第65話 試合終了
田中先輩の投球は、まさに精密機械だった。
俺が四球で揺らした試合の流れを、一瞬で取り戻してしまうような、鋭くて、無駄のないピッチング。
バッターはタイミングが合わず、次々に打ち取られていった。三者凡退。まるで、何もなかったかのように。
八回。
俺たちはさらに追加点を挙げた。代打で出た先輩がタイムリーを放ち、点差は7点差へ。ベンチがどよめく。
そして、九回表。
迎えた最後の攻撃、再び打席に立った安藤に対して──田中先輩は容赦がなかった。
速球とスライダーで追い込み、最後は内角高めのストレートでズバンと見逃し三振。安藤が悔しそうにバットを叩きつけたあと、「俺の実力はこんなもんじゃねぇ!!」と叫んでいた所で、審判から退場させられたのを、俺はベンチから静かに見ていた。
(……これが、一軍のメンバーか)
まざまざと見せつけられた。自分もその一員になれたことが、どれほど大きな意味を持っていたか。
「ゲームセット!」
グラウンドに響き渡るコール。
試合終了──スコアは7-0。圧勝だった。
俺はベンチで立ち上がり、胸の奥からこみ上げてくるものをぐっと飲み込んだ。嬉しさ、悔しさ、達成感。それら全部が混ざり合って、言葉にならなかった。
肩をポンと叩かれ、振り返ると佐野先輩が笑っていた。
「よくやったじゃん。あれだけ投げて、ヒットも打って。最高の仕事だったよ」
その瞬間──視界が揺れた。いや、視界じゃない。感覚だ。
身体の奥から、なにかが確かに芽生えていた。
……ピコンッ。
見慣れた文字が、脳裏に浮かび上がる。
【投打躍動を獲得しました。投打躍動:打撃で好調の際に球速・コントロールが2上昇】
思わず、小さく笑った。
(投げて、打って、勝たせた……か)
まだまだ俺は発展途上だ。スタミナも、制球も、もっと上げていかないと通用しない。
けど──今だけは、自分をちょっとだけ誇っていい気がした。
グラウンドの真ん中で、田中先輩が軽く帽子を取って観客に頭を下げていた。
俺もそれに倣って、キャップのつばに手をかけ、深く、深く礼をした。
(まだ終わりじゃない。ここからだ)
次は、完投で勝つ。
それが、今日の俺が得た決意だった。
【2回戦、終了】
【評価:A】
【コーチ陣の評価が上がりました】
【一軍選手達からの評価が上がりました】
【ジャイロカッターが1上昇しました】
<ステータス>
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名前:風間 拓真(Kazama Takuma)
ポジション:投手(左投左打)
球速:134km/h
コントロール:D(53)
スタミナ:D(55)
変化球:ストレート2,カーブ2,
スクリュー2,
ジャイロカッター2【↑】
守備:D(53)
肩力:D(57)
走力:D(54)
打撃:ミートD(51)、
パワーE(49)
捕球:D(51)
特殊能力:元天才・逆境○・
ピッチングの心得(Lv2)・
継続○・意外性・対強打者○・
打撃センス○・
ノビ◎・
強心臓・
スライディング・
未来への一歩・
選球眼・リベンジ・
負けないエース・
投打躍動【new】
成長タイプ:元天才型
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