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偏屈さんと一緒  作者: ロッカ
57/84

5-5 暴走の始まりです



北の廃船置き場にもうすぐ着く頃、端末からモモコの位置を示す点滅が消えた。

ガツクはレイマドの速度を落とさず背後のダイスとホクガンを振りかえる。

ガツクと目が合った2人は首を振って応えた。


(あいつ等からも消えたか・・・発信機の故障ではないとしたら犯人達に気付かれた可能性が高い。・・・急がねば)


ガツクは更にレイマドを駆った。







「・・・・日が暮れたな。」


ポツッとレイレスが零す。

廃船置き場は太陽が完全に沈み、気温も急激に下がり始めた。


「・・・ますます見つけ辛くなるわね。」

「さむっ!・・・モモコちゃん寒がってないかな。」


3人はクーザを見る。

クーザは広大な船の墓場をゆっくりと見渡した。

日が沈み夜が支配を始め、モモコを捜すのは不可能に思えてくる。

だがクーザは


「・・・フッ・・・面白いじゃないか。簡単に行き過ぎてつまらなくなっていた所だ・・・モモコは必ず見つける。僕らは誘拐犯だ。誘拐犯の側には攫ってきたものがいなければ。そして元の所に必ず返す・・・スマートにね。」


たとえどれだけの時間が懸かってもモモコを捜す事を決意していた。

レイレスはニヤッとして


「だよな。」


ティカは真面目な表情で


「誘拐犯の義務よね。」


シャッターはニコニコ満面の笑顔で


「そうだよ。このままだとかっこ悪い・・・」


同意しようとしたその時であった。


それまで遠くの方でかすかに聞こえていたバイク音が急に近くなったかと思うと・・・

ウオォオオォン!!

エンジン音を唸らせながら一台の巨大なマシンが彼らの頭上高く現れた。




そのどこかで見た事のある黒い巨体マシン


そして。


マシンを軽々と操る黒衣の男。




クーザ達は呼吸をするのを忘れた。

闇を具現化したような黒ずくめの男は、飛び越えている最中チラリとクーザ達に視線を送ったが、マシンの向きをそのままに着地した船を疾走してまた次の船へと飛び移って消えた。


「・・・・ね・・え・・今の・・・コクサ大将じゃ・・・」


男が消えた後、真っ青な顔をしたティカが目を見開いたまま皆を見渡した。


「・・・・ああ。」


こちらも夜目だというのに青いのがわかるほどの顔色のレイレス。


「・・・どうして・・・」


シャッターは早くも震えながら、どうしてこんなに早く見つかったのか口には出さずだが皆には伝わった。


「・・・あの首飾りだ。」

「えっ?」

「モモコはピンクダイヤモンドの首飾りをしていた。ただの装飾品だと思っていたが・・・あれがたぶん発信機だ。」




「ピンポーン。正解です。大変よく出来ました。」




クーザがいい当てた時、仲間の声とは別の声がクーザに応えた。

ハッとして声のした方向を見ると。

そこには巨大な群青色のバイクに跨った男が、人を小馬鹿にしたように微笑んで彼らを見ていた。

マシンは起動しているのを示すように振動していたが・・・全くエンジン音がしない。

クーザ達が凍りついていると今度は明らかなエンジン音がしてクーザ達を挟むように銀色のマシンに跨った銀髪の男が反対側から現れた。


「逃げようなんて思わない事じゃ。まぁだわけぇのに・・・死にたくはないじゃろ?」


ホクガンとダイスの黄金色の眼と青い眼が貫くように自分を見た瞬間、クーザはゲームに負けた事を悟った。







ガツクは端末の地図を拡大し、数値を確かめながら最後の反応があった場所まで歩いて向かった。

やがて目標地点まで来ると愛しき者の名を大声で叫んだ。


「モモコ!俺だ!もう大丈夫だぞ!」

「・・・モモコ!迎えに来たぞ!モモコ!」

「・・・怪我でもしているのか!?俺を呼んでみろ!・・・モモコ!!!」


ガツクの最後は雷鳴の様な大声はビリビリと響き渡ったが、空しく上滑ると夜に消えていった。

ガツクはふとレイマドのライトに何かがキラリと光ったのを見た。

屈んで拾ってみるとソレは無残にも潰された、かっては首飾りだったものだった。

ガツクは震え始めた両手をグッと握りしめると、どんな気配も聞き逃さない様神経を集中して辺りを窺う。

だがその耳に生きている者の気配は微塵も感じられなかった。


ここにモモコはいない。


ガツクは首飾りを懐に仕舞うとカインに連絡を入れた。


「カイン、ショウ達は到着したか?」

『・・・はい。全部で20頭。待機させています。』


カインはガツクの抑制の効いた平坦な声に逆に息を飲んだ。


(モモコちゃんは見つからなかったのか・・・)


もしモモコが見つかっていたなら、ガツクの声にはわずかながらも感情が含まれるだろう。

先行したガツクの声の様子から最悪の事態に発展した事をカインは察した。


「今から言う地点まで全頭連れてこい。急いでだ。」

『・・・了解しました。』


ガツクは現在地を伝えると眼を閉じてモモコの気配を捜す事を再開した。


(頼む・・・)


ガツクは祈る様に拳を額に当てた。

もう丸三日もモモコの存在を感じていない。

飢えた様な焦燥感。渇えて震える体。

早く早く早く!体と心はモモコを求めて叫んでいる。


(ヤバいな。タガが外れてしまいそうだ。)


(ガツクにとっては)地獄のグランモア滞在が終わり、今夜、漸くモモコに会えると多少どころではない喜びを抱えていたのだが、後頭部をいきなり殴られた様な事態に、ガツクの鉄の意思でやっと抑えている凶暴な感情が今にも身の内を食い破って暴れ出しそうだ。


ガツクが歯を食いしばって耐えていると軍用犬部隊が到着した。


「ショウ。」


ショウはリードを外してもらうとガツクに怖々近寄る。

平素とは何かが違うガツクの異様な雰囲気は敏感な動物には少し酷だ。

ショウは気を抜くと震え出しそうになる足を叱咤して、ガツクの差し出したモモコの首飾りの匂いを嗅いだ。


「覚えたか?では行け。」


ガツクが短く言うとショウは弾ける様に暗闇へと飛び出した。

ガツクはレイマドに跨りながら、軍用犬を引き連れた隊士達に命令を下す。


「不審な者がいないか捜せ。いたら拘束しておけ。」


隊士達はガツクに礼をすると闇に消える。

ガツクはショウを追いかけ始めた。

迷いもなく進むショウに一縷の望みを胸に抱いたガツクであったが、それは無残にも潰えた。


「・・・・・途絶えたか?」


ショウは申し訳なそうに俯くと小さく吠えた。

ガツクはショウから視線を外すと暗い海面を見つめた。


「・・・・船に乗ったか・・・・まあいい。あいつらに聞くか。」


さほど落胆している様には見えないが、ショウはガツクから発散される暴力的なまでの何かに四肢が震えた。

ガツクはレイマドに再び跨ると、とうとうクーザ達の元へと赴いた。






遠くから聞きなれた爆音が聞こえてきた。


「・・・ガツクが来たぞ。」


それまで黙ってクーザ達を見張っていたダイスが、よく通る声で死神にも勝る男の到着を告げる。

その言葉がクーザ達に浸透する時

それは現れた。

黒い巨体がまるで重力を感じさせない動きで宙を飛び、クーザ達からやや離れた所に轟音を響かせ着地する。


「・・・おい、ダイス。」

「わかっちょる。・・・ブレイドじゃろ。」


クーザ達が何のことかわからない2人の会話を聞いていたが、ガツクの方から「ガシュッ」という音がして再びガツクに注目すると。

ガツクはレイマドの開いた前面サイドから銀色に光る長い1メートル半程の金属を取り出した。

それをガツクが軽く振る。


バシュッ


と、折りたたまれていた刃が飛び出し、その武器というには余りにも異様な幅広の剣は優にガツクの背を超えるほどにもなった。

それを持ったままこちらに向かってくるガツクの恐ろしさは、とても一般には見せられるシロモノではない。


(そーとーキテんな、こりゃ)

(・・・モモコは見つからんかったか・・・嫌な予感ほど当たるもんじゃなぁ)



ホクガンとダイスはそれぞれの愛車から降りるとクーザ達を背にガツクと対峙した。


「・・・そいつらに聞きたい事がある。」


何かを凝縮したような声でガツクがホクガンとダイスに短く言う。


「モモコは?」


ホクガンが問うとガツクは懐から潰れた首飾りを出して見せた。

それをよく見て一同が息を飲む。


「反応が消えた場所に落ちていた・・・ショウに追跡させたが海岸で途絶えた。船にでも変えたんだろうな。」

「二手に分かれていたっちゅう事か?・・・・お前ら正直に言わんとガツクに殺されるぞ。」


ダイスが呆れたように、だが硬い声でクーザ達を見据える。


「ダイスが言ってる事は脅しでも何でもねえぜ。さっさとモモコの居場所を吐け。」


ホクガンも平素にはない真剣な声でクーザ達を促した。

クーザは事態の深刻さをガツクの怒りと苛立ち、殺意に溢れた圧力を前にホクガン達の忠告を正しく理解した。

レイレス達は近づくガツクに最早思考が追いついていかない。

ただ眼を逸らす事を絶対に許さないガツクになす術もなく震えるだけだ。

クーザが冷や汗を掻きながら何とか言葉を紡ごうとした時。


それはいきなりだった。


ガツクを中心に渦巻くような圧力が突然弾けるように辺りに広がる。

ガツクはクーザ達とは反対方向に振り向きざま、いきなりブレイドを一閃させた。


ザンッ


直後、背後の船の船首部分がバカッと割れる。


ズズウゥウン・・・・


砂煙を上げ巨大な船首が落ちる。


・・・正直に答えねば次にこうなるのはお前達。


ガツクはわかりやすいと言えばわかりやすい、行き過ぎと言えばラインから遥かに行き過ぎの脅しでクーザ達に知らしめる。


「・・・・し、知らないんです。」


クーザは張り付く舌をやっとの思いで動かし、モモコに逃げられ、自分達も捜していた事をつっかえつっかえ話した。


「・・・・本当か?」

「・・・・・・本当です・・・」


ガツクに睨まれ、飢えた虎と対峙した方がマシな視線にクーザは硬直したが、ここで返答しないと自分ばかりか仲間の命までも危ういとその目に精いっぱいの(今までした事のないほど)誠意を込めてガツクを見つめた。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。


永遠とも感じられる沈黙が辺りを支配した。

ホクガンは珍しく一言も口を挟まない。

ここでガツクを言いくるめるような事をしたらガツクは背後のクーザ達を間違いなく殺害する。

ガツクからのミシミシと音がするような殺意は、長い付き合いではなくとも確信を持ってもたらすほど明確だ。

ダイスの額からはツツッと汗が伝いおりる。

ギシリギシリと鋭い鉄条網で縛り上げられるかのような沈黙の果てに、漸くガツクから声が発せられた。


「・・・・いいだろう・・・・今は、お前の言葉を信じてやろう。」


ホッと息をつくクーザ達。とホクガンとダイス。

だが、続けるガツクの言葉に再び戦慄する。


「お前達の処遇はのちに決める。たとえお前達とは別者が連れ去ったとしてもそれで許されると思うなよ・・・・楽しみに待つがいい。」


クーザ達は踏みこんではいけない不可侵の領域に自ら突っ込んでしまった己らを後悔した。





クーザ達がタイムマシンがあったらなぁと必死に現実逃避しているのを余所に、ガツクは次なる手を打つべくある人物に連絡を取り始めた。


「アテでもあんのか?」


ホクガンがガツクに問う。

ガツクは相手が出るのを待ちながら返す。


「蛇の道は蛇と言うではないか・・・ここ(廃船置き場)に不法に侵入する輩は相場が決まっている。」

「ああ~。なるほどアイツか・・・」

「久しぶりだのう。あいつ、近頃無精ぶりおって全くワシの所に顔を出さん。」



クーザ達そっちのけで会話が続き困惑した頃相手が出たようだ。


「俺だ。」

「・・・・・俺が誰かなんてどうでもいい・・・・・早くキングに代われ。」


あああああ~!!


目当ての人物以外が出た様で、一気に零地点突破な声音になるガツクにホクガン達は心の中で手足振り乱してその向こうの人物に”ヤメロ!魔王様に逆らうな!”と念を送る。


「・・・キング・・・俺からの連絡を他人に取らせるとは・・・随分出世したようだな?」


2秒と掛からず出た人物に口の端を上げて微笑するガツク。

だがそれを見たシャッターが戦線を離脱した(気絶)。


「・・・・黙れ・・・・なんならお前を軍部に復帰させても構わんのだぞ?直々に俺の隊に組み込んでやろうではないか。いや、何ならいっその事俺の補佐官にでもなるか。ちょうどカインが人手を欲しがっていた所だ・・・・そうか?」


ガツクは散々脅した後大人しくなった男に漸く用件を伝えた。


「モモコをを知っているな?・・・ああ。今日・・・な、連れ去られた。今、北の廃船置き場からだ。こう言えばわかるだろう。」


ガツクは時候の挨拶をしているかのように気軽ともいえる口調で男に告げる。


「察したか?・・・モモコを捜せ。連れ去った者もな・・・なあに、場所を教えるだけでいい・・・場所をな。」


連れ去った者がどうなるかは推して知るべし。


「・・・・1時間待ってやる・・・何?無理だと?・・・・・いいだろう。今からきっかり3時間待ってやる。急げよ。」


ガツクはそれだけ言うとまだ何か喚いている相手に関わらず切った。


「ひでえな。」


ホクガンが言葉とは裏腹にニヤニヤ笑いながらガツクに言った。


「フン。総所に帰るぞ。もうここに用はない。」


ガツクは今度はカインに連絡をとった。


「カイン。モモコは誘拐犯とはまた違う何者かに連れ去られた。もう辺りにはいないだろう。犯人達を拘束しているから迎えをよこせ。帰還する。」


短い応答があった後ガツクはそれを切る。

ガツクはブレイドを抱え直すと・・・無言で先程船首を落とした船に近寄り鬱憤を晴らすように破壊し始めた。




「オウオウ、荒れてるねぇ。」

「コイツらを殺さんだけでも上出来じゃ。・・・しかしガツクでも年をとると丸くなるもんじゃなぁ。もうちっと若い頃ならとっくにバラしとる。」

「まあなぁ・・・あ、早っ!もう次のにかかってやがる!・・・やれやれ、当分終わりそうにねえなぁ。」

「あと10隻というところかのう。」




ガツクの暴れっぷりとホクガンとダイスのこれが日常、という会話に恐怖を感じる暇もないほど驚天動地なクーザ達。

目の前には同じ人類には到底見えない大男が、異質な凶器を眼で追うのがやっとのスピードで振りまわしている。

そのたびに何十メートルもの巨大な船があり得ない切り口で次々と破壊されていく。

ホクガンとダイスがガツクが落ち着くのを待っているとバイクの音がした。

振り向くとカインが雷桜隊の幾人かを連れてマシンから降りているところだった。


「・・・・・・・・・・・。」


カイン含め雷桜隊隊士達は自分達の大将の破壊行動をやっぱりという面持ちで見た。


(相変わらず怖ろしい力だ。)

(絶っっ対顔だけは見ちゃ駄目だぞ自分!顔だけは!顔だけはぁぁ!)

(無理だろ。なんでアレが切れるんだ?おかしいだろ。・・・いっつも思うんだけどよ、この人ほんとに俺らと同じ人類なのか?)

(ヒイィ!ウオォ!ワアアァァ!!)

(慣れねえ・・・雷桜隊に入って何年にもなるが・・・いや慣れさせてくれねえ。)

(これさえなければいい人・・・は違うか。普段からコウか。)


彼らは様々な事を心の中でそっと呟きながら、直力不動で上官のキレ具合を黙って見ていた。


散々暴れた後、ガツクは最後に巨大な漁船を真っ二つに切ると片側を蹴り上げて同時に宙を飛び、思い切り回し蹴りを叩きこんでからようやく止まった。

着地し、踵を返してこちらに向かってくるガツクの顔はバイクのライトに照らされ、この世の住人とは思えない怖さ。

やがてガツクの背後から、かって船であった成れの果てが轟音と共に落下する。


ここでティカ脱落。


同じように硬直していたクーザとレイレスだが、我に返り慌ててティカを支えた。


「こいつらですか?」


カインは内心はビビりまくっているがそれを表には出さず強張った顔でガツクを迎えた。





「そうだ。軍部・尋問室 (別名:どんな屈強な男も翌日には別人のようになっている入ったらイロイロ帰れない部屋)に送れ。」





・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。





空間が凍りつく。


レイレスは訳がわからないままに、だが周囲の反応に敏感にして察し、青を通り越して傍目にもわかるほど白くなった。

クーザも時間の問題である。

だが気を失わないだけよく耐えていると思う。


「・・・そいつは拙いだろ。」


ホクガンが若干呆れ声でガツクに言うと、


「なぜだ?俺の命より大事なモモコを奪った奴らだぞ?本来なら身二つにしているところだ。」




・・・・コレ冗談じゃないからね。マジもマジ、どマジで言ってるからこの人。




この場にいる全員はクーザとレイレスにテレパシーで伝えた。

それは2人の足が生まれたての小鹿のように震えているのを見る所、正しく伝わったようだ。


「ガツク、よう見てみい。・・・こ奴らまだ中等生じゃ。」

「バリバリの未成年だよ。尋問室に送れるわけないだろ。」


ホクガンとダイスの見解は正しい。

クーザ達4人は体こそ大柄だが、まだ13歳になったばかりの軍校中等部1年生であった。

その子供には到底見えない姿を時には利用しながら、クーザの天才的な頭脳とレイレス達3人の無鉄砲とも言える行動力で数々のイタズラ(と言うにはいささか大きすぎる騒動)を度々起こしていた。

並みの刺激では物足りなくなるほど成功してきた彼らだったが、今回初の挫折を味わう。

味わうにはあまりにも大きすぎる相手だったが(これが初の挫折って・・・強烈すぎだろ。人として立ち直れなくなるだろ)。


ガツクはもう一度憎き誘拐犯を見てみた。

紙のように顔色は白いが、なるほど未成年であるのは間違いないようだ。

ガツクは口惜しさに(いくらガツクでも未成年を殺すのはちょっと・・・という分別は一応あった)歯噛みしながら


「・・・・わかった。惜しいが命だけは獲らないでおいてやろう・・・命だけはな・・・・」


それでも脅しをかけるのを忘れなかった・・・。


ガツクはそれだけ言うと、ブレイドを軽く振ってまた元の鈍く光る金属に戻した。と、レイマドに収めてから跨った。


「キングからなにがしかの連絡が入るはずだ。俺は総所に戻る。」

「俺達も行くよ。ここにはもう用はねえからな。おいカイン。」

「は。」

「こいつらにはまだ聞きたい事がある。総所に連れてこい。ただし、他の部署には知られないようにしろ。極秘に運んできてくれ。」

「・・・・何かお考えでも?」


ホクガンは自分の言う事に訝しげに見ているクーザを顎に手をやりながらニヤニヤ見ていたが、


「・・・まあな。」


カインに短く言うに止め、既に総所に向けて走り出したガツクの後を追った。







「立てるか?」


カインはガツクが去った後、緊張が解けて地面にへたり込んでしまったクーザとレイレスに気遣うように声をかけた。

クーザは短く何度も頷きながら、恐る恐るカインに聞いた。


「・・・俺達・・・助かったんですか、それとも手遅れなんですか?」






「え・・・・そ、それはその・・・えと・・・えと・・・」


何と言っていいかわからないカイン。

そしてカイン及び雷桜隊隊士はクーザ達の行く末を案じ、めっちゃ同情の視線でクーザとレイレスを見た。


【ガツクの暴走・前編】


サブタイトルはこんな感じですかね。


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