第70話 朝練の合間に
翌朝、練習が始まってからも、九条の言葉が頭の中をぐるぐる回っていた。
「低レベルすぎて笑ったわ」──あの一言が、脳裏に何度も焼きついて離れない。
一旦休憩に入ったグラウンド。その中央の、マウンドを見つめる。
(あそこに、絶対の自信を持って立てるのか……)
心のどこかに、ほんのわずかな不安がある。それを打ち消すように、練習へと打ち込んでいく。
先日の試合では登板してすらいない。でも、ベンチで学んだことは多かった。
「序盤の主導権をどう奪うか」
「長打の後の一球の意味」
「外野の守備位置とバッテリーの呼吸」
頭に浮かぶまま、シャドウピッチングと共に脳に刻みこんでいく。これが、俺なりの“燃料”なんだ。
「……何してんだ、お前」
声がして振り返ると、佐野先輩が脇に立っていた。手にはスポーツドリンクのボトル。
「すみません。落ち着かなくて」
「そっか。まぁ、俺も似たようなもんだ」
佐野先輩は笑って、隣に腰を下ろす。そしてぽつりと口を開いた。
「九条のこと、気にしてんだろ?」
図星だったけど、何も言わずにうなずいた。
「アイツはな、去年からずっと“勝つこと”に飢えてる。それこそ、お前が思ってる以上にだ。ああいう奴は、怖くて仕方ないんだよ。だから先に叩く。口でな」
「……でも、ビデオで見たあの人のボール、本物ですよ。去年の映像、何度も見てます。俺じゃ、まだ勝てない」
「だったら、勝てるようになればいい。焦らず、でも止まらず。今お前の中にある“火”を、絶やさないことだ」
佐野先輩の言葉が、じんわり胸にしみる。
「先輩は、入学当初から自信あったんですか?」
「あるわけないだろ。俺だって一年の間はずっと“控え”だった。でもな、ある日突然チャンスが来る。その時に“準備できてるか”で、未来が決まる」
その言葉に、ハッとした。
(準備……か)
今はまだ“その時”じゃない。でも、いずれ来る。なら、それに備えなければならない。
「俺、練習もっと頑張ります」
「おう。じゃあ、俺も付き合ってやる」
にやりと笑った佐野先輩の横顔は、いつものふざけた態度とは違って少し大人びて見えた。
そうして、俺たちはしばらくの間、無言でマウンドを見つめていた。
俺に必要なのは、才能じゃない。努力の継続と、諦めない心。そして、勝ちたいという“炎”。
──今はまだ、風前の灯かもしれない。
でもいつか、誰よりも大きな炎になって、マウンドを支配する。
(待ってろよ、九条……お前に、見せてやる)
<ステータス>
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名前:風間 拓真(Kazama Takuma)
ポジション:投手(左投左打)
球速:134km/h
コントロール:D(55)
スタミナ:D(58)【↑】
変化球:ストレート2,カーブ2,
スクリュー2,
ジャイロカッター2
守備:D(54)
肩力:D(57)
走力:D(55)【↑】
打撃:ミートD(51)、
パワーE(49)
捕球:D(53)
特殊能力:元天才・逆境○・
ピッチングの心得(Lv2)・
継続○・意外性・対強打者○・
打撃センス○・
ノビ◎・
強心臓・
スライディング・
未来への一歩・
選球眼・リベンジ・
負けないエース・
投打躍動
成長タイプ:元天才型
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