1-2 わたしというものは
女の子視点です
私の名前は 、モモコ・クロックス 。イギリス人と日本人のハーフだ。年は20才 大学生だったけど途中退学した。念願だった出版社に内定が決まったからだ。
それは勤め始めてすぐの頃だった。
昨夜降った雨のせいで霧が立ち込め視界は最悪、おまけに雨までまた降り始め、母に傘を渡されながら「気をつけてね。」といわれていたのに。
あと数ブロックで会社という所で私はトラックに撥ねられたらしい。激痛と衝撃に混濁する意識のなか私は私の血を見た。道路に流れ広がる深紅。そこから先は覚えていない たぶん死んだんだろう。
だって 今 落ちてるから!空から!たぶん地上に!地上しかないだろ!お前はどこに向かっているんだ!とひとりボケツッコミをして現実逃避をしても落ちる速度は変わらない。
そうこうしているうちに見えてきた。もちろん地上が。
「ぎゃあああああああ!!誰かぁ!!助けてー!!死ぬぅ!!」
あ 私 死んでたんだった
水音と共に息ができない状態にびっくりしてもがきまくる。なんだこれなんだこれ!水?と認識する前になにかにすくいこまれた。
次から次へと起こることに脳みそがついていけず混乱しまくる私。
ついでに水を吸い込んでしまったらしくむちゃくちゃ気管が苦しい!
「へぇ こりゃ珍しい猫だ。」
ん?人の声だ。あれぇ おっかしいな私は死んだはずじゃ・・はっ!!これが噂に聞く天国!?
涙と鼻水、そして口からもなにかを垂れ流してる(まあヨダレだけど)私はゆっくり目を開けた。
ぼやけて定まらない視界が徐々にひらけるとそこには男の人がいた。
ひと癖ありそうなでも頼りがいがありそうな人。私よりは年上そう。鮮やかな金髪に金の眼をしている。
私を抱き上げてじろじろと眺めまわす。その様子になんとなく違和感をおぼえながら、
「あ、あの、降ろしてください」と 言ってみた。しかし 私の口からでた言葉は・・・
「みゃあうお」
……………
んん?
んん?
あれ?
今なんか猫みたいな言語でなかったか?
気を取り直してもう一度
「降ろしてください。」「みゃあお」…!!!!!
どう、どうなっているんだ!もしや精神的な病か自分にそんな繊細な部分があったとは驚き!ばかなことを考えてないで状況をみろ自分!その後、何度か話しかけてはみるものの全て「にゃあ」だの「ぎにゃあ」にしか聞こえない自分の声に困惑しまくる私がいた。
まだ猫になっていることに・・・