたがる依頼を受けられない理由があった。
まだ、カッパドキウスの屋敷から毎日通っているからだ。
今なら資金的には、家を借りて自立することは可能だけど、八歳を
相手にしてくれる大家がいるのか?というのもあるし、何より、
父達に説明しようがないからだ。
俺は未だにギルドに所属していることを話していない。
出来るだけ、ゲームが始まるまでは、切り札となり得る自分の能力を
秘密にしておきたいのが一番だけど、どう説明すればいいのがわからない。
屋敷では、自習以外の教育を受けてないんだ。
それがじゃあさ。
今まで、曲がりなりにも衣食住を保証してもらってきた恩はあるから、
稼いだお金を家に入れるべきと思うし、いつかは話さないと
いけないんだけどさ。
逆に言えば、テレポートのお陰で、通常は複数日にまたがる依頼を当日で
済ませてきたからこそ、今までは成り立ってきた。
Cランクになれば、そうも言ってられないのも確かだし。
とりあえずその場では保留にして、屋敷に帰って召し使い達に理由を
隠して、できるだけ丁寧に打診することにした。
「事前に伝えれば、夕方に帰らずに外泊していいですか?」
我ながら、もう少し言いようがある気がしなくもないけど、
「かしこまりました。言われた日は夕食などの用意をいたしません」
簡単に返されて正直拍子抜けした。
何でも、父から俺のことは、勝手にやらせておけと申し渡されている
そうで、犯罪等、カッパドキウス家に影響がないなら、報告不要なんだとか。
前よりも扱いが酷くなってる気はするけど、父なりの俺への愛情なのかも
しれないと思うことにする。
本当に冷遇しているなら、行動も縛ってくるかなとも思うし。
屋敷のことがクリアになった俺は、カールさんに複数日にまたがる依頼を
受けることが可能になったと報告する。
カールさんは、
「ほら、案ずるより生むがやすしだっただろう?君の場合は、元々規格外
なんだから、自分で枠を決める必要はないんだよ。勿論、リスクに対して
慎重になるのは、当たり前だけどね」
そうか、俺は家を理由に自分に枠をかけていたのか。
確かに、新たな依頼を受けられることを俺は喜んでいるし、興奮している。
枠を外して悪あがかないといけないのに、自分で枠を作っていては
意味がない。
しっかりしろ、俺。
本日でお盆休みが終わりましたので、今後更新頻度が落ちることになるかと思います。




