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AETHEL/エーテル -世紀の英雄-  作者: 白亜キング
【第1章】放浪騎士
5/10

星域-Part5

ペドロを撃破し、負傷したフレンとヴィーナス。

行くあてもなくただ洞窟を彷徨う運命に

路頭に迷う事になる2人だったが、

そんか窮地にまさかの味方がついて行く.....。

「ヴィーナス!無事か!」


◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇


ーー俺はヴィーナスを優しく起こす。

幸いにも意識ははっきりとしている。


「凄いよ.....フレン.....君は、やっぱり騎士なんだ。あの無造作な薙ぎ払いで、奴の茨を消し去っただけじゃない。君は、自分で考えて行動できた.....それが本当に.....嬉しいよ。」


ヴィーナスは足を挫いたが、

彼はまだ歩けるんだという。


「ヴィーナス、休むか?」


ーーヴィーナスが心配だ。


「いいや、まだ動けるよ。ペドロ.....能力を持っているな.....生命の起源を宿していない、操る事も出来ないはずなのに、どうして魔術が使えるんだ.....」


ヴィーナスは不可思議に思っていた。

俺はヴィーナスに気になる事を聞いた。


「俺は剣を持った途端、その切れ味が回復して、しかも刀身が復活するんだ!それに、《エーテル》っていうその生命の起源を宿した瞬間にな!これは一体何なんだろう。教えてくれヴィーナス。」


ーーヴィーナスは言った。


「エーテルはエインウィルに宿る《神聖の起源》でもある。君が気になっている神聖とはエインウィルのエネルギー源なんだ。つまり、エインウィルの人々、生命、あらゆる存在がエーテルの元にある。エーテルは生命を支えるんだ。」


ーーなるほど。

俺やヴィーナスはそれを扱える.....のか。


「俺はもっと自分を知りたい!自分を知って、知りまくって、強くなりたいんだ。知識が欲しい。あ、あと、剣技も習得したい!あとよ.....」


ーーヴィーナスがまた困ってしまってる.....。


「フレン.....!分かるよ!やる気はあるんだね!良いことだと思います!でも.....能力を知るには、実践を積んでいくしかない!もしくは.....」


ヴィーナスは同じ顔をして、

とある方向に指を指して見せる。


「ペドロ.....まだ生きてるよ.....?」


ーー俺はペドロの方向に危機感を向ける!


◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇


「う、うぇ.....」


ペドロって奴はかなり出血している!

ーー俺が斬ってしまったんだ.....!


「ペドロ.....大丈夫か.....?」


ペドロには何故か、共感してしまう。

でも、敵であることには変わりない!

すると、ヴィーナスが口を開く。


「ペドロが僕達を受け入れるなら話は変わってくる。彼もまた、魂という異界の概念に干渉できるという素質はあるんだろう.....それに.....」

「それに.....?」


ーー俺はヴィーナスの言いたがっていることが、

何なのかが理解出来ない。


「ペドロは、相手の能力がわかる。つまり、俺たちを受け入れてくれさえすれば、フレンが持っている素質、目指すべきものが分かるかもしれない。」


俺はヴィーナスの言葉に安堵した。

ただ、ペドロが俺たちを信じるか.....?


「フレン.....ヴィーナス.....お前たち、なんで俺を受け入れてくれるんだ.....俺は、お前たちに危害を加えて、殺そうとしたんだぞ.....」


ペドロが口を開いて話したのを受けて、

俺はペドロに言いたいことがあった。


「みんな、不安を抱えて生きているように思う。きっと.....君の同胞たちも同じだ.....どんな立場でも前を向いて生きている。君もそうなんだよペドロ。でも、人を殺して、自分だけに利益を集中させる生き方は良くない。ましてや、君たちが異界の悪魔と契約したとしても、世界が闇に染まった暁には、裏切られることだってあるかもしれない。君は優しいよペドロ。でも、その優しさと自信、才能を悪い方向に変えてしまっては勿体無いよ!」


ーー俺がそう言った時、

その場の時が止まったように思えた。

気付いたら、ペドロは荒い息を漏らしつつも、

目に涙を浮かべて、口を震わせていた。


「俺.....俺は.....お前たちに感謝するよ.....ずっと、ゴミにように扱われてた自分が嫌いだった.....でも、やっと今、自分を好きになれたよ.....ありがとうフレン、ありがとうヴィーナス。俺は、君たちに会えたこと、話せたこと。素直に嬉しいよ。」


そういうと、ペドロは眠りについた。

俺はヴィーナスのバックから干し草を

数枚に分けて取り出して、

ヴィーナス、ペドロの患部を覆うように

きつく巻きつけた。


◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇


しばらくするとヴィーナスも眠りについた。

俺は1人で不慣れながらも焚き火を起こし、

一晩眠りにつくことになった。

正直、これが夜なのかも分からないが.....


眠り行く意識の中で、吹雪の音が聞こえてくる.....

ああ.....これが音という景色なのかもしれない。

そう思うと、意外とよく眠れる。


吹雪の音が聞こえなくなってからは、

ただ茫然と無の世界を感触し、

目を覚ました時には吹雪の音が消えていた。


◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇


「おはようフレン!」


ーーん.....んぅん.....

ヴィーナスの顔が.....見える.....。


「おはようヴィーナス!ペドロは?」

「あぁあ.....」


困惑したようにヴィーナスは言う。


(昨日のペドロは大丈夫だろうか.....?)


ーー俺がペドロを見ると、

1人で飯を食っているではないか!?


「フレンじゃねぇか。よう。」


ーーペドロは俺に語りかける。

切り付けられた包帯には血が滲んでいたはずだが、

それは薄く、黒色になっていた。


「生まれつき.....傷の治りが早いんだよ。俺。」


ペドロは自分を初めて教えてくれた。

嬉しいことだ。


「朝、そのクソみてえな金髪と喧嘩した。俺が飯を食っている時に、マナーとかいうよく訳の分からねえもんを愚痴愚痴言ってきやがる.....もう、うんざりだな.....」


ヴィーナスの顔は釣り上がっていた。

ああ.....これ、絶対本気で喧嘩したよな.....。


「おいフレン。馴れ合いはもう済んだ。一緒に飯を食べようぜ!」


ーー俺はペドロの隣に座らされる!


「ヴィーナスって野郎が持っていた干し肉は煮るとほんとにうまいな!食ってみろよ!」


俺は食い意地を張るペドロに干し肉を

思いっきり詰め込まれる.....。


嘘だ.....昨日のなんて嘘みたいだ.....

俺がペドロの干し肉を頬張ると.....


「う.....うんめぇぇぇ!!なんだこれぇぇ!!」


ここに新しい発見があるぞ!

干し肉を茹でると超絶美味い!


俺達は無我夢中で頬張る。

それと共にヴィーナスの顔が不満気に膨らむ.....。


「フレン.....マナーぐらい守れぇぇぇ!!」


ーー洞窟内に響き渡るその轟音を、

ポテスの自然な空気が静かに掻き消した.....。


◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇


俺たちは3人でそこを発つと、

洞窟内にて歩き始める。

俺たちはその間に、ペドロから情報を盗んだ。

どうやら俺達が探している店主らしき人物は

神殿の中に連れ去られたという。


「フレン。俺は組織を裏切ることになる。お前の言っている雑貨店の店主とやらが生贄だとしたら、まだ祭壇に捧げられるまで猶予はあるが、急いだ方がいいな。生贄を解放することは大罪だ。もし失敗すれば俺たち3人の首は泣別れだぜ。」


ーー俺は覚悟を決めて飲み込む。


「この先に大きな門があってな、組織のアジトに入れるんだ。でもな、俺は神殿の管理そのものを任せられているだけで、本拠地は別にある.....“星域”という場所に、お偉いさん達が集ってるんだぜ。」


“星域”.....?何なんだそこは。


「まあお前らにゃあ分からんだろうが、俺達が信仰しているヴェクターラはこの世に干渉するために信仰者を構えている訳じゃない。もっと他に目的があるのさ。ーーそれ自体は分からんが、ヴェクターラがいるヴォイドリアの領域は、無限の広がりと星の連鎖によって出来ている“アストラル”の領域だ。」

「ーーアストラル.....?」


「ああ。星域と呼んでいるのが、そのアストラルだ。お偉いはヴォイドリアにいる.....真の力を追い求めているんだ。ーー俺のように.....見捨てられた者だ.....」


ーー俺はますます心配になった。

雑貨店の店主が生きているとしたら

早く助けにいかなければいけない!


◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇


ーー滑りやすい洞窟の中を歩いていると、広い鍾乳洞の中に出てきた。水が滴る音が聴こえる.....きっと地底湖があるのだろう。


松明を掲げて薄暗い洞窟の中を進んだら、

大きな彫刻が表面にある石の大門が出てきた。


「この先が.....アストラルの神殿だ。」


中に入ると、石の柱が何本も立つ大広間に出た。

この神殿の広さは尋常じゃない.....。


ーー壁にも彫刻があり、それは何かを意味していた。


「この彫刻はヴェクターラがとある数学者に物理の概念を教えていた時の構図らしい。数学者は無限の物理を求めて『暗号』を探したんだってよ。自分の学問を最大限まで深堀りたいと.....熱心だよな.....」


ペドロの話を聞いていたら、

ポテス山道で襲ってきた男の事を思い出した。

彼もまたヴェクターラの使徒であり、

物理概念の魔法を使っていた。

彼も確かにアストラルの信仰者だったな.....。


◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇


ーー神殿の彫刻は大きく鮮明に彫られていた。

しかも、この神殿は紀元前に出来たらしい。

紀元前というのはこの世の正史が誕生する前だ。


本当に凄いぞ.....。

いや、見惚れていてはいけない。

雑貨店の店主を探さなければ!


「ヴィーナス。あの店主がここにいるとしたら、一体何処にいるんだ?この神殿は部屋とか広間が沢山あって周るのに時間が掛かる!」


ヴィーナスはそれを踏まえて言った。


「ヴェクターラについての記事を読んだことがあるんだ。ミルドの都では有名な歴史で、アストラル暗号がヴォイドリアに繋がっていると言われている。」


アストラル暗号.....?

2人とも小難しい話は勘弁してくれ.....。


「アストラル暗号はこの奥にある。」


ペドロが大広間の先にある彫刻の壁を指す。


「この壁、回転するんだ。だからこの壁を一緒に押せば動かすことが出来る。その先に暗号への入り口がある。雑貨店の店主も、おそらくそこにいる.....」


ーー少しずつ希望が見えてきた。

雑貨店の店主を見つけるこちら出来れば、

このポテス山脈を抜け出して、

ドゥナレスに帰るか、シルトマーに行けばいい。


俺たちはペドロが言っていた壁を押した。

そうして押した壁の先には、

押入れのような石室があった。

彫刻が壁中に彫られており、

何を表しているかは分からない。

不思議な暗号が刻まれている。


「この部屋に入ってしまえば、アストラル暗号の一部になる。この彫刻を消せば、その彫刻に刻まれている名前の主は存在事消える。入るか?」


身の毛もよだつ話だが、もたもたしていられない。


俺たちが部屋に入ると、

暗号と思われし彫刻が青く光り出した!


「お.....うぉぉ!!」


ーー俺たちは眩い光に飲み込まれ、

一瞬のうちに別の空間へ移動した事を悟った。


「ここは.....あ、アストラルなのか!?」


ヴィーナスが目を全開にする!

俺やペドロも辺りを見回して、

その空間の雰囲気に飲み込まれる!


「こ、これは.....凄いな.....星々があって夜空みたいだ。島々のように土地が浮いてるぞ。変な植物も生えてるし.....何だ.....ここがヴォイドリアの領域の1つ.....アストラルなのか!!」


ーーペドロも相当驚いている。

目の前の絶景にひたすら圧巻している。


「俺もアストラルには干渉した事なかったからよ.....この景色の凄さにはビックリするぜ。凄いよな.....この世界は全て暗号で出来てるんだぜ?普段なら隠されているような数字で出来ているんだ!こんな綺麗に見えるのによ!」


ーー俺達が景色に圧巻されていると、

また攫われた店主のことを思い出した。


「無策で入っていい空間なのか?出るにはどうしたらいいんだ。ペドロ、一体どうやったら出れる?」


それにペドロからは幾つか提案があった。


「3つ提案がある。どれも良いものではない。1つ目は、信仰者のリーダーを倒して暗号の解読を試みることだ。ただし、失敗すれば二度と出られなくなる。2つ目は、ヴェクターラに交渉することだ。かの王に交渉して、雑貨店の店主を返してもらう。ただ、仲間の1人が犠牲になるぞ.....もう3つ目は、雑貨店の店主を救出して、ヴェクターラに解読方法を教えてもらう。ただし、知識をどういう対価で支払う必要があるかは分からない。ただ、他より断然安全だろう。」


ーーただリスクは、最大限避けたかった!

せっかく始まった旅をここで終わらせられない。


ーー雑貨店の店主を救出するには、

アストラル暗号の解読が必要だ.....!

次回:アストラル暗号の中に侵入した3人は、その空間の絶大さに惹かれてしまう。数々の星々、暗雲が陰る空間に、突如として放り出された3人だったが、肝心の脱出方法が分からないという異例すぎる自体が発生した!


ーー3人は雑貨店の店主を救出し、無事に元の世界に帰る事が出来るのか!?.....。

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