第74話 佐野から見た風間
──あいつ、調子が上がってきてるな。
三回表をゼロで締めくくり、風間のボールを受け止めたミットを握りながら、そう思った。
冷静な表情の下に、ギリギリと熱を秘めてる。試合を“支配しにいってる”やつの目をしていた。風間がマウンドを降りるまでは、ウチは崩れない──そう確信させる雰囲気が、すでに出てる。
(ならこっちは……打って、点を取って、突き放すだけだ)
四回裏の攻撃。打席には三番の山岡先輩。
初球のストレートを、山岡先輩は見逃さなかった。快音を残して打球は左中間を深々と破る。
「ナイスバッティング!」
ノーアウト二塁。ベンチがどよめく。そこから四番・神宮寺先輩がきっちり進塁打を打ち、五番の金城先輩が左中間へタイムリー。スコアは5-0。
この時点で、もう相手の内野陣に焦りの色が見えてた。投手も肩が下がってる。こっちは逆に、どんどんギアを上げていく。
そして俺の打席が回ってくる。
(ランナー二塁。ここで打てば完全に勝ちパターンだな)
初球、ボール。二球目、甘く入ったスライダー。
見逃さない。
スイングと同時に、芯を食った感触がバットから腕を伝ってくる。打球はぐんぐん伸びて、センターの頭を超えた。
「よっしゃ、タイムリーだ!」
ベンチから声が飛ぶ。ランナーがホームに返り、スコアは6-0。これで完全に主導権を握った。
その後の打者は凡退したが、十分すぎる追加点だ。
守備につく時、俺はそっとマスクの内側で笑った。
(さあ風間、お前の時間だ)
◇
四回表。風間は相手の七番・八番・九番をきっちり抑えた。
特に九番打者に対しては、スクリューで空振り三振を奪う内容。スピードだけじゃない。緩急、配球、気迫──どれも堂々たるものだった。
バックの守備も光った。猫宮が打球に飛びついて、ヒット性の当たりをアウトに変える。内野が、あいつを信じて動いてるのをつくづく感じた。
やはり、二年で真っ先に一軍入りした実力は伊達じゃない。
◇
五回、上位打線を危なげなく切って落とした風間の投球に舌を巻きながら迎えた五回裏、打線がまた繋がった。
八番が四球で出塁し、風間は送りバント。さらに一番の猫宮が鋭いツーベースを放ち、スコアは7-0。
これで、点差は“7点”。コールドラインに乗る。あとは、守って守って、点をやらずに試合を終わらせるだけだ。
◇
六回表、風間は一人のランナーも許さなかった。
まるで、自分で点を取って自分で抑える、一年にも関わらず、既に一軍で無くてはならない存在になりつつある。あいつとバッテリーを組んで長い訳では無いが、不思議と安心感がある。
サインに首を振ったときも、読めるんだ。
(ああ、こいつ、決めにくるな)って。
そして、実際に三振を取ってくる。
ストレートのキレも、変化球のコントロールも、全部が試合の中で生きてる。
相手打線の顔つきが、もはや“諦め”に変わっているのが、キャッチャーの視界からでもはっきりわかる。
(この試合、間違いなく以前の試合より成長してるな)
俺はミットを叩いて合図する。
いこう、風間。次で終わらせるぞ。
<ステータス>
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名前:風間 拓真(Kazama Takuma)
ポジション:投手(左投左打)
球速:134km/h
コントロール:D(55)
スタミナ:D(59)
変化球:ストレート2,カーブ2,
スクリュー2,
ジャイロカッター2
守備:D(55)
肩力:D(57)
走力:D(55)
打撃:ミートD(51)、
パワーE(49)
捕球:D(53)
特殊能力:元天才・逆境○・
ピッチングの心得(Lv2)・
継続○・意外性・対強打者○・
打撃センス○・
ノビ◎・
強心臓・
スライディング・
未来への一歩・
選球眼・リベンジ・
負けないエース・
投打躍動
成長タイプ:元天才型
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