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元・天才ピッチャー、転生先では俺だけが見える“野球スキル”で無双する 〜ケガで終わった俺が、ざまぁと完全試合で夢を取り戻す〜  作者: 猫又ノ猫助
新しい世界で

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第28話 練習試合と2軍の圧倒的な実力――そして

 グラウンドに響くプレイボールの声が、空を切り裂くように響いた。


 2軍の練習試合が、今まさに始まろうとしていた。


 今日の対戦相手は、関東でも名前の知られた中堅校。俺たちが通うこの学校のように、私学の名門とまではいかなくとも、県大会を勝ち上がる事もある、力のあるチームだ。


 そんな相手との実戦に、俺は──春日と並んで、ベンチからのスタートだった。


 とはいえ、ただの見学じゃない。


 1年生としては春日と俺、そして特待組から安藤、東大寺、大野の5人が選抜され、ベンチ入りを許された形だ。


「データ通り相手選手達は、身体小さめだな。バントとか足でかき回すタイプかね」


 俺の隣では、春日が事前に小春がまとめた相手チームの情報を元に、相手チームのシートノックを見ながら呟いていた。


 その横で、安藤は退屈そうに欠伸を噛み殺している。


「ふん、どうせすぐこっちが圧倒する。 参考にもならんわ」


 いつも通りの上から目線。彼にとって、今日の試合は“遊び”みたいなものらしい。


 一方で、大野は口を開かず、じっとグラウンドを見ていた。


 物静かなその横顔には、野球に対する真剣さがにじんでいる。


 ──みんな同じベンチにいても、見てるものは全然違う。


 俺は改めて、グラウンドに視線を戻した。


 守備に就く自チームの選手たち。ピリついた空気。公式戦ではないけど、試合の雰囲気は確かに本物だった。


 ここで何を見て、どう生かすか。


 俺たちの価値は、ベンチにいても問われている気がした。


◆◆◆


 試合は序盤から一方的だった。


 初回、こちらの上位打線が先発投手を軽々と打ち崩して4得点。そこからも毎回のようにランナーを出し、相手守備のミスも重なって、気づけば点差はどんどん開いていった。


 俺と春日は先輩たちに向かって声を出しながら、ベンチから見つめながらも相手投手の癖や守備の穴について話し合った。


 試合は、もう決まったようなものだった。


 関東でもそれなりに名の知れた強豪校が、ウチの2軍にここまで歯が立たないとは思いもしなかった。


 スコアボードを見上げると、数字が現実を突きつけてきていた。


 中堅校相手に9-0。これが今俺達が所属している2軍の実力だ。


「ったく……なんで俺たちが、こんな弱小との茶番見せられんだよ」


 ベンチで座っていた特待生の安藤が、あくび混じりにぼやいた。


 東大寺も「もう負けるわけないっしょ」と、同調するように文句を口にしていく。


 でも、俺と春日は違った。


「なあ、あのカウントから変化球使ったよな? それって……」


「相手はこの点差だからな、初球から強気に振ってくるって読んで釣ったんだろ」


 春日は真剣な目で試合を見つめながら、俺の問いに即答した。状況を分析し、吸収しようとする姿勢。見てるだけじゃ意味がない。どうせ試合に出られないなら、せめて得られるものを得たい。


 それが、俺たちのやり方だった。


 すると、6回表の守備が終わって先輩たちがベンチへと引き上げたタイミングで、鬼島監督がこちらに向かってきた。


「風間」


「はい!」


「次の守備から、お前が投げろ。7回表、マウンドに行くために肩作っとけ」


「──えっ?」


 俺は一瞬、耳を疑ったように目を見開いた。


 そして、ベンチ内にざわめきが走った。


 「なんでアイツなんだよ!」──その声を一際大きく上げたのは、やっぱり安藤だった。


「おい監督! それ、どう考えてもおかしいでしょ。特待の俺を差し置いて、なんであんな素人が投げるんすか!」


 だが、鬼島監督は目を細めて、静かに告げた。


「お前の意見など聞いていない」


 その一言で、空気が一変した。


 文句を言っていた安藤ともう東大寺が、言葉を失って押し黙る。


 俺は動揺を隠せず、ちらりと春日を見た。


「……マジで、俺が?」


「行けよ。チャンスなんだから」


 俺は一拍の沈黙のあと、拳を握りしめた。


「わかった。全力で投げてくる」


「よし。じゃあ、肩作るの手伝うぜ」


 春日は立ち上がり、グローブを嵌めながら言った。


 相手は確かに格上だ。点差は9点。誰が投げても、逆転されるわけもない場面。


 ──でも、それでもいい。


 今、この瞬間に立てるかどうかが大事なんだ。


 俺はブルペンへ向かい、春日がグローブを構えた。


 背筋が自然と伸びる。春日の目が、いつもより鋭かった。


「風間、緊張してるか?」


「初めての2軍のマウンドだしな、多少は緊張してないって言ったら嘘になるけど……」


 俺は深く息を吸って、笑った。


「でも、やるしかないって思ってる。調整、いつもの調子で頼むよ」


「任せとけ」


 春日はミットを軽く叩いた。


 この瞬間が、俺たちの“勝負”だ。


<ステータス>

 ===============

 名前:風間 拓真(Kazama Takuma)

 ポジション:投手(左投左打)

 球速:125km/h

 コントロール:E(47)【↑】

 スタミナ:D(54)【↑】

 変化球:ストレート2,カーブ2,

     スクリュー1

 守備:E(46)【↑】

 肩力:D(56)

 走力:E(46)【↑】

 打撃:ミートE(42)、パワーE(43)

 捕球:E(44)【↑】

 特殊能力:元天才・ケガしにくさ△・

      逆境○・ピッチングの心得(Lv2)・

      継続○・意外性・対強打者○・

      打撃センス○・ノビ〇・

      対ピンチ〇・

      スライディング・

      未来への一歩


 成長タイプ:元天才型

 ===============

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