第十一話
魔術師ギルドに所属したことは、悪いことばかりじゃなかった。
魔術に限れば、ゲームの舞台であるアカデメィア学園よりも詳しい蔵書が
ある魔術図書館への出入りが許可されるようになったからだ。
もちろん、まだ見習いの俺は入れない区画の方が多いけど。
魔術師ギルドだけあって、本部にのみ図書館がある。
ま、必要になったら移動魔法で行くなり、貸し出しを依頼するなりすれば
いいんだから、複数の場所に分ける必要がない。
魔術師ギルドは、アカデメィア学園の生徒も、卒業してから所属する人が
多いことから、出身者に今後話も聞けそうだしさ。
冒険者ギルドの幼児コースに通いながら、魔術師見習いとしての研鑽が
始まった。
見習いとはいえ、専任の師匠がつく訳じゃない。
お金を出せば、師匠を頼むことは出来るけど、五歳児の財力を
なめないでもらいたい。
自慢じゃないけど、石貨一枚ですら、持ってないよ。
今後のことを考えると、できるだけ早く冒険者になって、金を稼がないと
魔術師ギルドでの活動資金にも困ることになりそうだ。
冒険者ギルドのカールさんに相談したら、
「せめて、幼児コースを卒業してからにしてくれ」
とのこと。
まあ、道理だと思うし、野外の活動の実技は学ばないといけないこと
色々あるから、今まで以上に真剣に授業を受けるようになった。
六歳になった。
必死に頑張った甲斐があり、冒険者ギルドのカードが発行された。
アカデメィア学園を卒業してから冒険者になる人もいるとのことだから、
俺はチートに早いな。
勿論、アカデメィア学園卒業者の冒険者は、別格扱いだけど。
規則と言うことで、俺はFランクから開始。
まあ、俺自身最初は無理のない依頼から慣れていきたいのもあるから、
異存はない。
依頼成功による功績を重ね、昇格試験に受かれば、ランクをあげることが
できる。
依頼はランクごとに分かれており、高いランクになると、帝国騎士団や
貴族が依頼主になっている依頼もある。
当然そういう依頼は、報酬も高いけどリスクも高い。
ゲームでも、卒業生が高ランク依頼を成功させて、話題になっていた
シーンがあったな。
依頼主が同意した依頼は、よその支部の依頼を予約することもできる。
受けるには、その支部に出向かないといけないけど、移動魔法が使えれば、
すぐに受けにいくことが可能だし、キャラバン護衛や荷物お届け依頼の
帰りの依頼を確保できるため、冒険者には好評なサービスとのこと。
依頼を出す側にとっても、ランクがあまり高い人がいない地方の支部でも、他支部から受けに来てくれるので、自分が都会の支部まで行かなくていい
メリットがあるし、移動依頼の報酬を安くしても受けてくれやすくなる。
タダになるよりは、帰りのお金貰いたいって冒険者は多いからね。
良いことづくめのようにも思うけど、予約したけど受けない冒険者が
出ると、依頼開始が遅くなってしまうし、地元の冒険者育成目的で
敢えて、その支部にしか掲示されない依頼もある。
俺が最初に受けたのは、そんな地元の冒険者育成用にカエサレアでのみ
募集の採集依頼。
Fランクで街の外にいく依頼が採集依頼ぐらいしかないのもあるけど、
依頼主が魔術師ギルドで話したことがあるエイクさんだったことが大きい。
あの人なら、変な目的に使わなさそうだしさ。
授業で覚えた分布や採集の仕方、付近に出やすいモンスター及びその対策に
ついて復習した上で、いざ出発。
依頼そのものは、特段何もないまま無事解決した。
ただ、依頼主であるエイクさんに
「あの依頼は、養成コースを出ていない初心者向けに出しているんだから、
幼児コースで優秀な成績を修めたテオに受けられても、困る」
文句を言われてしまった。
言いたいことはあったけど、相手はお金をくれた依頼主。
今度から、依頼主の意図も考えて、依頼を受けるようにしよう。




