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元・天才ピッチャー、転生先では俺だけが見える“野球スキル”で無双する 〜ケガで終わった俺が、ざまぁと完全試合で夢を取り戻す〜  作者: 猫又ノ猫助
新しい世界で

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第41話 1軍との邂逅

 その日、第2グラウンドには学園内外を問わず多くの観客が入っていた。

 

 ただの一軍と二軍の練習試合――しかし、その注目度は公式戦と同じかそれ以上のものがあった。


「風間ー! 応援に来たぞー!」


「風間くーん、がんばってー!」


 二軍側ベンチは一軍側ベンチと比べて明らかに数は少なく、スカウトなどが来ている一軍と違い学生が殆どをしめていたが、それでも同級生達が応援に来てくれているのを見て心が熱くなり、手を振って応援に答えた。


 その後、俺たち二軍はグラウンド整備を終えて整列し、鬼島監督の号令を待つ。


「これより、一軍との紅白戦を行う」


 声が響くと同時に、バックネット裏の扉が重々しく開いた。


 靴音ひとつで、空気が揺れた。一軍側のベンチから大きな歓声が上がり、自然と背筋が伸びる。

 

 そうして現れたのは――風格ある20人弱の選手たちだった。


 揃いのユニフォームに袖を通し、どの顔も堂々としている。歩くだけで空気が張り詰め、全員が見惚れてしまうほどの威圧感を放っていた。


 観客の中にはスマホを構える者もいて、「あれが一軍の主力だ」「やば、全員ガチで仕上がってるじゃん……」と、ざわつきが広がる。


 その中央を堂々と歩いてくる男が、神宮寺じんぐうじ 蓮。風貌はどこか王者のようで、淡々とした目つきはまるで人を値踏みしているかのよう。彼がこの早実学園の“一軍の主将”だ。


「……あれが神宮寺先輩。U-18代表の四番だぞ」


 隣で春日が低く呟いた。


 その神宮寺の隣に並ぶのが、猫宮カケル。小柄で細身の体格だが、軽やかで無駄のない動きはまるで舞うよう。彼が2年生にして“天才ショートストップ”と呼ばれる理由が一瞬で分かる。


 そして、もう一人。金城 流星。身長190センチ近いその巨体は、歩くだけで地面が揺れるようだった。一軍のエースピッチャーで、全国からプロ注目と言われる右腕。


 彼ら以外の選手達もいずれも風格がある選手達だったが、その背後から現れた男性――監督は、どこかくたびれたサラリーマンの様に見えた。


「鬼島監督、本日はよろしくお願いします」


「こちらこそ、よろしくお願いします。二軍、整列!」


 鬼島監督の号令で、俺たち二軍が整列し礼をすると、一軍も静かに礼を返す。その一糸乱れぬ所作だけでも、こっちが息を飲むほどだった。


 挨拶が終わると、一軍選手たちがベンチへと消えていく中、鬼島監督は厳粛な顔で2軍の面々を見た。


「お前たちの前には今、“越えるべき壁”が立ちはだかっている。だが、その壁に決して屈するな! お前たちは十分に強い!」


 監督の言葉が胸に突き刺さる。


 一軍の中でもとりわけ目立って見えた三人は――まさに壁だった。


 だが、決して乗り越えられない壁ではない筈なんだ。


「……お前ならやれるさ」


 小さく呟いた春日に、俺は頷いた。


「ありがとう。勝ちに行くさ」


 春日と俺は軽く拳を合わせあった。



 軽いシートノックとアップを終えた後、一軍との紅白戦――プレイボールの合図がグラウンドに響く。


 その瞬間、観客席からも一斉に拍手と歓声が上がった。


 俺はブルペンで、息を呑みながらグラウンドを見つめていた。


 先発マウンドには、二軍のエース、野村先輩が立っている。


 長身から投げ下ろすストレートは伸びがあり、実力的にも一軍で通用するレベルに近いと言われていた。


 その野村先輩に対し、一軍の先頭打者としてバッターボックスに立ったのは――猫宮カケル。


 背番号「1」、小柄な体格で、バットを軽やかに回すその姿はまるで少年のようだが、彼のセンスは全国区。中学時代から“天才”と騒がれていた。


「お久しぶり、野村先輩。あんまり緊張しないでくださいね。楽しくやりましょ」


 にこりと笑いながら猫宮が軽口を叩くと、初球――バットが鋭く振るわれた。


 快音。


 打球は左中間を鋭く抜け、猫宮は軽々と一塁を回って二塁をうかがう素振りを見せつつ、一塁に留まった。


「……速い」


 思わず口にした声は、俺だけじゃなかったはずだ。スイングも走塁も、まるで舞っているようだった。


 続く2番打者は、バントの構えを見せる。ピッチは甘くなかったが、彼はしっかりと転がし、猫宮を確実に2塁へ進めた。


 そして、3番打者。強振一閃、打球が三遊間を抜けそうに見えた瞬間、猫宮はすでに全力で加速していた。


 なんとかショートの好捕でバッターはアウトになったが――そのスキをついて、猫宮は滑り込むように三塁へ達していた。


 「マジかよ……あの間で……」


 驚愕とともに三塁を確認するが、猫宮は飄々とした表情でスパイクの土を払っていた。


 そして、迎える4番――神宮寺。


 彼がバッターボックスに入るだけで、空気が変わった。


 キャッチャーの佐野先輩と、神宮寺が軽く言葉を交わしていた。佐野先輩から聞いた所によるとは、中学やリトルで一緒だったと聞いている。


 初球。ストレート。野村先輩の一番の武器。


 その球を、神宮寺は――右中間へ鋭く弾き返した。


 打球はフェンス直撃。猫宮が生還し、スコアボードに1点目が刻まれる。


 観客からはどよめきと「うおおおっ!」という歓声が湧き起こる。


 「まだ1点……」


 そんな言葉を飲み込んだ瞬間だった。


 5番、金城。190センチを超える巨漢にして、絶対的エース。静かに立ったその佇まいには威圧感すらある。


 そんな事を考えていた数秒後。


 ――カキーン!


 打球音が空気を裂いた。


 初球。金城はフルスイングで、レフトスタンドへ一直線に運んだ。


 「……っ!」


 口をつぐんだ俺の耳に、観客のどよめきが届く。


 「入ったぞ!」「マジかよ、流石だな!?」と、悲鳴にも似た声が周囲から聞こえた。


 金城と神宮寺が戻り、スコアは3-0。


 ベンチで硬直する俺たちの中で、ただひとり野村先輩だけは、表情を崩さなかった。


 「……悪くない球だった」


 佐野先輩の呟きに、俺はハッとする。確かに、野村先輩の投球も、佐野先輩のリードも決して悪くはない。


 むしろ、理詰めで戦略的だったと言える。


 しかしその理屈を打ち破る程に一軍が規格外だったんだ、だけど――。


「俺も、あそこに立ちたい」


 そう強く思った。


 心の奥底で、静かに何かが燃え始めていた。


<ステータス>

 ===============

 名前:風間 拓真(Kazama Takuma)

 ポジション:投手(左投左打)

 球速:129km/h【↑】

 コントロール:D(51)

 スタミナ:D(54)

 変化球:ストレート2,カーブ2,

     スクリュー2,

     ジャイロカッター1

 守備:D(50)

 肩力:D(56)

 走力:E(49)

 打撃:ミートE(44)、パワーE(44)

 捕球:E(49)

 特殊能力:元天才・逆境○・

      ピッチングの心得(Lv2)・

      継続○・意外性・対強打者○・

      打撃センス○・ノビ〇・

      対ピンチ〇・スライディング・

      未来への一歩・

      選球眼


 成長タイプ:元天才型

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