第66話 監督会議
試合翌日、午後一時。球団の会議室。
重たい空気の中、俺──鬼島は、上層部と平間一軍監督のやり取りを無言で聞いていた。
「なぜ、あの場面で風間を交代させたのかね、平間監督?」
上層部の一人、編成部長が眉間に皺を寄せる。
「点差は6点。交代の必要はなかったように思うが?」
平間はいつものヘラヘラした表情で背筋を正しながら、おろおろと答えた。
「……私の判断じゃありません。あの場面、ベンチコーチがかなり強く進言してきたんです。『これ以上はスタミナが限界』『疲労で崩れる可能性がある』といいまして」
言い訳めいた言い回しに、空気がまた一段階重くなる。
「だが、それでも最終判断を下すのは監督だろう?」
「そ、そうなんですが、もし続投させて、何かあったら、問題になったかと思いまして」
編成部長が口を閉ざし、場に気まずい沈黙が流れる。
──俺は、脇の端末に目をやる。映像が再生されていた。
7回、風間が四球を連続で出した場面。肩が少し落ち、明らかに呼吸が浅くなっている。下半身の粘りが切れかけていた。
あれ以上投げていれば、肩か肘に無理がかかった可能性は否定できなかった。
「……俺から見ても、あの交代は“正しかった”と思う」
静かに口を開くと、全員の視線が俺に向いた。
「風間は確かに好投した。だが、試合後のデータを確認しても、投球フォームに微妙なズレが生じてた。投げ続けていたら、筋肉損傷か、フォームの崩壊に繋がっていたかもしれない」
上層部が口をつぐみ、平間が少しだけ得意げに鼻を鳴らす。
「だからこそ──今後の登板機会は、慎重に増やすべきだと俺は思っている」
「……そうは言うがな、今彼の注目度は高い。だからこそチャンスは与える。機会があれば、一軍でも積極的に投げさせるべきだ。仮にそれで潰れたとしても所詮は一般生上がりだしな」
「了解しました。私の方でも、積極的に参加させるようにします」
平間が何度も頭を下げながらもその後は話は続き、しばらくして会議が終わった。平間がそそくさと部屋を後にする。その背中を見送りながら、俺は深く息を吐いた。
(あいつ……自分の責任は認めないくせに、評価には乗っかってくる。まぁ、あれも一つの処世術か)
だが、それは俺のやり方じゃない。
(風間──お前はもう、一軍に名前を刻んだ。だからこそ、“潰させない”)
俺は立ち上がり、胸ポケットからメモを取り出す。
そこには、俺が現役時代に同じような疲労から故障した若手の名前が記されていた。
(同じ轍は踏まさない)
まずは次の練習で、風間と話す時間を取ろう。技術面はもちろん、あいつには「自分を守るすべ」も教えてやる必要がある。
──才能だけで戦えるほど、プロの道は甘くない。
俺は背広の襟を正し、グラウンドへと向かった。
<ステータス>
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名前:風間 拓真(Kazama Takuma)
ポジション:投手(左投左打)
球速:134km/h
コントロール:D(53)
スタミナ:D(55)
変化球:ストレート2,カーブ2,
スクリュー2,
ジャイロカッター2
守備:D(53)【↑】
肩力:D(57)
走力:D(54)
打撃:ミートD(51)、
パワーE(49)
捕球:D(52)【↑】
特殊能力:元天才・逆境○・
ピッチングの心得(Lv2)・
継続○・意外性・対強打者○・
打撃センス○・
ノビ◎・
強心臓・
スライディング・
未来への一歩・
選球眼・リベンジ・
負けないエース・
投打躍動
成長タイプ:元天才型
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