第80話 小春の気持ち
夕方のグラウンド。
練習が終わり、数人の部員が談笑しながら帰り支度をしている。
その端っこ、小春は、誰とも話さずに一人で荷物をまとめていた。
(……行け、俺)
深く呼吸をしてから、足を踏み出す。
近づいた俺に、小春が気づく。
けれどその顔には、昨日のような戸惑いも、涙の色もなかった。
穏やかで──でも、どこか遠い。
「小春」
「……うん」
小さく返事をして、顔を上げる。笑っているようにも見えた。でも、その笑みは薄氷みたいに脆く見えた。
「今日、藤井と話した」
俺はストレートに切り出した。
小春は驚いたようにまばたきしたけど、すぐにうなずいた。
「……うん、知ってた」
「ちゃんと、断った。返事はできないって伝えたよ」
それを聞いて、小春はほんの少しだけ目を伏せた。
風が制服の裾をかすめていく。
「そっか……ありがとう。正直に言ってくれて」
「小春……昨日、謝ってたよな。なんにも言えなかったって」
「……うん」
それは、俺にじゃなくて──きっと、自分に対しての言葉だったのかもしれない。
「でもさ、小春が何を考えてたのか、俺、ちゃんと聞きたい。昨日の電話のことも。今の気持ちも」
言い終えて、俺は目を逸らさずに小春を見た。
小春は、迷うように口を開きかけ──けれど、結局こう言った。
「……私、馬鹿だなあ」
笑いながら、けれどその笑みは涙ぐんでいた。
「人のこと応援するふりして、心の中では止めたくて……でも何もできなくて」
「小春──」
「何も言えない自分にイライラして、ぐちゃぐちゃになって……ほんと、自分が嫌になるくらい」
俺は、一歩だけ踏み出した。でも、それ以上は近づけなかった。
「でも……ね、風間くん。私、今はまだ言わない。まだ、ちゃんと伝えられる自信がないから」
そう言って、精一杯の笑顔を浮かべた。
「それでも、そばにいていい? また、応援させてくれる?」
その言葉に、俺は深く頷いた。
胸の奥で何かが熱く、でも静かに灯るのを感じながら。
「……ああ。いてくれ、小春。お前がそばにいると、俺、すげぇ安心するんだ」
小春は、ゆっくりと目を細めて──今度こそ、心からの笑みを浮かべた。
「ありがと。私も、がんばるね」
その言葉が、どれほどの覚悟を背負っていたのか。
きっと俺は、まだ知らない。
<ステータス>
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名前:風間 拓真(Kazama Takuma)
ポジション:投手(左投左打)
球速:135km/h
コントロール:D(57)
スタミナ:D(59)
変化球:ストレート2,
カーブ2,
スクリュー2,
ジャイロカッター2
守備:D(55)
肩力:D(57)
走力:D(55)
打撃:ミートD(51)、
パワーE(49)
捕球:D(55)
特殊能力:元天才・逆境○・
ピッチングの心得(Lv2)・
継続○・意外性・対強打者○・
打撃センス○・
ノビ◎・
強心臓・
スライディング・
未来への一歩・
選球眼・リベンジ・
負けないエース・
投打躍動・緩急○
成長タイプ:元天才型
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