2-16 中盤戦です
その後モモコは[ジェスチャーキャット!!!]をさらに、
[おばけ]
[海水浴]
[野球]
3回こなした。その度にふき出すホクガンに呪いを込めた念をモモコは送り続け、4問目が終わった時点でガツク:2ポイント テンレイ:2ポイントの同点であった。
4回の無茶な労働をこなし、明日は絶対筋肉痛!と(猫に筋肉痛があるかどうかは知らんが)へばるモモコに次ぎの試練が課される。
ホクガンは笑いすぎて力の入らない四肢を動かし
「さあ!盛り上がって来たかぁ!この現金野郎ども!第5問はこれだぁ!!」
バン!スクリーンにキラキラと文字が点滅する。そこには、
[ジャ~ストでウェストサイズ!!ビンゴはお前だっ!!]
(・・・・・・。)
モモコは今なら無の境地にイケる気がする。マジできんじゃないか?悟りも開けるかもしれん!
しかし、あと1歩で現実逃避に成功できそうなモモコの耳に、無情にも憎きホクガンの問題の趣旨を説明する声が聞こえ、モモコを引き戻した。
「猫のウェストが何センチあるか当ててみろ!一番近い数字を叩き出した奴が1ポイントゲットだぜ!」
なんでウェスト?体長とかだろ普通!絶っっ対いやがらせだ!私が太っているのを気にしてるの知ってるなぁ~!!
もちろんホクガンは知っている。が、嫌がらせではなくただ体長だとありきたりすぎてつまらないからというのが理由だ。そんだけ。
身もだえするモモコにテンレイは、
「コモモ、いい子だから動かないで頂戴。私の勝利のために。」
優しく言い聞かせモモコを落ち着かせた。が、
「そうだぞお前。動いちゃわかりずらくなるじゃねえか。」
モモコの斜め後ろに立つホクガンが台無しにする。
(あんたのせいなんだよ!!ちっくしょー!!)
モモコは猫の特性をいかしぐりんと首を廻してホクガンを睨みつけた。
キモチワルッと呟くホクガンに殺意のゲージは今にも振り切れそうだ。
こんな和やかな?場面だがガツクが静かだ。モモコがガツクに視線をやるとすでに書き終えたのかペンも持たず腕を組んで目を閉じている。
(もう書いちゃったのかな?こういうのはテンレイさんの方が得意そうな感じだけど。)
テンレイが悩みながらも書き終えたのをホクガンは確認し、ガツクにも声を掛ける。
「おい、もういいか。」
「ああ。」
「ほんとかよ。全然目測してなかっただろ?」
「いいからやれ。」
ヘイヘイ。ホクガンはマイクを握り直し、
「二人ともビンゴは目の前か!同時にどーーん!!」
はっちゃけすぎだろ。モモコは呆れたが、誰もつっこまないあたり、イベント時はコウなのかもしれない。事実そうだったりする。
ガツクとテンレイはボードを前に出した。
ガツク :37センチ
テンレイ :33センチ
微妙・・・・。猫の適正なウェストサイズなど知らんのでモモコは うーん となる。
「よーし!じゃあ猫にジャッジしてもらうかぁ!実際測ってみようぜ!」
なにぃ!!モモコは焦るが、[ジャ~ストでウェストサイズ]なのだから当然だろう。
そしてフフフ・・・と不気味な顔と声で笑い、メジャーを手にホクガンが近づいてくる。
モモコは威嚇した。
今まで威嚇などした事なかったが、乙女の危機?に猫の部分を根こそぎ総動員して対抗する。
「ばか解答者にさせるわけにはいかないだろ!仕方ないだろ~がぁ、俺がやらにゃ。」
仕方ないと言う割にはむっちゃ笑顔なんだが。
「ふーうおぉぉ!!ぎゃーお!!(来るならこぉぉい!!猫になって初をお前にくれてやるぅ!!)」
バリ!バリバリ!バリバリ!
ホクガンはモモコに散々引っ掻かれながらも、正確にウェストを測り終え、デュスカにメモを渡した。(デュスカは半目になって呆れた)
「いででで・・・あんの野郎・・・。さて!気を取り直して正解は・・・!!」
大勢が見守る中、モモコのウェストサイズがスクリーンにでかでかと映し出された。
(私は猫。私は猫。私は猫だぁかぁらぁ平気だもんねー!・・・うっうっううううう・・・・・)
必死に自分に暗示をかけるも見事に失敗。
[37センチ!!]
オオオーーッ!!!
見事ビンゴしたガツクに大歓声が沸き起こった。
「すげえぞガツク!!心眼に目覚めたか!!」
ホクガンがマジ!?という顔をしてガツクを見ればガツクはフッと渋く笑い、
「この前、モモコが寝てる時いろいろ測った。」
得意げに言い放った。
一瞬、時が止まったかのように皆が動きを止め、いち早く正気に戻ったホクガンが声を張り上げる。
「おおっと!!思わぬ変態発言が出たぁ!・・・・」
「ところで前半終了です!!!」
カインが決死の覚悟でホクガンを突き飛ばしてマイクを奪い、強制的に前半終了を告げた。
リコとリンドウがハッと我に返り、元の予定にはなかった前半のために急いで即席の幕を作り引いた。
「なにすんだよ。俺の命と同じくらい大事なmyマイクを奪いやがって。」
突き飛ばされた体制のまま文句を言うホクガン。突き飛ばした事はいいのか。
「うるさいですよ。これ以上ガツクさんの印象を落としめれば軍部全体でクーデターです。」
カインはホクガンに顔を間近に寄せてガツク譲りの声音で不穏を囁く。
そんな2人とは別にこちらでは
「いろいろってどこじゃァ、ガツク。」
笑いながらダイスが言えば、言わすかぁと
「みゃーお!みゃーお!(わー!わー!聞くなァァ!!!)」
モモコが邪魔をし、
「コモモ・・・・無断で女の子のサイズなんか測る変態にひと時とはいえ飼われていたなんて・・・なんて不憫!」
テンレイがモモコを抱き締める。
「変態とは無礼な奴だな。あれはモモコの成長記録で・・・・」
「準備整えましたァ!!」
カオス化寸前でデュスカが叫び事態収拾を行った。
モモコがステージを見回すと白い布を張った5メートルほどの衝立があり、その後ろには巨大なライトが設置されていた。ダイスはテンレイからモモコを受け取り、(ガツクから殺意が氷柱のようにダイスの後頭部に刺さる)ガツクを見ない様にしてステージの奥へと移動する。衝立の前に黒い布が引かれ、ガツクとテンレイ、ホクガンを残してステージ半分を分断した。
「何の真似だ。」
ガツクがホクガンを見やると、ホクガンは服をはたきながら起き上り、
「6問目の仕掛けに決まってるじゃねえか。んな事より始めるから2人とも席に着け。」
カインからマイクを受け取り、幕をどかせと合図を送った。
「待たせたな暇人ども!後半開始だぁ!第6問目はこ・れ!」
2人が着席し、即席の幕が引かれるとホクガンは両手の人指し指を立ててスクリーンを指した。
[本物はど~れだシリーズ☆シルエットでポン☆]
なぜこうも脱力系なネーミングを思いつくのだろうか。そのイベントにかける熱意を10分の1でもいいから政務に向けて欲しいものだ・・・・・
強制的に裏方として集められた5人の補佐官たちは(デュスカ、レキオス、リンドウ、カイン、リコ)心底思った。
[モモコ、えらいことになっちょるみたいじゃなァ。]
[ショウさん!]
舞台裏ではモモコとダイスの側にショウがゆったり近づきながら、声をかける。
[お前に謝らんとなぁ。わしが驚かしたせいなんじゃろう?本当はテンレイさんとこで飼われちょったんじゃな?]
[うん・・・・。でもガツクさんに拾われた事も全然良かったんだよ?ガツクさんに会えて良かった。だから気にしないで。それよりダイスさんに飼われてるんだね。そう言えば口調も一緒だ。]
今気づいた と、えへへと笑うモモコにその主と親友が何か企んでいるとは言えない。決して悪い事にはならないとは思うが・・・・。
ショウはそれでも嫌な感じがするのを頭を軽く振って振り切り、
[次のクイズにわしも参加するんじゃ。もう並ばんといけんぞ。]
ダイスはショウとモモコが仲良く並んで所定の位置につくのを信じられないように見ていたが、やがて頭を振って幕の向こうに行き、ホクガンに合図を送った。ホクガンは軽く頷き、
「準備もできたみたいだぜ☆シルエットオープン!!」
黒い幕がひかれ衝立にライトが当てられると何かの動物のシルエットが5体浮かび上がった。
「愛しのにゃんこはどれだァ!番号で答えてみろ!」
シルエットは1体を残して(ショウ)みんな似ている。それらがソワソワ動き、どれもがモモコに見える。ガツクとテンレイは真剣にシルエット達を見、やがてボードに番号を書いた。
「ガツクは2番!テンレイは5番!答えはここだ!」
衝立が横にずれ、5体の姿が露わになった。
モモコは5番目にいた。
テンレイ、小さくガッツポーズ。
「テンレイ盛り返したァ!!1ポイントゲット!」
歓声のうち次々と7問、8問と続けざまに行われる。
7問目は
[本物はど~れだシリーズ2!地毛はどれだ!]
モモコの最大の特徴であるピンクの毛を使い、人工のやら、天然ものやらを混ぜて並べ、モモコの毛を選ばせた。
「またまたテンレイ大正解!1ポイントゲットだ!」
モモコは思わず切ない目でガツクを見る。
ガツクは心配するなと言うふうに小さく首を振った。
8問目はモモコの肉球の魚拓ならぬ肉球拓で争う、
[本物はど~れだシリーズ3!飽きたぞォなんて言葉はナッシング!これでシリーズ最後のぷるぷる肉球拓で勝利を呼び込め!]
長い。
これにはガツクが正解し、モモコをほっとさせた。
そのガツクとモモコをホクガン、ダイスが密かに観察していることにも気付かず・・・・。
「さあさあさあ!!なんとここでガツクが追いついて来たぞォ!!これでガツク4ポイント!テンレイ4ポイントの同点だァ!!いよいよ次が泣いても笑ってもラストクエスチョン!最後のお題はこれだァァ!!!」