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AETHEL/エーテル -世紀の英雄-  作者: 黒綺硝子
【第1章】火の戦史
11/13

役割を果たせ!-Part11

——シルトマーでの未解決事件の捜査に助力し、

プテラ・レギオン王の信頼を勝ち取るために、

国王陛下密会の準備をしたいフレン。


スーツ屋に向かう間、仲間達は個々の目的で、

——シルトマーの街を探索する事になる!


フレンは道中、鍛冶屋と魔導炉を見つけ、

そこにてエルフの少女と出会う事になる.....。

「カイザード様、フレン殿、ヴィーナス殿、面談、お疲れ様で御座います。少し厄介な点が御座いますが、先程、ペドロ殿が外に出ていってしまいまして.....」


——執事の迎えに早速、呆れてしまう一言.....。


「探しに.....行きます.....」


執事に申し訳ない詫びを見せる。


「シルトマーはもうすぐ夕暮れです。下層区域には立ち入らないよう、強くお勧め致します。ペドロ殿はおそらく、あまり遠くへは行かれてないかと.....」


「了解しました。」


俺達は自由行動になると踏んでいたが、

ペドロの奴を捜索する事になった.....。


「もーう!ペドロは何処に行ったんだよ.....」


ヴィーナスが呆れる.....。


「ペドロ.....勘弁してくれぇ.....」


カイザードが呆れる.....。


◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇


——下層区域にて、


一方で、フレン達とは離れていたペドロ。

彼は堂々と禁断の下層区域に入域し、

《グルメ》を探求しようとした.....。


シルトマーに立ち入った際の

宿で食べた《美味しいご飯》に目覚め、

たちまち“グルメ”にハマったのである!


「よーし。どうせまだ古臭え面談してるだろーしよ。フレン達が喜ぶモノを買ってやるとするか!ま、その前に《グルメマスターのペドロ》として、先に頂くものを頂くとするかね!ハッハッハ!」


ペドロ。迷惑な野郎である。


「よーし!うーん.....なんか、暗くなってきたな.....」


——ペドロが足を進め続けると、

薄暗く細長い街道に出ていってしまう。

これは.....同時に危機的状況を現していた。


「ガッツあるね兄ちゃん.....なんかここに来た理由でもあるのかぁ?」


傍に老人が座っていた事を知るペドロ!

まずい.....まずいペドロ、

この暗黒の雰囲気が危機を物語っている。


——ペドロは、フレン達と離れた事を悔やむ。


「お、おい、おっさん.....どうしたんだ.....?」


「いやぁ兄ちゃんのような人間がここに来るって事が珍しくてねぇ。何か探し物でもあるのかい?」


老人はペドロを見上げていた.....。

《ペドロのグルメ探検コース》は、

見事にも初っ端から破綻していた事を知る.....。


◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇


——さて、ペドロが何処にいるか.....。


「フレン、ヴィーナス。ペドロの事は俺に任せてくれ。多分、執事にはああ言われたけど、ペドロが下層区域に行っている可能性も高い.....」


カイザードがペドロ捜しを一任してくれる様だ。


「カイザード。感謝するよ。」


俺達はカイザードにペドロを任せて、

国王陛下の所見の用意の為に高級な服屋に向かう。


「ここら辺の質屋にも後で用がある。僕がシルトマーに向かった理由は、新しく晶石が必要だったから。」


——ドゥナレスでも話していたな。

晶石は魔法を使う者にとっての必需品だろう。


「《晶石》によって、自身に宿るエーテルを具現化する事ができる。多くは使い切りだが、これもモノによっては“一生使える物”も存在する。」


「俺のアミュレットに埋め込まれている赤い石も、その《晶石》って奴なのか?俺がヴィーナスのエーテルを宿した時、それが具現化?した様にも思える。」


「そうだよ。フレンのアミュレットに埋め込まれている赤い石は《永久晶石》と言って、まさしく永遠に使う事が出来るものだ。」


——俺のアミュレットには《永久晶石》が!?

どうやら、代々伝わるこのアミュレットは、

かつての英雄が作り出した賜物なんだろう.....。


「《永久晶石》は滅多に手に入らない。個人に宿るエーテルの性質は違うが、晶石のグレードによってその真価は違ってくる。君の技は君のものだが、間違いなくその赤い石によって強化されている.....」


ヴィーナスが話を続ける。


「晶石のグレードはそれぞれだが、緑や青の物が多く、希少な物だと黄色や紫、伝説級の晶石になると、まさにフレンが持っている《赤》になる。」


俺のアミュレットに埋め込まれている晶石は、

最もグレードが高い《伝説級の晶石》だった!

まさか、生涯こんな優遇されてるとは思いもしない。


「僕は《魔術のエーテル》と呼ばれるエーテルを宿している。これは神聖を相手に分け与える事も出来るし、自分への物理的な衝撃を完全に寛解させる魔法陣を作る事だって出来るんだ。これだけは特別でね、ミルド由来の魔法陣なんだ.....」


す、すげぇ.....ヴィーナスはこんなに強いのか.....。

——さて、俺の能力はなんだ〜?


「ううん.....!では、ヴィーナス君。俺には一体どんなエーテルが宿ってるんだい!?」


ヴィーナスは少し考える.....。


「フレンは、おそらく騎士の血筋だから《剣のエーテル》を宿しているだろうね。それに、狼の番人との戦いで見せたあの波動斬りに関しては、アミュレット由来の効果だと考えていいだろう。詳しいことは、ペドロに聞くといいんだけど、彼はいないし.....」


なんでこんな重要な時にいないんだよあのキャラ!


「フレンの《剣のエーテル》は騎士なら殆どが宿している特殊な神聖だよ。剣の刃こぼれ・切断などを完璧に防ぐ事が出来る。」


俺のクレイモアは全く傷一つ付いていない。

しかし、ヴィーナスの神聖を借りたが、

やっと旅の意味がわかった気がする.....。


「ヴィーナス。俺、神聖を探す理由が分かったよ。俺に宿っている力を具現化させるために、神聖が必要なんだろ?それが手に入れば、俺はいつでも自分の力を発揮出来る。」


俺は長い間疑問だった旅の目的に気がついた。


「その通りだフレン!君の神聖を探しに行こう!」


そう言ってヴィーナスは駆け足で向かう!

——俺はヤツの背中を追いかけていく!


◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇


-高級ブランド「ナーガ・ファッション」-


——着いた.....格式が高そうな店だ.....。


俺達がここに入って良いのだろうか。

上流階級の人々が店前で賑わう。


「よし、いくかヴィーナス。」


俺はひと足先に店に踏み入れる。

中にはモダンな貴族の服、

俺にはまるで似合わない様な

豪華な装飾が添えられた上着が沢山並ぶ.....。


「支払いは僕が済ませるから寸法を.....」


ヴィーナスはどんだけ金持ちなんだ.....。

まあ王子だし、整合性はあるんだがよ.....。


——しばらくすると、

奥から高飛車で背の高い《オネエ》が来る!


「フレン様!『ナーガ・ファッション』へようこそ〜!ご予約の方ですね〜?既に代金は頂いております〜!うーん!見窄らしいわ!早速着替えましょう!」


失礼なオネエだな.....。


「フレン様、ここの鏡の前にお越しを!」

「あ、はい.....」


——俺は鏡の前に立たされる!


「フレン様に似合う〜!!チョー豪華なファーっションを〜!!一緒にお作りいたしますわ〜!!さあさあ、初めていくわよぉ〜!!」


「えっと、敬語いらねえぜ.....!」


少し距離を縮めてみると.....。


「あらぁ!人当たりがいい子.....貴方みたいな子.....お付き合いの方向に持って行きたいんだけどぉ。うぅpん。まだ男らしさが足りないわねぇん.....」


「ちょ!ファッション選ぶんじゃねぇのかよ!」


「あら、そうだったわねぇ。お連れの子、男の子?女の子?すごーく端正な顔をしているわぁ.....肌もピチピチで羨ましいのよぉ〜。私もああなりたーい!」


——ヴィーナスの話かよ.....。

俺のファッションなんて無視じゃねぇかー!!


「さあて!.....いくわよ?貴方に似合う上着って言ったら思いつかないわねぇ〜。装飾が多めの物を着させても映えないだろうし〜、だからといってキッチリし過ぎても野蛮さと睨めっこしちゃうわ!まあ!どうしましょう!」


もういい.....適当に選んでくれ.....。

——俺はドラゴン討伐の為に

ここに居るんじゃねぇのかよー!!


「“オネエさん”!もうお任せでいいぜ!俺、全然ファッションとかキョーミねえしよ!国王と会った時に印象悪くなかったらもうそれでいーぜ!」


——俺は結局、“オマカセ”を選んでしまった.....。


◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇


「フレ〜ン。何処に居るんだ〜い?」


——ヴィーナスが店内を歩き回る。


シルトマーの豪華な服が立ち並んで、

周囲が完全に見えないほどに圧倒される.....。


「フレ、ふ.....フレン!お、おお.....」


——ヴィーナスと会った俺。

“オネエ”の“オマカセ”によって、

適当なファッションにした。


国王陛下への印象が悪くなきゃいい.....。


「フレン。正直寸法もスラっと見えるよ!まるで豪華な貴族を見ているみたい!あと、アミュレットのお陰で装飾品としてもバッチリだし.....」


——ヴィーナスが唇を若干振るわせる.....。

こ、こいつ.....!!何が可笑しい!!


「フ、フレン.....め.....めちゃくちゃ.....その.....意外性があって、す、すき.....」


——ヴィーナスが微笑しやがる!

クソー!自分の目で選んどきゃ良かった!


「あらぁまぁ可愛いお連れの子!どぉ?フレンくん!“オマカセ”は気に入ったかしら!」


——まあ、悪くはないんだ。


「決して気に入ったとかじゃねぇけど、国王と会った時に印象は悪く見えないと思うぜ.....ま、まあ。」


オネエの顔が若干曇る。


「もっと褒めなさーい!」


軽くデコピンを一発喰らう.....

——全く、どうかしてるぜ.....。


「あのさ。アンタの名前が知りたい。」


こんな良い人と一期一会なんて勿体ねえな.....。


「フレンく〜ん。私がタイプだったのねぇ〜!」


(キューーーーーーーーーーーーン!!)


——違う!誤解.....!


「アンタの名前聞いてるだけだよー!!」


「私はラダメスっていうの〜!んちゅ!ファッションを研究してこの店を立ち上げて、お陰様でシルトマーの夜には打って付けの店になったのよ〜。」


なるほど!この人が店主か!


「ラダメス!ありがとう!」


「礼儀が良い子ねぇ〜!またいらっしゃ〜い!」


「ラダメスさん。ありがとうございました!」


——まあ、用が済んだら、

またここに来るのもアリかな.....。


◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇


——道中、歩いていると、

魔導炉が煙を上げていた。


その古臭そうな錆びれた魔導炉の傍、

鉄板を組み合わせた建物がある。

階段が入り口へと続いていく.....。


——そこには、1人の少女が座っていた.....。

歳が俺と離れていなさそうなエルフの少女.....。

何か物寂しい顔で、俺達に視線を向ける。


「ヴィーナス。彼女は何かあったのかな。」


「フレン。国王陛下の面会まで時間がない。あの子のことは仕方ないよ!城に急ぐぞ!」


「お、おう。すまん.....」


——俺は強引に腕を引っ張られる.....。


日が暮れゆく街の中を城に向かって走り続ける。

居住区、商店街、繁華街、広場.....転々とする!

シルトマーは、とても広い街だな.....。


——そんな急いでいると、

あっという間に城に到着していた。


「フレン。ここからは、『ありがとうございました』、『よろしくお願い致します』、『さようなら』の礼儀は必ずする様にして。初めて会う時は『ご機嫌よう』と礼をする。食事の時はどんなに“美味しい”と感じても喋らない!口を閉めて、音を立てずに食事をする!爪も噛んだりしない!印象を守る!いいね?」

「わ、分かったぜ。」


——苦手過ぎる.....。

城なんてまともに行った事がない。

しかも、国王陛下に面会だなんて。


「推薦状!フレン・メテリクス殿!」


——役人に名前を呼ばれた!


「ご、ごきゅ!うえ!ご機嫌よう!」

「荷物検査は済んでおります。では中へ。」


俺は役人に連れられ、《入城》する!


◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇


——人生で初めての《城》、《王宮》だ!

公館より一層巨大なシャンデリアが輝く。

初めてのホールには噴水が流れ、

貴族などの上流階級の人々も居て、

壁は美しく絵画や彫刻で装飾されている....。


「き、緊張する!ヴィ、ヴィーナス!」


「しー!キョロキョロするな!堂々と歩け!」


——堂々と歩く.....堂々と.....ふぅぅ!


「めっちゃカチカチだな!フレン!まあ、仕方ないよ。初めての所見だし、気になる事も多いだろう。でも、過度に緊張しなくていいよ。シルトマーの国王陛下は人格者でも有名とされるお方だから!」


俺はヴィーナスの言葉に若干の安堵をした。


「プテラ王だっけ?えっと、プテラ国王陛下か。」


——俺は国王陛下の名前を捻り出す!

所見時に“名前ど忘れ”なんて起こしたら、

ソッコー関係破綻になりかね無いからな!


「プテラ国王陛下だ。頼むよ?フレン。」


「ああ、任せとけ。こう見えても火事場力だけは高いんだ!キンチョーしない、キンチョーしない!大丈夫さ!俺は“キンチョーしないフレン”だ!」


「なんだよ”キンチョーしないフレン“って.....」


ヴィーナスは困っている.....。


「順番にご招待致します!ご氏名をお呼び致しましたら宴会部屋へお入りください!それでは.....」


——ああ!名前が呼ばれてしまう!

俺は心に精神を集中させていく!

安心しろフレン!お前なら出来る!


——城の役人が次々と名前を呼んでいく.....。


「ウィンター公爵の推薦書により、フレン=メテリクス様!お入りください!」


そして、遂に俺の名前が呼ばれた!


「行ってこい!頑張って、フレン!」


——俺はヴィーナスの掛け声と共に、

中央ホールの階段を登って行く.....。


巨大で重厚な扉が開かれており、

俺はそこから王の間へと入室する!


「や、やっぱり緊張するなぁ.....」


俺は緊張を堪えて目的のために前へ進む。


「フレン様。こちらの席へお掛けください。」


——俺は案内された席へと座る。


席には貴族や王族などの様々な人が座る.....。

そして、王座に座るのはシルトマーの国王陛下である

《プテラ=レギオン国王陛下》であった!


王座に悠々と座る国王に目を向けた途端、

その緊張に限界の兆しを感じて、

瞬間的に目を背けた!


「ああ駄目だ.....ぜんっぜん!慣れてない!」


所見が始まるまで、もう一刻もない.....。

次回:遂に国王陛下と面会する事になるフレン。《騎士の末裔》として、ドラゴン討伐への参加を認めてもらうべく、シルトマー連続殺人事件へのアプローチを試みる。


——宮殿にはある男がいた。

《クリスティ=シャーロット》なる者、

それは、帝都から招待された名探偵である.....。

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