2-1 ピンクもあるんです
今でこそ平和で豊かなドミニオンだが、60年程前、列強の国々の争いに巻き込まれた事があった。
戦争が終結した時には、属国となったが激しい抵抗の末、自治領国としての権利を勝ち取る。
闘争に次ぐ闘争で、国は疲弊し荒廃していたが、持ち前の陽気さとバイタリティで隆盛な復興を遂げた。
幼い頃、それらの話を聞き、先人達の活躍に感動したガツクは、軍人を目指す。
彼ら彼女らの志しを今度は自分が守る。
もう二度と祖国の地を他国に踏み荒らさせはしない。
それから彼は精進した。
幼稚舎から大学まである軍部専門校に入学し(ちなみにここでホクガンとダイスに出会う)
体を鍛えに鍛え、軍略を学び、多種多様な武器を使いこなせるよう訓練し、時には実践を交えながら卒業まで過ごす。
首席で卒業した後は、自身最大の得手を生かすべく 攻撃専門部隊・雷桜隊に所属。
次々と任務を遂行し、いまだドミニオンを狙う他国の軍どもを黙らせてきた。
武勲に武勲を重ね、遂には30歳という若さで大将を就任。
冷徹な判断力と迅速な行動で隊を率いてきた。
そんな国と軍部一筋に生きてきた彼は、
今まで生き物を飼った事がなかった。
ここで、あ、モモコ死んだな。と思った諸君。
その予感は的中する。
小動物を手にぶら下げたまま浴室に行き、(この扱いでなんかもう・・・。)
しばし熟考。
ソレをタライに入れる。
そして自身の顔を拭いて、寝室に向かった。
コートやスーツの上着を脱ぎ捨て、ワイシャツの袖を捲りあげながら、浴室に戻った。
タライにお湯を注ぎ、泥や池の水、細かなゴミなどを洗い流してやり、タライのお湯が濁ってくると取り換えたりする。(案外まともだな。)
そして
おもむろに洗濯用洗剤で洗い始める。(うぉぉい!!)
生き物を飼った事などないガツクがペット用シャンプーの存在を知るはずもなく、
雑巾と見間違える⇒ 雑巾と似ている⇒ 雑巾と素材が似ているんだろう⇒(洗濯用)洗剤で洗うか
どういう頭の構造しとるんだ的な判断となった。
これでもまだましだったのかもしれない。最初、彼は洗濯機で洗うかタライで洗うか迷った。
テンレイがこの事を知ったらどうなるか想像もしたくない。
さすがあのホクガンの親友というか類は友を呼ぶというか、残るダイスもこんな傾向であろう。きっと
そんなこんなでモモコの汚れを落としていくうちに地毛である薄ピンクが見えてきた。
ここでガツクの頭に最初の?がつく。
ザバッとお湯をかけ、もう一度よく見てみる。
やはりピンク色だ。
自然界にこのような色が存在するだろうか・・・・いや鳥類にはいたかも・・・
しかしこれは明らかに哺乳類・・・捕食には向いていないのでは・・・・
いや、自分は動植物に関心がなかったからな。・・・あるのかもしれん。
そう納得すると、今度はタオルでいささか乱暴に拭いてやる。(テンレイの悲鳴が聞こえるような・・
と、手の中の小動物が身動きした。
手を止めて見ていると 小動物は小さく身震いし、目を覚ました。
目をパチパチさせながら、辺りを見渡し、自分を包んでるタオルと手に気づいた。
手をゆっくりたどりガツクの顔まできた。
そして小動物がびっくりした様に目を見開いて自分を見た時、
ガツクの身の内に何かの衝撃が走る。
固まって動かないガツクを、不思議そうに顔を傾げて小動物は一声鳴いた。
「にゃあお。」
鳴き声で我に返ったガツクはそんな鳴き声をする動物を思い出す。
「お前 猫か。」
ガツクは国を守るいう意志を4歳頃からもっていました。
そのひたむきさで突き進んで気が付いたら軍部の最上位近くまでいた という感じです。その猪突猛進ぶりを今後モモコに向ける予定です。
あと彼の中では犬を指して「これは犬だろ?」と疑問形で始めるぐらいの関心具合です。