第76話 控室にて
ロッカールームのドアをくぐった瞬間、ぶわっと空気が揺れた。
「ナイスピッチング、風間っち!」
「お前、マジでいい投球だったぞ!」
「1年なのに1人で投げ切って、7回0点に抑えるのはエグすぎんだろ!」
思わずたじろぐほどの声が、あちこちから飛んできた。
でも、嫌な感じじゃなかった。むしろその輪の中に、自分の居場所がちゃんとあるのが嬉しかった。
「……ありがとうございます」
少しだけ硬い声になってしまったけど、それでも自然に笑みがこぼれる。
「謙虚か!」と誰かがツッコんで、笑いが起きた。
そのまま、金城先輩がタオルを肩にかけたまま近づいてきた。
「お前、あの七回裏……“狙って”締めに行ってたよな?」
「……まぁ、はい」
正直、意識していた。あそこをゼロで終わらせれば、試合が終わる。そう思っていた。
「やるじゃん、風間っち。普通、あの場面で欲張ると力むのに、ちゃんと落ち着いてた」
そう言ったのは、猫山先輩だった。
「ピッチングだけじゃなくて、打席の入りもよかったしな。セカンドゴロだったけど、全然悪くない当たりだったよ」
佐野先輩が隣で言ってくれた。
その言葉だけで、打てなかった悔しさが少し溶けていく。
「佐野先輩のリードが完璧でしたから」
「へいへい、また謙虚に逃げやがって」
茶化しながら、佐野先輩がタオルで俺の後頭部をわしゃわしゃとこする。
「けど、マジで……あれだけ投げ切ったのはすげぇよ。自信、持っていい」
目が合った。真剣な瞳に、思わず背筋が伸びた。
「はい……ありがとうございます」
本心だった。今までのどの試合よりも、今日の一球一球が濃かった。
プレッシャーも、緊張も、でもそれ以上に、充実感があった。
ふと、神宮寺先輩が壁に寄りかかりながらこっちを見ていた。
「……お前、口よりピッチングで語るタイプか?」
「……かもしれません」
「なら、それでいい。そのまま行け」
そう言って、短くうなずいた神宮寺先輩の横顔が、やけに格好よく見えた。
◇
控室に戻ったというのに、まだ頭の中では試合の余韻が渦巻いていた。
でも、もう一つ──心に灯ったものがある。
(この場所――一軍で、戦っていける)
今日だけじゃない。明日も、次の試合も、この1軍の一員として。
「風間、次は打点も取ろうな」
誰かの声に、自然と「はい」と答えた。
──俺は、ここにいる。
このチームで、もっと強くなってみせる。
<ステータス>
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名前:風間 拓真(Kazama Takuma)
ポジション:投手(左投左打)
球速:134km/h
コントロール:D(55)
スタミナ:D(59)
変化球:ストレート2,
カーブ2,
スクリュー2,
ジャイロカッター2
守備:D(55)
肩力:D(57)
走力:D(55)
打撃:ミートD(51)、
パワーE(49)
捕球:D(53)
特殊能力:元天才・逆境○・
ピッチングの心得(Lv2)・
継続○・意外性・対強打者○・
打撃センス○・
ノビ◎・
強心臓・
スライディング・
未来への一歩・
選球眼・リベンジ・
負けないエース・
投打躍動・緩急○
成長タイプ:元天才型
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