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元・天才ピッチャー、転生先では俺だけが見える“野球スキル”で無双する 〜ケガで終わった俺が、ざまぁと完全試合で夢を取り戻す〜  作者: 猫又ノ猫助
新しい世界で

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第88話 バッテリー

 ベンチに戻ると、金城先輩が軽くタオルを投げてくれた。


「ナイスピッチ、風間。あのインハイ、よく投げたな」


「ありがとうございます」


 胸の奥にまだ熱が残ってる。ヒットは打たれた物の、俺は──春日と野球が出来てやっぱり、楽しかった。


 春日が少し遅れてベンチに入ってくると、マスクを外しながら俺に近づいてきた。


「やっぱりさ。お前の球、面白いわ」


「……面白い、ってどういう意味だよ」


 思わず笑ってしまった。春日はベンチの端に腰を下ろし、グラブを膝に置いて、真面目な顔で言った。


「ストレート、前より伸びてるし、あのジャイロカッター……。マジでエグい。打者が、完全に目線を持ってかれてた」


「今日、お前のサインがすげー分かりやすかった。なんか……タイミングが合うなって思った」


「俺も。同じこと思ってた」


 ふたり、自然と笑い合った。騒がしい周囲の声が、少しだけ遠くなる。


「佐野先輩とは、比べられないけど……」


「違うタイプだからこそ、いいんだよ」


 俺は、そう答えた。今の気持ちに、嘘はなかった。


 ──この試合、春日となら、きっと乗り切れる。


 ふと視線を感じて顔を上げると、先輩達がこちらを見て、軽く親指を立てていた。



 2回表、再び俺たちの攻撃が始まる。


 相手ピッチャーの表情は、既に初回とは違っていた。慎重で、呼吸が浅くなっている。初回に3点取られたプレッシャーがにじんでいた。


(まだ押し込める──流れはウチにある)


 そして、打席は8番──俺。


(必ず、“芯”で打つ)


 初球、外角低めのスライダー。見送り、ボール。


 二球目、甘く浮いたストレートを叩く。バットに乗った打球はライト前にポトリと落ち、クリーンヒット。


「ナイスバッティング風間っちー!」


 ベンチから猫宮先輩の声が飛ぶ。ノーアウト一塁。


 続く打席は──9番、春日。


 急遽一軍に昇格したばかりの春日にとって、ここは正念場。


(……お前なら打てる。焦らず行こう、春日)


 春日は小さく深呼吸し、静かに構える。


 初球、送りバントの構えからスッとバットを引き、見送ってストライク。


 二球目、再びバントの構え。今度はしっかりと当て、ボールはピッチャー前へ転がる。


「バント成功!」


 きっちり一死二塁の形を作って見せた春日に、ベンチから拍手が湧いた。


(春日……ナイスプレー)


 ここで迎えるは一番、猫宮先輩。


「はいはい、僕の出番ね」と冗談めかしながらも、目は鋭く研ぎ澄まされている。


 カウント1ボールからの二球目、外角スライダーを逆らわず弾き返す。


 打球は三遊間を鋭く抜けた──!


「よっしゃ! 走れ!」


 コーチの合図に従いホームへ駆け込むと──1点追加、スコアは4-0。


(……流れは完全にこっちだ)


 ベンチが総立ちになる中、俺はベンチで拳を握る。


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