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元・天才ピッチャー、転生先では俺だけが見える“野球スキル”で無双する 〜ケガで終わった俺が、ざまぁと完全試合で夢を取り戻す〜  作者: 猫又ノ猫助
新しい世界で

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第47話 客寄せパンダ

<鬼島視点>

 一軍との試合から一夜明けた午後、俺は2軍監督として本部の会議室で上層部への報告を行っていた。


「――佐野と山岡については、及第点以上の働きを見せました。特に佐野は守備と走塁の両面で一軍水準の動きができており、即戦力として計算できるはずです」


 会議室のテーブル越しに、役員の1人が頷いた。


「うむ、我々も映像は確認済みだ。二人とも近く一軍に昇格させよう」


「了解しました」


 俺は淡々と返す。だが、そこで終わらなかった。


 別の役員が書類をめくりながら、ちらりとこちらを見た。


「それと……風間という一年、彼についても話したい。今、ネットでは話題になっているようだ。『無名の新人が一軍を翻弄した』とか、『育成の星』といった具合に」


 別の人物も頷きながら口を開いた。


「いっそ、うちの“初の一般生一軍昇格”として取り上げたらどうだ? 話題性は抜群だし、観客動員にも繋がる。今はパフォーマンスも重要な時代だからな」


 俺は眉をわずかに動かしつつ、落ち着いた口調で答える。


「……風間は将来性こそ感じますが、体格も球速もまだ未熟です。現時点では、二軍の野村の方が完成度は上。即戦力ではないと考えますが?」


 すると、別の役員が鼻で笑った。


「実力なんて二の次だよ。今は“物語”が求められているんだ。無名の選手が下克上していく姿に人は惹かれる。チームのブランド力を高めるにはうってつけだ」


 俺が無言で視線を向けると、その横では一軍監督が苦笑いを浮かべ、ただ頷いていた。


「たしかに……まあ、風間くんには、伸びしろがありますし……」


 一軍監督はいつも通り上の指示に従うだけだ――俺は心の中で毒づく。


(結局、選手達の成長よりも、メディアと客の顔色ばかりか……)


 言いたいことは山ほどあったが、言っても無駄なのはわかっていた。


 話を締めるように議長役の男が口を開く。


「では、佐野・山岡に加えて風間も一軍帯同とする。鬼島君、本人には君から伝えておいてくれ」


「……承知しました」


 その一言で会議は解散となった。


 椅子を引いて立ち上がろうとしたそのとき、横から一軍監督の声が聞こえてきた。


「議長、今週末のゴルフ、スケジュール空けてますから。例のコース、今年はグリーンが整ってるらしいですよ」


「ああ、そうかそうか。では、また連絡するよ」


 笑いながら席を立ち、馴れ合いの会話に花を咲かせる彼らを横目に、俺は肩で息を吐いた。


(……選手の未来を考えるより、よっぽど楽しそうだな)


 俺は黙って会議室を出た。


<風間視点>


 夕方。グラウンドの片隅でノックを受けていた俺は、コーチの1人に呼び止められた。


「鬼島監督がお前を呼んでる。監督室に行ってこい」


 そう告げられて監督室へ向かう途中、風間の胸はざわついていた。


 一軍戦での手応えは確かにあった。しかし、それが評価されたというには、何か釈然としない感触も残っていた。


 コンコン――ノックの後に入室すると、鬼島はすでに椅子に腰を下ろしていた。


「来たか」


 短く言って、少し沈黙が流れる。


 やがて、静かに口を開いた。


「……単刀直入に言おう、お前に一軍への帯同打診が来ている」


 俺は思わず、目を見開いた。

 この間の試合では何とか1軍を無得点に抑えることが出来たが、先輩たちが公式戦に臨むのとは違う心持ちで臨んでいたことは間違いない。


 それに、点数を取られたとはいえ、実績で考えれば野村先輩が1軍入りするのが妥当だと思われた。


 そう考えていると監督はすぐに続けた。


「だが――正直に言おう。上が望んでいるのは、お前の球ではなく話題性の方だ。一般生で一軍入り、二軍からの下克上、そういう“物語”が欲しいだけだ。……客寄せパンダにされかねん」


 そう告げられて俺は、目を伏せたまま言葉を噛みしめていた。


 実力ではなく、ただの話題作りのための選手――そう言われて、ようやく1軍入りについて腑に落ちた。


 実力で1軍入りできなかったことは、正直に言えば悔しい。


 だが、1軍入りすれば佐野先輩や山岡先輩――そして、神宮寺先輩を始めとした1軍の選手たちと一緒に野球が出来る。


 そう考えたら、答えは一つしかなかった。


「それでも、俺は一軍に行きます」


 監督の目が、少しだけ鋭く細まった。


「俺は、ただの客寄せパンダになるつもりはありません。行くからには、実力で一軍に通用するってことを証明してみせます」


 しばらく、沈黙。


 やがて、監督が口元をわずかに緩めた。


「……分かった。お前にとってチャンスであるのは、間違いないからな。ただし、口だけで終わるんじゃないぞ」


 そう告げられて俺は背筋を真っ直ぐに伸ばし、深く頭を下げた。


<ステータス>

 ===============

 名前:風間 拓真(Kazama Takuma)

 ポジション:投手(左投左打)

 球速:129km/h

 コントロール:D(51)

 スタミナ:D(54)

 変化球:ストレート2,カーブ2,

     スクリュー2,

     ジャイロカッター1

 守備:D(50)

 肩力:D(56)

 走力:D(50)【↑】

 打撃:ミートE(45)【↑】、パワーE(46)

 捕球:D(50)

 特殊能力:元天才・逆境○・

      ピッチングの心得(Lv2)・

      継続○・意外性・対強打者○・

      打撃センス○・ノビ〇・

      強心臓・

      スライディング・

      未来への一歩・

      選球眼・リベンジ


 成長タイプ:元天才型

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