パート21：宝物の誘惑と眠れる触媒
アパートは、スタンバイ状態の電子機器の絶え間ない囁きによってのみ破られる、深くて完全な静寂に包まれた。カイトは眠りに落ちていた。彼の頭は壁にもたれかかり、彼の顔はリラックスし、皮肉と疲労の仮面が剥がされていた。覚醒の緊張がなければ、彼は驚くほど若く、あまりにも長く戦ってきた子供のように、ほとんど無防備に見えた。
真夜中の戦術的機会
私の心は、依然として最大限の警戒態勢にあり、この出来事を無期限の戦術的機会の窓として記録した。触媒、すなわち魔法的な緊張の発生源は、不活性ではあるが存在していた。
私は慎重に寝袋から這い出した。オレンジ色のナイロンはわずかにキーキーと音を立て、カイトを目覚めさせることを恐れて私は息を止めた。私はゆっくりと動き、まず寝袋の縁まで這い、それから足を外に滑り出させた。カイトから借りたTシャツ、私のパジャマとなったそれは、肌の上で冷たく感じられた。
私は合板の床にひざまずいた。地面の空気は冷たかった。彼の滑稽なオレンジ色のナイロンのケープに包まれた、眠っているカイトの姿が、私の唯一の焦点であった。
私の最初の目標は彼ではなく、私の戦利品であった。私は、プロのスパイの遅さと静けさで動き、彼の机に向かって這っていった。私の指は、分厚い本の下に置かれた小さな1,000円札に向かって伸びた。
そのくしゃくしゃの紙幣に触れると、深い満足感を感じた。この紙は、この王国における私の唯一の自律性であり、平民の保護者に頼ることなく商品やサービスを獲得できることの証明であった。ポケットの中のティアラは、そのお金に触れたことで温かい鼓動を発し、魔法と現代の経済力との繋がりを裏付けた。
禁断の棚卸
私の注意はその後、カイトの机へと集中した。彼の散らかり具合は、私が疑った通り、複雑なシステムであった。彼の動かない手の近くに、小さな黒い表紙のノートがあった。私は息をひそめて近づいた。
指先で、ケーブルの山をそっと脇にどかし、机の内容を見えるようにした。ノートには、コードではなく、幻想的な生き物や風景の鉛筆画が描かれていた。サイバネティックスの鎧を着たドラゴン、蒸気で動く浮遊都市。彼が設計している彼の本当の世界は、ファンタジーとテクノロジーが融合した宇宙であった。彼は、まさしく夢の建築家であった。
ノートのすぐ隣に、私の注意を引くものがあった。キーボードの下に差し込まれた、小さく色褪せた写真。その中で、カイトはいつもの皮肉ではなく、心からの喜びをもって微笑んでおり、彼によく似た暗い髪の若い女性と並んでいた。
— 感情的な接点。潜在的な脆弱性、あるいは救助のポイント —私の冷徹な戦略家の心は、その写真を重要な情報として分類した。
接触の誘惑
私は机から離れ、寝袋の近くの元の場所に戻った。私は眠っているカイトから半メートルも離れていなかった。その距離は快適さには近すぎ、安全には遠すぎた。
彼は不快な角度で傾き、頭を壁にもたれさせていた。オレンジ色のナイロンが少しずり落ち、彼の肩と首の一部が露出していた。
私は彼のそばにひざまずいた。私の目的は金ではなく、ティアラであった。私はより強烈な反応のサンプルを必要としており、その唯一の方法は、身体的な接触という変数を再導入することであった。この考えは計算された堕落の行為であったが、アストレアへの帰還はそれだけの価値があった。
ほとんど知覚できないほどの震えとともに、私は手を伸ばし、彼の裸の肩から一センチのところで止めた。私たちの体の間の空気は、重く、張り詰めているように感じられた。魔法の戦略の極限に達したファンサービスである。
私は人差し指の先端を、彼の鎖骨の近く、首の付け根のTシャツの生地にそっと押し付けた。
その反応は即座で、電気的であった。私のズボンのティアラは鼓動しただけでなく、鋭い熱の痛みを発し、それに続いてこめかみに持続的なブーンという音が鳴り響いた。それはエネルギー起動の明確なサインであった。サスペンスは最高潮に達した。
カイトは動いた。彼は目覚めなかったが、頭がわずかに転がり、彼の呼吸は浅くなった。私は、彼の肌が焼けるかのように指を引き戻し、寝袋の中に滑り込んだ。
私は証拠を手に入れた。接触の緊張こそが触媒であった。そして眠っている英雄こそが、私の自由への鍵であった。夜の残りの時間は、このプログラマーの継続的な操作を必要とする起動プロトコルを心の中で考案する、緊張した徹夜に捧げられた。
