第79話 告白の返事
次の日の朝、どうにも気持ちが落ち着かないまま練習を終えた。
昨日の電話、小春の様子、そして藤井からのメッセージ。
普段なら、目の前の課題や練習にだけ集中できるのに──今日は違った。胸の奥がそわそわして、上手く呼吸ができない。
藤井という名前の女子と、ちゃんと話した記憶なんてほとんどない。でも、昨日の文面は、明らかに“そういうニュアンス”だった。
(……小春は、全部わかってたんだよな)
それが変にひっかかっていた。
告白されること自体じゃなくて、小春がそのことを知っていて、何も言えなかったって言っていたことのほうが──引っかかっていた。
そんなもやもやとした気持ちのまま午前中の授業を終え、いつも通り春日と小春と昼食を取ろうかと考えた所で名前を呼ばれた。
顔を上げると、そこに立っていたのは──藤井だった。
「……あの、風間くん。今、大丈夫?」
◇
呼び出されたのは、中庭の植え込みのベンチだった。
春先に咲く白い花が少しだけ風に揺れている。
「突然で……ごめんね」
「ううん。昨日、連絡ありがとう」
言い出すのを待つように、俺は黙った。藤井は少し緊張したように唇を結び、それから意を決したように俺を見る。
「ずっと、ずっと前から、風間くんのこと見てた」
「……」
「部活で頑張ってる姿とか、クラスではあまりしゃべれてないけど、優しいところとか……。正直、小春ちゃんと仲がいいのもわかってた。でも、どうしても気持ちが止められなかったの」
まっすぐな告白だった。言葉に迷いがなく、震えもしていない。
(……覚悟を決めて、来たんだな)
俺は、ゆっくりと息を吐いた。
「ありがとう。俺のことを、そんなふうに見てくれてたって……それは嬉しいよ」
でも。
ここで、嘘はつけなかった。
「ごめん。俺、今……返事できない。たぶん、今のままじゃ、気持ちに応えられないと思う」
藤井は少しだけ俯いたけど、すぐに顔を上げて微笑んだ。
「うん、そう思った。……でも、ちゃんと伝えられてよかった」
その笑顔がどこか小春に似ていた。強くて、優しくて、ちょっと切ない。
「ありがとう、風間くん。これからも……頑張ってね。マウンドの上のあなた、きっともっとすごくなるから」
それだけ言って、藤井はゆっくりと背を向け、肩を震わせながら足早に去っていった。
──俺はその背中を、追うことはなかった。
◇
放課後になり、部活の練習時間になり、いつも通り練習に参加したもののどこか心の中にはひっかかりを感じる物があった。
(今のまま、小春と話して……ちゃんと、向き合えるんだろうか)
だけど、立ち止まっているだけでは、何も始まらない。
そう思い立つと俺は、小春が立つ場所へ向かっていった。
<ステータス>
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名前:風間 拓真(Kazama Takuma)
ポジション:投手(左投左打)
球速:135km/h
コントロール:D(57)
スタミナ:D(59)
変化球:ストレート2,
カーブ2,
スクリュー2,
ジャイロカッター2
守備:D(55)
肩力:D(57)
走力:D(55)
打撃:ミートD(51)、
パワーE(49)
捕球:D(55)【↑】
特殊能力:元天才・逆境○・
ピッチングの心得(Lv2)・
継続○・意外性・対強打者○・
打撃センス○・
ノビ◎・
強心臓・
スライディング・
未来への一歩・
選球眼・リベンジ・
負けないエース・
投打躍動・緩急○
成長タイプ:元天才型
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