第58話 スタメン発表
白球の音が鳴り響くグラウンドに、珍しく平間監督がいつものスーツ姿でやってくると声が響いた。
「次戦――北西高校戦のスタメンを発表する」
練習後の整列。選手たちは一様に引き締まった表情で監督を見つめている。
「一番・ショート・猫宮、二番・セカンド・佐野・三番……」
順に名前が読み上げられていく。俺は列の中で、無意識に手のひらに汗が滲むのを感じていた。
そして――
「九番・先発ピッチャー・風間」
一瞬、耳を疑った。周囲がざわつく。振り返ると、金城先輩を始めとした上級生投手たちの視線がこちらに集まっていた。
(……俺が、先発?)
試合に出られる。名誉なことのはずなのに、胸の中はざわついていた。
練習解散の号令がかかると同時に、俺は監督のもとへ駆け寄った。
「監督!」
平間が振り向く。
「本当に、次の試合……自分が先発でいいんですか? 金城先輩たちの方が経験も……」
言いかけた言葉に、平間は少しだけ眉を動かした。そして、淡々とした声で答えた。
「……上層部の指示だから、君を選んだ具体的な理由を僕の口からは言うことはできない。ただ、君にはそれだけ皆の期待がかかってるってことだよ。まぁせいぜい頑張って」
それだけを言い残し、監督は足早にグラウンドの外へと歩いていった。
残された俺は、握りしめた拳をゆるめながら、しばらくその背中を見送った。
◆
「風間、難しい顔してんじゃねーよ」
声をかけてきたのは佐野先輩だった。片手にボトルを持ちながら、にやりと笑う。
「試合で投げられるってだけで、すげぇことなんだぜ? せっかくのチャンスだ。ぶちかませよ」
続いて猫宮先輩が合流する。
「風間っちのボール、練習試合で何度も見てるけど、きっと通用するよ。胸張って行こ。大丈夫、後ろに逸らしてもボクが守ってるから!」
そんな風に励ましてくれる猫宮先輩だったが、正直3年の先輩たちの今後がかかってる大事な場面で、まだ実力不足の俺が投げていい物なのか――そう考えてうつむいたまま何も言えずにいると、肩に静かに手が置かれた。
――金城先輩だった。
「風間」
その名前を呼ぶ声は、優しくも芯のあるものだった。
「お前が選ばれた理由が何であれ、グラウンドに立てば立場や思惑など関係はない。大事なのは、お前がどう投げるか、だ」
金城は視線をそらさず、まっすぐに言った。
「俺たちはお前を信じてる。だから、お前も――後ろを信じて、全力で投げてこい」
俺の胸に、熱い何かが込み上げた。
(理由なんて、もうどうでもいいのかもしれない)
安藤との因縁も、何を考えているのか今一つ掴めない上層部の思惑も。
今、目の前には――信じてくれる人たちがいる。
その事実さえあれば、俺には十分だった
「……はい。俺、やります。全力で」
金城先輩が満足そうに笑い、背中をぽんと叩いた。
夕陽が差し込むベンチの影の中で、風間はそっと拳を握る。
(マウンドで証明してみせる。このチームの一員として、俺が投げる価値があるってことを――)
<ステータス>
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名前:風間 拓真(Kazama Takuma)
ポジション:投手(左投左打)
球速:134km/h
コントロール:D(53)
スタミナ:D(55)
変化球:ストレート2,カーブ2,
スクリュー2,
ジャイロカッター1
守備:D(53)
肩力:D(57)
走力:D(54)
打撃:ミートD(51)【↑】、
パワーE(48)
捕球:D(51)【↑】
特殊能力:元天才・逆境○・
ピッチングの心得(Lv2)・
継続○・意外性・対強打者○・
打撃センス○・
ノビ◎・
強心臓・
スライディング・
未来への一歩・
選球眼・リベンジ・
負けないエース
成長タイプ:元天才型
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