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偏屈さんと一緒  作者: ロッカ
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2-2 秘密です

モモコが部屋のどこにもいないことを確認したテンレイは、一路 ホクガンの部屋を目指す。

総所には深夜といえど働く人々もいる。

走るテンレイを見た人は、まだボヤがあったのか!?とか別件の緊急事態か!とも思ったが誰も声をかけられない。

その表情にはなんか止めるのを憚れるものがあった。


なのでホクガンの私室前に立っていた衛兵達も目を逸らして大人しく扉を開けた。


国主がまた何かやらかしたんだろう と。

それに国主はちっとやそっとじゃ死にそうにもないからちょっと殺されても大丈夫!

4人は互いをグッジョブ!と確認し合って、持ち場に戻った。

それお前らが其処に立っている意味あんのかと言いたいところだが、こんな事結構あった。(昼夜問わない訪問。怒鳴りこみとも言う)


バタァァン!!


勢いよく寝室のドアが開かれ、入ってきた妹のあまりの形相に思わず逃げ出したホクガンをむんずと捕まえ、逃げないように椅子にロープでぐるぐる巻きに縛り付けてから、テンレイは叫んだ。


「お兄様のっ!お兄様のせいよっ!お兄様なんか殺してやるっ!」


そしてナイトテーブルを持ち上げホクガンの頭上に振り下ろそうとした。


「待て!待て待て!!俺が何をした!」


思い当たる事がたくさんあり過ぎるのは確かだが、どれの事かわからない。

知っておかないと対処もできない。

冷静なのか、よくある事なので(奇襲?違うか)麻痺してるのか取りあえずホクガンは聞いてみた。

するとカッと眼を見開いたテンレイは、


「コモモが・・・・・。」


と、地を這うような声で言ったあとテーブルを放り出し、(ナイトテーブルはホクガンの耳をかすった後壁に激突して四つに割れた。気に入ってたのに・・・ホクガンはちょっと涙が出た。)


「コモモが出ていったのよぉ~!!」


とワッと泣き崩れた。


「猫が?でも猫は結構ぶらぶら出歩くもんだろう?そのうちフラッと帰ってくるさ。それよりなぜ俺が非難され・・・・・」


ホクガンは「非難されなきゃならんのだ。」と最後まで言えなかった。

非難~のあたりでテンレイにギンッと凄まれたから。


「忘れましたの?この前、コモモに太ったと言ったじゃない!」

「えっ・・・言った・・・か?」

「なんですって!?」

「あー!!言った言った!確かに言ったな!」(危ない危ない。・・・言ったっけ?)

「コモモはすごく落ち込んでいたのよ!それに無茶なダイエットなんかして!それを苦に・・・!コモモ!早まっちゃ駄目!自殺なんてしちゃ駄目よ!」

「勝手に殺すなよ。」

「お兄様は黙ってて!」

「はい。」


しばらくモモコの身を案じるテンレイに付き合ったホクガンは1時間後ようやく解放された。

そして手足をさすりながら、


「そんなに心配なら軍部に要請して捜してもらうか?」


公私混同も甚だしいことを提案する。

だが、テンレイは別の理由でこれを断る。


「軍部ですって!とんでもない!ただでさえあちらにはバカにされてるのに彼らに猫を捜してだなんて!

絶対にお断りよ。ガツクに格好の材料を与える事になるわ。ダイスにも付け入る隙をね。」


他はマトモなのにどうしてあの二人の隊はああなのかしら・・まったく・・・この前も・・・

ブツブツ呟くテンレイを見ながら、


(まぁ 昔から仲が悪いというか、意地の張り過ぎなんじゃないか?まったくいい大人が。)


全員に お前が言うな!!とシバかれそうな事を考えていた。


テンレイは最後に絶対に軍部には漏らさない事、他の部から漏れる事も考えられるので、他の部にも喋らない様にしつこいぐらい念を押して、やっと帰って行った。


「出ていったねぇ・・・。」


テンレイは普段はホクガンが政務に集中できるよう、雑務を全て片づけてくれるありがたいスタッフだが

たまにこうやって昼夜を問わずキレる事がある。

まあ 大体ホクガンその他2名のせいで。


「人の言葉がわかると難儀な事になるな、コモモ。」


妹が帰り、やっと寝る事ができたホクガンだが1時間後デュスカに叩き起こされる。


「国主、仕事の時間ですよ!起きて下さい!」


ホクガンに思いっきり鬱憤をぶつけたテンレイは、夜が薄まった回廊を足早に歩きながら、心に決めていた。


(コモモはきっと見つけてみせる!奥の威信にかけてでも!)


威信のかけ方が違う・・という理屈はテンレイには通じない。

その日のうちに 奥に緊急招集をかけ コモモ捜索隊を結成。そして最高機密として扱うことを確認。

ペットがいなくなった事に戸惑っていたリンドウは、


「リンドウ君は軍部のジエン君、カイン君と仲が良かったわね?」

「は、はい。」

「彼らにも漏らしちゃ駄目よ?」

「わ、わかってます!」


いつになく鋭いテンレイの目にビビりながら誓った。


その頃・・・・大事おおごとになりつつある事を知らないモモコは、

ガツクの用意したミルクをもろに気管に入れ激しくむせていた。


ホクガンは軍校を中途退学し、法務大学に入り直し国主を目指しました。

普段はダラけていますが、見るべき事は見ています。


それでも有り余る周囲への迷惑・・・・

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