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偏屈さんと一緒  作者: ロッカ
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1-3 なんともな方々です

猫をすくい上げたのは ドミニオン自治領国国主 ホクガン・ラウンドだった。

奇妙な鳴き声(にしか聞こえない)に加えじたばたする猫を前から後ろからひとしきり調べ上げ 一言、


「メスだな」


その瞬間、何とも言えない空気がただよったがホクガンは気にしない。


「テンレイを呼んでくれ」

「…わかりました」


補佐官であるデュスカは奥の管理者であり、ホクガンの妹でもあるテンレイ・ラウンドに連絡した。


「おお、美人じゃないが愛きょうはあんな。今はすごい顔だけど」

「あとちょっと丸いな 全体的に」


人間の女性へ向けて言えば殴打ものの発言をかましている上司を呆れ顔で見ながら。

実際、広場にいる幾人かの女性の皆さんの目が冷たい。

気づいているのかいないのか 気づいていても気にしない国主のひとり事 (にしてはでかい)は続く。


「うーんこいつの毛色は何色だ?汚れているのか地毛なのかイマイチわからん」

「暴れんなって はは、元気な奴だ。ほんとはオスなのか?もう一度調べてみるか」


軽くセクハラまで入ってきた。猫はさっきまでのじたばたなど比ではないほど暴れまくっている。

そこには殺意があった。


国主と猫の片方はほのぼの、もう片方は殺意溢れるやりとりをそろそろ止めようとした時、待ち人はやってきた。


「お兄様、何してらっしゃるの」


兄より薄いプラチナブロンドにエメラルドグリーンの瞳を訝しげにしながら。


「まぁ猫じゃないの!かわいい!」


途端にはしゃぐテンレイと、


「そうかぁ?」


国主…。


「びしょ濡れじゃない。このままでは風邪をひいてしまうわ、早く温めてあげないと」


有無を言わさず猫をかっさらうと柔らかなジャケットに優しく包み込む。

猫は新たに登場した人物に警戒しているのか、大人しくされるがままだ。そして希少な猫を笑顔で奪い去ったテンレイは、


「この子は責任を持って私が管理いたしますから、国主はとっとと政務に励んで下さい」


では ごきげんよう~と去って行った。


「ちょっとあれひどくないか?」

「国主、会議の時間です」


部下も容赦ない。

ホクガンは無表情で促す部下を見て、「え~」とのたまった。


「次の会議って軍部のだろ?行きたくないな。しかも5時間の行程だって?なぜそんなに」

「あんたが前回サボったからだろうが!!おかげで俺とレキオスはっ…ううう」


涙目になってしまった同僚の肩を優しくたたいて、もう一人の補佐官であるレキオスは


「ジエンとさん、そして珍しく出席していたラズ大将は笑って許してくれましたが、コクサ大将が…」


と青い顔をして俯いた。


~ 前回の会議 ~


「…逃げられただと?」


いつも威圧感を惜しみなく発してるそれにさらに圧力をかけながらガツク・コクサは二人を見た。


ここは軍部専用会議場。本日はかねてから懸念されていた隣国からの不法侵入と先の地震でもろくなった陸橋部分の増強、それらに使われる素材の精査について会議する予定であった。


「お前達はあのボンクラに、仕事をさせるためにいるのを忘れたか」

「これで何回めだ?無能はいらん」

「他の部の会議もすっぽかしている様だな。…どういう事だ?」


テーブルに肘をつき、指を組んで睨みつける。

死神も兜を脱いで土下座しそうな声でメッタ切り。

言葉もなく竦みあがる二人。その顔色は青いを通り越して白い。



「それくらいにしてあげな ガツク」


もう一人が声をあげた。シラキ・ディグニーである。


「いないものはしょうがない、進めるものだけでもやってしまおうじゃないか。今からホクガンを捜しに行ってたら朝になっちまうよ。」


2人にとってまさに天の声。


「確かにそうですが…」


女性でありながらも数々の武勲をたて、時には厳しく時には優しく隊員達を導く軍部の重鎮(御年62歳)にはさすがのガツクも頭が上がらない。


二人は「助かった――」と思ったが、しかし。


「今度逃げられたら 俺がお前達を狩りに行くぞ。そしてあのボンクラは暫く監禁して仕事をさせろ。何としてでもな」


上司の監禁はいいが(むしろ大歓迎だ)軍部一の攻撃力をもつ男に命を狙われるハメになった。



えっと 大変言いにくいのですが、ガツク・コクサがモモコのお相手になります。

初登場が脅しで始まるというなんとも・・・

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