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響き渡るなにか

作者: 神名代洸
掲載日:2026/10/06

それはとても暑い日だった。


ただそれが何なのかまではまだわからなかった。


だって、こんな事になるとは誰ひとり想像すらしていなかったはずだから…。


恐怖、怯え、それと同時に真っ暗な視界。


わからない事だらけで、解りたいとも思っていなかった自分。


ただこの視界が消えた事に関しては正直驚いてはいるかな。


前兆みたいなものはあった。


そう、視界に黒い塊が見えた。


瞼を閉じても同じだった。


だからこのまま見えなくなるんじゃないかとビクビクしてた。


でもそれは単なる勘違い?だった様で、今は何事もなく過ごしている。


そんなある日の事。


また黒い塊が見えた。


それは部屋の隅っこの天井側に。


ただはっきりとした塊ではなく、ユラユラとしている感じがした。


前の時とは明らかに違う。


何?


アレは…みちゃいけないもの?


霊とか?


まさか…ね。


そんなはずがない。だって僕は霊感ないからさ。


そうだろ?


でもそれから目が離せない。


背筋がブルッとしたよ。




その日からその場所がずーっと気になってしまい、目が離せなくなった。


何をしていても何か…誰かにどこからか見られている感じが…。


視界には相変わらず黒い塊がユラユラと漂っているように見えた。


ほんとにやばいかも。


僕は怖くなってその方向を見ないようにした。


でも気にはなっている。ただそれがなんなのかわかってしまったら怖いと感じる僕がいる。


心臓がバクバクしている。


誰かと話し込んでてもついそちらを見そうになるが、その度に黒い塊のことが頭に浮かんでしまい、頭を振って気持ちを切り替える。


そんな姿を見ている友達は僕の事をとても気にかけてくれている。それが有難いと思ってしまう僕はメンタルがやられてしまったのかも知れない。



数日経った頃、僕は頭がおかしくなりそうなほどに恐怖、怯え、視線を感じる為に体調不良をきたしていた。起きられないほどの体調の悪化。

熱、そして…変わらずある視線と…。


怖くなってしまい、自宅にこのままいるのは恐怖でしかなかった。


怖くてたまらない。


だから自宅から出る事に。でも何処へ?アテはない…。

ただブラブラと歩いていたら知ってる場所に出た。そう、…学校だ。

別に意識してたわけじゃないんだよ?

何も考えずに歩いてただけなんだ。

それなのに…それなのになんでここへ?


足が動く。

あの場所に向かってるのかもしれない。そう、例の黒い塊があった教室だ。

僕の教室。


イヤだ!そっちには行きたくないんだ!

なんでそっちに行くの?

怖い、怖いんだ。


震える手が教室のドアを開けると目の前に部屋の角が見えた。やはり黒い。

逃げたい。だけど…どうしたらいいの?

ヤダ!

ヤダヤダヤダ!!


誰か…助けて!!!



その瞬間僕はその場に倒れた。

意識をなくしたのかもしれない。



そんな時に夜勤の教師が廊下を歩いていて、部屋の明かりがついているのに気づき中に入って僕が倒れているのを見つけたと言うことらしい。


僕は額から出血をしていたが、それほどひどいものではなかったようだ。

次に気がついた時には救急車の中だった。


泣きたくなって小さな声で泣いた。

助かったと思った。


そもそも何故僕に見えたのか…霊感とかないのに。

それがよくわからない。


でももう関係ないよね?

終わったことだもの。

ね?


それ以降教室には入れなくなった僕は保健室で1人実習しながら単位を取り、卒業した。



もうかれこれ5年も前の話だ。

あの頃とは違うだろうし、僕には関係ない。


そう、僕は思っていた。思ってはいたのだが。

それは僕のそばにあった。




恐怖は終わらない……。

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