第96話 準決勝へ向けたミーティング
グラウンド隣のミーティングルームには、独特の緊張感が漂っていた。
いつもの練習前とは少し違う。
勝って進んだ先、準決勝という舞台に向けて、チーム全体がまた一段、気持ちを引き締めているのがわかる。
「じゃあ、始めるぞ」
キャプテンの神宮寺先輩が静かに口を開く。
その声に、全員がピリッと姿勢を正した。
「まず、昨日の試合。風間、春日──よくやった」
拍手が自然と起こる。
俺と春日は、軽く頭を下げる。
「佐野の離脱っていう、正直キツい状況だったが……それを埋めたのはお前たちの力だ。誇っていい」
そう言って、神宮寺先輩は一拍置いてから、次の言葉を紡いだ。
「──だが、次の相手はもっと強い。去年の夏、ベスト4に食い込んだ、あの《旭丘》だ」
ざわっと、小さく声が漏れた。
旭丘。
県内でも打撃力に定評があり、特に中軸は全国レベル。
正捕手が離脱しているウチにとって、間違いなく難敵だ。
「勝てたことに、甘えるな。前の試合の勝利は、全員の集中力とリズムが噛み合った結果にすぎない。……旭丘戦で、それが崩れた瞬間、やられるぞ」
誰も口を挟まない。
その沈黙を破るように、猫宮先輩が手を挙げた。
「相手の三番の打球、昨日の映像見たけど……マジで伸びてたな。風間、春日。どうする?」
視線が一斉にこちらへ向く。
俺は、ちらりと春日を見る。
春日は変わらない顔で、うなずいた。
「低め中心。ジャイロカッターは追い込んでから。……それと、あの手の“インステップ型”は、ストレートの見え方を変えてやるだけでもズレる」
「なるほどな」
金城先輩が、腕を組んで笑った。
「やっぱり、こいつら噛み合ってるなあ。風間、お前、自分の配球について、ここまで細かく話すようになったんだな」
「……あ、いや」
照れ臭くて目を逸らすと、春日が苦笑する。
「しゃべりは苦手でも、投げるときはちゃんと“わかってる”顔してんだよ、こいつ」
笑いが起きる。
その笑いに、いつの間にか俺も笑っていた。
(──これが、一軍なんだな)
重圧もある。でも、信頼もある。
誰かの背中を追いかけていた頃とは、違う場所。
「じゃあ、次の試合に向けて、明日からメニューを少し変える。対旭丘用の実戦練習も取り入れる予定だ」
コーチ陣からの説明が続き、ミーティングは30分ほどで終わった。
解散の声がかかると、俺は荷物をまとめて立ち上がる。
「風間」
名前を呼ばれて振り返ると、神宮寺先輩が立っていた。
「……焦るなよ。お前は、もうウチの“仲間”なんだからな」
ぽんと肩を叩かれる。
「……はい」
その言葉を、胸に深く刻んだ。
(……次も、勝つ)
チームの信頼。
春日とのバッテリー──
すべてを背負って、次のマウンドに立つ覚悟は、もうできていた。
<ステータス>
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名前:風間 拓真(Kazama Takuma)
ポジション:投手(左投左打)
球速:135km/h
コントロール:C(62)
スタミナ:C(63)【↑】
変化球:ストレート2,
カーブ2,
スクリュー2,
ジャイロカッター3
守備:D(57)
肩力:D(57)
走力:D(55)
打撃:ミートD(51)、
パワーD(50)【↑】
捕球:D(55)
特殊能力:元天才・逆境○・
ピッチングの心得(Lv2)・
継続○・意外性・対強打者○・
打撃センス○・
ノビ◎・
強心臓・
スライディング・
未来への一歩・
選球眼・リベンジ・
負けないエース・
投打躍動・緩急◎
成長タイプ:元天才型
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