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AETHEL/エーテル -世紀の英雄-  作者: 黒綺硝子
【第1章】火の戦史
12/13

ダイヤモンド=クリスティ=シャーロット-part12

——国王陛下との所見で

《名探偵、クリスティ=シャーロット》

と偶然鉢合わせるフレン。


国王陛下にドラゴン討伐作戦への

参加を認定される手前まで行ったが、

急な提案によってシャーロットの

捜査に同伴する事になる!

——緊張するのも束の間に、所見が始まった.....。


「皆様、此度はこの宴会へご参加頂き誠にありがとうございます。——それでは、国王陛下から最初のご挨拶が御座います。」


——王座から威厳を持った人間が立ち上がる。

白金の王冠に宝石が埋め込まれている.....。


偉大なる《プテラ=レギオン国王陛下》である。


「同席の諸君に申し上げる。遠方から宴会にご参加頂いた事を、深くお詫びさせて頂きたい。さて此度、世界の都オーラリスからにて、《名探偵ダイヤモンド=クリスティ=シャーロット殿》が来訪されている。皆、彼の多大なる尊厳に拍手を!」


周りに同調され、拙い拍手をする。


《ダイヤモンド=クリスティ=シャーロット》

帝都の貧困街に住んでいた際にも耳にした事がある。


——世界中、数多くの事件・トラブルを解析し、

信頼度が最高潮に達していると謳われる男だ。


“この男が捜査に関われば、解決は間違いない.....”

そう広く知られている《名探偵》である。


「まさか、こんなところで出会うとは.....」


王座に一番近い席から立ち上がる男こそが、

クリスティ=シャーロットである。

拍手喝采の最中、高級なコートを身に纏い、

国王陛下に公演の演説を始める!


「どうも皆さん。私はクリスティ=シャーロット。帝都からこのシルトマーに参る。プテラ国王陛下に多大なる敬意を払い、此度の連続殺人事件の捜査、私が担当させて頂こう.....シルトマーの民が脅かされ、幾度となく捜査をし、解決しない.....ただし、加えて人間がやる所業.....必ず《ミステイク》が存在する。私は必ず犯人の主格を突き止め、事件を解決の方向へと向かわせよう.....」


——演説が終わり、国王が“ニッコリ”した。


「これが.....クリスティ=シャーロットか.....」


俺は密かに呟いて、まじまじと見つめる.....

——そして、名探偵なる男と目が合った。


「ふん.....」


——彼はそうため息を吐いたように見えた。

国王陛下が再び立ち上がり、演説を始める.....。


「シルトマー東地方のドラゴン出没の一件に対しては、東諸国が軍を切り詰めている.....この事態の具体的な改善が期待出来るかは実践あるのみ.....となるだろう。多くの命が脅かされる事が想定される。此度、軍関係者・推薦者・傭兵団の責任者を外部から所見に招待している。国王陛下である私からも、シルトマー全軍をもって立ち向かうと誓おう!」


——再び拍手が鳴り始める。

この事態に参加し、重要な人脈を作る。

これが《フレン=メテリクス》の目的だ!


「では、私は一度ここで切り上げさせて貰おう。では諸君、宴会の続きをお楽しみ頂こう.....」


——プテラ国王陛下が席を外す......

どうやら直ぐに所見は始まるようだ。


すると、役人に名前を呼ばれる。


「クリスティ=シャーロット殿、フレン=メテリクス殿、別室にご案内いたします。」


——俺は役人に呼ばれて席を立つ.....。


「シャーロットも来るのか.....」


束の間に来襲する所見に、若干の嘆きを呟いた。


◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇


「こちらで御座います。王子、国王陛下には失礼のないようお願い致します。」


——役人が立ち去る。


「入って良い。」


そう言われて俺は入室した。


「フレン=メテリクス殿。ウィンター公爵からの申請状及び、推薦が届いている。確認させて頂いた。宜しく頼もう。」


そんな国王陛下の挨拶に即興で返事を返す!


「あ!はい!宜しくお願いします!プテラ国王陛下!フレン=メテリクスと申します。フレンと呼んでもらって結構です!えっと.....」


——吃っていると、

国王陛下が喋り出した。


「良いぞ、フレン殿。話は聞いておる。東諸国の存続をかけた討伐作戦への参加を御所望であると.....かつてシルトマーの魔術師代表であったカイザード=カムレッグを救った一件についても、多大なる敬意を表す!しかしだが、フレン殿。東諸国の存続をかけた戦いに参加をする動機とは.....どのようなものかね.....」


——聞かれると、頭の中が真っ白になった。

しかし、目的を一気に捻り出す!!


「私は.....帝都の騎士の末裔という立場で御座います。長い間、自身の身分を知ることなく貧困街に囚われていました。従兄弟のヴィーナスは、西部諸国であるミルドの王子です。西部戦線を崩壊させた、かの竜『ルフゼリファ』の討伐への第一歩として、今回の討伐作戦を成功させたいと思ったのです。」


——西部戦線を崩壊させた《ルフゼリファ》.....。

西部諸国に甚大な被害・犠牲を出し、

その数は三十万人にも昇ったという.....。


「なるほど.....貴公の言い分は理解出来る.....しかし、寛容しかねん。フレン殿は恩人である。そのような者を討伐作戦へ向かわせるなど、私の立場から申すと難しい。しかし、貴公は帝都の騎士の末裔であり、その座への権限を持つ“メテリクス家”であることは分かっておる。貴公が使命を果たさんとするであれば、参加を認定しよう。」


——と、あっさり認定をしてもらった。

暫くすると、遅れて“あの男”がやってくる!


「国王陛下、そして.....貴方は誰だ。まあいい。クリスティ=シャーロットで御座います。此度の連続殺人事件について伏兵をお願いしたいと考えている。私1人では身の危険が伴う。」


——って、堂々としてるなぁ!

国王陛下を相手にこの言い分.....

何処かの国王になった様な態度だぜ!


しかし、国王陛下は冷静に返す。


「シャーロット殿。簡単に事を運ばれては困る。第一に兵力は来たる討伐作戦への温存として、待機させているのだ。傭兵を雇うのは構わないが、衛兵1人も今回の事件には関与させることは出来ない。」


やはり、厳しいか.....

討伐作戦へはより頑強な兵力が必要.....

つまり、伏兵は認められないのだ。


——すると、シャーロットが返す。


「傭兵は足回りが悪いのです国王陛下。正式な訓練を受けている伏兵が居なければ、追跡・逮捕が困難です。また、これらでシルトマー全域を確認しなければならない。」


討伐作戦への手回しが必要.....

とはいえ、連続殺人事件の被害も大きい.....

これは中々、大変な議論になりそうだな。


「妥協しようシャーロット殿。貴公の申し付けに少し賛同して、衛兵の見回りを共有し、伏兵を小規模だが用意しよう.....もっとも、傭兵団の協力も仰げると良かったのだが.....」


——シルトマーは、かなりの危機に瀕している.....。


「国王陛下、ではこの者を採用するのはどうです?名は知りませぬが、足回りも良さそうですし、放浪者にしては度胸や人脈も優れている.....おそらく、私と共に立ち回れば、早々に逮捕に向かうでしょう。」


——なんだって!!

王室に招待されている俺を.....“指名”!?

あらあら、いい”ご身分“ですわねシャーロット!!


「シャーロット殿。貴公よ、口調を改めるのだ。何故にその姿勢を貫くつもりなのだ。いくら貴公が優秀であり、事件解決の糸口であろうとも、今の言動は聞き捨てならない。名もわからぬ、経歴も知らぬ者を強制的に指名するなど、手本に取れる無礼の極みだ.....」


国王が静かに怒りを見せると、

シャーロットは態度を改める.....。

——俺はこの男に怒りが来ていた。


「失礼!シャーロット殿!俺はフレン=メテリクスだ!こんな見窄らしい青年に見えても、実は帝都の騎士の末裔なんだぞ!そんな”オレ“を採用とは!いい度胸してるのは君じゃないか!」


——つい、私語が出てきてしまったぜ.....。

シャーロットは軽蔑したかの様に横目で見る。

そして、国王陛下が呆れて溜め息をつく。


——無口のまま時間が流れ、

遂に国王陛下が喋り出した。


「手勢が少ないのは勘弁して欲しい。しかし、我々は事態を重要に捉えておるのだ。シャーロット殿には分かり得ない事だと思うが、我々は東諸国の存続をかけて戦う意志がある。フレン殿にも敬意を払っている。彼を侮辱することは私が許さない.....」


そういうと、静かにシャーロットを見た。


「申し訳ございません.....」


——初めて謝ったぞ!!

《ダイアモンドの男》がよ!!


「まあ!いいですぜ!討伐作戦まで時間がある。シャーロット殿の見込みは、俺も間違ってないと思ってるぜ!ここは、このフレン=メテリクスがパパッと解決して、シルトマーの救世主になる!」


——そして、遂には調子に乗ってしまった。


「フレン.....メテリクス.....」


「う〜む.....」


なんか.....やり過ぎてもはや引かれてるぅぅ.....!!


「フレン殿。本当にシャーロット殿の意見を了解するのか。貴公が居るとはいえ、相手はシルトマーの捜査を潜り抜け、脅かした手慣れである。十分な危険が伴う事を分かっているのかね。」


「ええ、大丈夫です。シルトマーへ影響を与えているのは変わらない。連続殺人事件は俺と、クリスティ=シャーロットが突き止める!」


「いや提案しておいてアレだけど、了解するの早すぎだろぉー!!」


——シャーロットのドン引きレベルが

最高潮に達して時。王室には誰かが入ってきた。


「メイソン.....また遅刻か。私の駄目息子よ。シルトマーの王子として残念だ。自分の尊厳や立場をまるで理解していないぞ。2人に謝罪するのだ。無論!私にもだ。」


《メイソン=レギオン王子》

つまり、この人が国王陛下の後継者か!

なんだろう.....本当に“ダサい”。

見た目は黒髪の超清楚イケメンって部分も、

本当に“残念”を体現してやがるぜ.....。


「失礼しました。お父様、そして客人の方。フレン=メテリクス殿と、クリスティ=シャーロット殿ですね?役人から聞いております。特に、フレン殿に関しては雪山で遭難していた救世主だと.....聞いておりますので!」


——いや、不名誉な点が混ざっているが!?

この王子は凄い皮肉者だな!悪気が一切ねえ!


「あ.....まあ、はい。そうですよ〜。へへ。」


完全に端正な顔立ちなのがムカつくぜ.....。


「無駄話をしている暇はない。フレン殿!シャーロット殿と同伴するので宜しいかな?もし、事件を解決した暁には、シルトマーの名誉称号を与え、正式にドラゴン討伐作戦への主従参加を認定しよう!」


——という訳で、所見は一段落ついたか.....。


◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇


——外に出ると、シャーロットと会話する。


「フレン。もうタメで良いだろう。お前も俺をシャーロットと呼べ。俺たちは“ビジネスマン”だ。浅くもなく深くもない“ゼツミョー”な関係を築く。おい!良いな!?余計なことして足引っ張んじゃねぇぞ.....」


「はいはいシャーロット。俺からも宜しくなー。俺たちは“ビジネスパートナー”だから!もし片方があのイカれた殺人鬼にぶっ殺されても恨めっ子なしだぜ。」


「当たり前だ。誰がお前のことなんて恨むか。」


ゼツミョーな奴とゼツミョーな会話をして、

本格的にシャーロットとの捜査が始まる。


——ホールに出ると、噴水の前にヴィーナスがいた。


「ヴィーナス!取り付け完了だぜ!上手く行った!」


実家の様な安心感.....。

ヴィーナスとは従兄弟なんだって、

改めて思い知らされるぜ。


「フレン!上手くいって良かった!討伐作戦への参加が認められたんだね!」


ヴィーナスが嬉しそうに言っている。


「まあ!まだ中途半端な状態だが、クリスティ=シャーロットとかいうビジネスパートナーに同伴してシルトマーの未解決事件を捜査したら、国王陛下が正式に参加を認定してくれるんだってよ!頑張るぜ!」


——俺はヴィーナスに今後の説明をする。


「クリスティ=シャーロット.....彼と行動するのか.....分かった。まだ参加が決まった訳じゃないんだね。でも良い方向に向かって良かった。でも、ちょっと捜査に同伴するのは心配だな。カイザードもペドロを見つけたのか分からないし、フレンもシャーロットと行動して欲しい。ここで解散にしよう!」


「分かった!ヴィーナスも良い晶石見つけてこい!」


——こうして俺達は一度解散し、

個々の目的に立ち向かっていく!

次回:個々の目的の為に一度ヴィーナスらと解散したフレンは、クリスティ=シャーロットと共に長年未解決の《シルトマー連続殺人事件》への捜査を開始する。


——犯人の候補が幾つか上がっているものの、そのアリバイの壁は大きく、証言・証拠も少ない....しかし!そんな状況で《ダイアモンドの男》の力が目覚める!

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