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元・天才ピッチャー、転生先では俺だけが見える“野球スキル”で無双する 〜ケガで終わった俺が、ざまぁと完全試合で夢を取り戻す〜  作者: 猫又ノ猫助
新しい世界で

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第40話 一軍との練習試合の決定と久しぶりの連絡

 昼休みが終わって午後の授業を終えたあと、グラウンドに集合をかけられた俺たちは、整列したまま鬼島監督の前に立っていた。


「先日の試合でピッチャー返しを受けた佐伯の骨にはヒビが入っていた。少なくとも一ヶ月は安静だ」


 思いがけない知らせに誰もが表情を曇らせる中、監督の口調は淡々としていた。しかし、続く言葉と監督の横に現れた人を見て一気に空気が変わった。


「……よって、代わりに野村を一軍から呼び戻した。それに合わせて――明後日、一軍との紅白戦を行う事になった」


 一瞬、時間が止まったように感じた。俺も、春日も、小春も、他の選手たちも、一軍の文字に思わず固まる。


 その沈黙を破るように、鬼島監督の隣に立っていた野村先輩が歩み出た。ショートカットの髪で、鋭い目つきをしており、2軍で長年エースとして活躍していた選手だ。


「数日一緒に練習していた俺だから分かるが、一軍は“格”が違う。打者の対応力、走塁、守備の隙のなさ……一軍の連中は、凡打もアウトもすべて選手が考えながらゲームメイクしている。中でも、エースと主将は既にプロ野球のスカウトも注目するほどの逸材だ」


 静かに、だが確かに響くその声に、俺はゴクリと唾を飲む。


「でも、そんな彼らとの試合を経験できるのは大きい。何より、実力を見せれば一軍昇格のチャンスは開けるはずだ」


 野村先輩の言葉が終わると、今度は山岡先輩が前に出た。


「この紅白戦、三年の俺たちにとっては一軍入りの最後のチャンスだ。絶対に、這い上がってやるつもりで挑むぞ」


 拳を強く握りしめたその姿に、皆が息を飲んだ。


「……当然、チャンスは三年だけのもんじゃない。一、二年も遠慮するな。上に行きたいなら、先輩を押しのけてでも牙を剥け」


 その言葉に、俺の中で何かが大きく震えた。


 あの白川戦で味わった勝利の喜び。その裏で、まだ足りないと言う直感。


 再び甲子園の地を踏むには、まだまだ足りないところも多い。


「それじゃあ、練習開始!」


 監督の号令とともに、皆が一斉に散っていく。春日が「いよいよ来たな」と唸り、小春も選手をサポートするために駆け出していった。


 一軍との練習試合を告げられた後の練習は、これまで以上に密度が高かった。


 俺たちは一軍戦――そして、1軍入りという明確な目標に向かって、各々が牙を研ぐのだった。



 練習を終えて自宅に帰り、シャワーを浴びて、自室のベッドに腰を下ろした時。


 不意にスマホが振動した。


 ――永井さん


 その表示に、思わず目を見開いた。


 ずいぶん久しぶりだ。


 最後に連絡をもらったのは、永井さんが所属球団の1軍復帰の試合を見に行く直前で、それ以後は1軍として頑張る永井さんをテレビやネットを通じて見る事は有ったが、本人と電話で連絡が出来ずにいた。


『よぉ風間! 順調そうじゃねえか』


 通話に出ると、すぐに聞こえてきたのは、いつもの声。


 対峙しているわけじゃないのに、笑ってるのがわかった。


「え、もしかして俺の試合とか……」


『見たよ、ダイジェストで。ネットでもちょっと話題になってるぞ、“経歴不詳の無名左腕が、白川の打席を相手に0点に抑えた”ってな』


 くつくつと笑いながら、永井さんは続けた。


『お前のこと、信じてなかったわけじゃない。けどな、正直あのタイミングでマウンドに立たされるとは思ってなかったし、あそこまで抑えるとは思ってなかった……俺と練習し始めた時からは、想像も出来ない成果だ』


 俺はその言葉に、何て返していいか分からなかった。


 正直、先日の登板機会は実力で引き寄せたと言うよりは、運が良かったと言う方がシックリくる。


 それでもなお、スマホを握る手が、じんわりと熱を帯びる。


「でも、まだ何も成し遂げられてません。今度、丁度1軍との練習試合があって、そこで戦って存在感を示さないと――」


『――確かにまだ、お前の夢である甲子園の地から比べたら遠いかもしれない。だが、それでも今あげた成果はもっと誇っていいと思うぞ』


 柔らかな声色で、更に永井さんは続けた。


『それに、今お前が立っている場所にいられる奴なんて一握りだ。まして、全くの無名から這い上がってきたお前が、そこに立てたってのは努力の証だ』


 永井さんは、一呼吸置いてから言った。


『正直言って、今の風間の実力で一軍入りは、めちゃくちゃ難しい。そんな簡単な世界じゃないからな。だが――お前なら、この短期間でここまで成長したお前なら、できるってそう思わせてくれる』


 その言葉に、胸が熱くなった。


 俺を最初に見出してくれた人が、俺を信じてくれている。それだけで、達成できる気がした。


『だからと言って無理して練習すんなよ。ちゃんと俺が渡した練習メニュー通り鍛えてるか? 身体が資本なんだから壊さないようにな。緊張したら、一回深呼吸しろ。お前はもう、充分“スゴい”ところにいる。あとは……全力で楽しめ。俺は、お前が甲子園の地で活躍するのを期待して待ってるよ』


 永井さんの言葉が、心に沁みた。


「ありがとうございます、永井さん。俺、やってみます。いや――必ず、一軍に上がってみせます」


 その後も幾つか会話を交わし、新規の練習メニューの案を貰って通話を切ったあと、俺は天井を見上げて小さく息を吐いた。


 明日も、全力でやる。


 誰かに見られていようがいまいが、関係ない。


 仲間のために、自分を信じてくれた人のために、そして――俺と、"風間拓真"のために。


【プロからの助言】

【評価:S】

【永井 武からの評価が一定を超えました】

【ケガしにくさ△が解消されました】


<ステータス>

 ===============

 名前:風間 拓真(Kazama Takuma)

 ポジション:投手(左投左打)

 球速:128km/h

 コントロール:D(51)

 スタミナ:D(54)

 変化球:ストレート2,カーブ2,

     スクリュー2,

     ジャイロカッター1

 守備:D(50)

 肩力:D(56)

 走力:E(49)【↑】

 打撃:ミートE(44)、パワーE(44)【↑】

 捕球:E(49)

 特殊能力:元天才・逆境○・

      ピッチングの心得(Lv2)・

      継続○・意外性・対強打者○・

      打撃センス○・ノビ〇・

      対ピンチ〇・スライディング・

      未来への一歩・

      選球眼


 成長タイプ:元天才型

 ===============

100話以上ストックがありますので、順次投稿していきます。

2025/10/18 10時頃までに、70話まで投稿予定です。

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