第69話 城東学園との再会
次の試合では、俺はコーチ達の強い意向もあり、平間監督からベンチスタートを告げられる中、金城先輩が先発となった。
冷静沈着なマウンドさばき、的確な配球、打者の手元で沈むスライダーとキレのあるツーシーム──甲子園常連校のエースだけあり、試合を作る力はさすがだった。
結果、スコアは8-0。相手に一度も流れを渡さず、終始こちらのペース。佐野先輩や山岡先輩も活躍する中、俺はベンチから何度も唸らされていた。
(……ああやって試合を支配するのが、本当のエースなんだな)
俺もあんなふうに、チームを託される存在になるために必要な事はスタミナ以外に何があるだろうか。そんなことを思っていると──
「よォ、早実の“話題の”新入りくん」
球場の外で、他校のユニフォームを着た男が立っていた。背が高くて、白いユニフォームには「城東学園」の刺繍。そして、鋭い目つき。
……九条。去年の決勝で早実をギリギリまで追い詰め、先日偵察にも来ていた男だ。
俺が何も言い返さないでいると、代わりに金城先輩が前に出た。
「次の対戦候補として、偵察か? 今年の城東はよほど余裕が無いと見える」
「馬鹿言うな。俺達は近くの球場でコールドで勝ちしたからな、折角だからお前らン所の噂の一年に文句言いに来てやったんだ。どうせ、お前らも困ってんだろ? そこの実力不足の一年に」
九条の視線が、真っ直ぐ俺に突き刺さる。
「お前が投げてんの見たぜ。あれ、低レベルすぎて笑ったわ。流石に早実の監督陣もウチ相手にお前を投げさせるようなバカはしねぇだろうが、去年早実にたまたま負けたウチまで低くみられるから、これ以上投げるのはやめてくれよ」
ムッとしたけど、俺は言い返さなかった。いくら言葉でいったところで、意味なんて無いのだから。
金城先輩が代わりに口を開いた。
「お前の曇った眼にはそう見えるのかもな、九条。だがな、コイツは今に燃え上がって、お前みたいな“投手”なんて簡単に焼き尽くす時がくる」
「……へぇ。随分買ってるんだな」
「後輩だからな。それに、実力があるのは確かだ。俺たちは、お前に再び勝ち、甲子園を優勝するために野球をやってんだよ」
そんな金城先輩に対し、九条が口の端を吊り上げて笑う。
「そりゃ楽しみだ。じゃあ、また本番で会おうぜ、火種くん。せいぜい風よけにでもなってくれや」
そう言い残して、九条は去っていった。
俺は思わず拳を握ったけど、金城先輩の手がそっと肩に触れた。
「気にするな。言葉で挑発する奴ってのは、大体“心のどこかに不安がある”もんだ」
「……先輩、俺、アイツに通用すると思いますか?」
「“今”じゃなくてもいい。“そのうち”確実に、通用する。だから焦るな。火は、酸素が足りれば勝手に燃える」
金城先輩の背中を追って、俺たちはチームメイトと共にバスへと乗り込んだ。
窓の外で、九条の背中が遠ざかっていく。
(次は、言葉じゃなくて、マウンドで──黙らせてやる)
その日、心の奥に確かに火が灯った気がした。
<ステータス>
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名前:風間 拓真(Kazama Takuma)
ポジション:投手(左投左打)
球速:134km/h
コントロール:D(55)
スタミナ:D(57)【↑】
変化球:ストレート2,カーブ2,
スクリュー2,
ジャイロカッター2
守備:D(54)【↑】
肩力:D(57)
走力:D(54)
打撃:ミートD(51)、
パワーE(49)
捕球:D(53)
特殊能力:元天才・逆境○・
ピッチングの心得(Lv2)・
継続○・意外性・対強打者○・
打撃センス○・
ノビ◎・
強心臓・
スライディング・
未来への一歩・
選球眼・リベンジ・
負けないエース・
投打躍動
成長タイプ:元天才型
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