第82話 戦線離脱と帰ってきた相棒
その知らせは、夕方の全体練習前、部室にコーチが現れたことで告げられた。
「……佐野は、右手首の軽度捻挫。骨には異常ないが、大事を取って、少なくとも今週いっぱいは出場停止だ」
その一言で、部室に微かな緊張が走る。
無理もない。
佐野先輩は、ただのレギュラー捕手じゃない。
1軍の精神的支柱であり、投手陣からの信頼も厚い“要”だ。
「代わりに、明後日の準々決勝からは、笹原を正捕手としてスタメン起用する」
監督の視線の先、三年の笹原先輩がひとつうなずいた。
控えながらも誠実に練習を続けてきた選手であり、佐野先輩が一軍に上がる前には正捕手をやっていた人だ。
そして、続く監督の言葉が、さらなる空気の変化をもたらした。
「加えて、一年で活躍している春日を二軍から一時的に1軍帯同メンバーに昇格させる。控え捕手としてベンチ入りだ。お前のガッツと守備力に期待している」
「はいっ!」
緊張気味に背筋を伸ばし、大きな声で返事した春日の声が、部室に反響した。
周囲から「おお」「今年の一年は凄いな」「頑張れよ!」といった声が上がる中、俺は無意識に春日の方を見ていた。
春日はほんの一瞬だけ目を合わせ、すぐに目を伏せていたが──その顔には、いつものような自信満々の笑みではなく、真剣な、覚悟を決めた表情があった。
(春日……)
正直、佐野先輩が戦線離脱したことに不安がないと言えば嘘になる。
佐野先輩との間で積み上げてきたバッテリーの“感覚”は、そう簡単に他人と共有できるものじゃない。
でも──
(それ以上に、春日とこんなに早く一軍で会えた事に言いようのない熱が胸の内に芽生える)
春日がベンチに入るということは、それだけ連携を求められるということだ。
佐野先輩のためにも、そしてチームのためにも──
この新しいバッテリーで、準々決勝を勝ち抜かなければならない。
笹原先輩がミットを肩に担ぎながら、俺の横に並んでつぶやいた。
「……お前が佐野と築いてきた感覚、完全には真似できない。でも、できる限り合わせていく。遠慮なく言ってくれ」
「……ありがとうございます。よろしくお願いします」
俺も、腹を括った。
そして、春日と目が合う。
春日は口元に小さく笑みを浮かべて、ぼそりとひと言。
「やっと、隣に立てたな。頼りにしてるぜ、エース」
俺はその言葉に、軽く頷いて返す。
たとえ不安があっても、立ち止まる理由にはならない。
──戦いは、もうすぐそこだ。
<ステータス>
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名前:風間 拓真(Kazama Takuma)
ポジション:投手(左投左打)
球速:135km/h
コントロール:D(59)【↑】
スタミナ:C(61)【↑】
変化球:ストレート2,
カーブ2,
スクリュー2,
ジャイロカッター2
守備:D(55)
肩力:D(57)
走力:D(55)
打撃:ミートD(51)、
パワーE(49)
捕球:D(55)
特殊能力:元天才・逆境○・
ピッチングの心得(Lv2)・
継続○・意外性・対強打者○・
打撃センス○・
ノビ◎・
強心臓・
スライディング・
未来への一歩・
選球眼・リベンジ・
負けないエース・
投打躍動・緩急○
成長タイプ:元天才型
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