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元・天才ピッチャー、転生先では俺だけが見える“野球スキル”で無双する 〜ケガで終わった俺が、ざまぁと完全試合で夢を取り戻す〜  作者: 猫又ノ猫助
新しい世界で

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第26話 2軍練習

 朝練終了の笛が鳴った時、俺は立ってるのがやっとだった。


 先日の紅白戦でのフル稼働の疲れは治った物の、今日の練習も地獄のように厳しく、全身が悲鳴を上げている。


 それでも、胸の奥にともった火に従い練習を続ける。


「風間、春日。ちょっと来い」


 そう声を掛けてきたのは、2軍監督の鬼島監督だった。


 グラウンドの隅に呼び出された俺たちに、鬼島監督は低い声で告げた。


「来週から始まる2軍の練習試合。そのメンバーに、お前らも入れた。特待からは3名、一般生からは、お前たち二人だけだ」


「……!」


 一瞬、言葉が出なかった。春日も驚いたように目を丸くしている。


 だが、鬼島監督はそのまま続けた。


「今日から練習試合メンバーとして、2軍の練習に合流しろ。今までの比じゃないくらいキツいぞ。覚悟しとけ」


「……はい!」


 そう返事をして鬼島監督が離れていった瞬間だった。


「おいおいおいおい、なんの冗談だよ」


 声の方を見ると、数人の特待生がこちらを睨みつけていた。中でも前に出てきたのは、あの安藤だった。


「一般生が二軍合流? はっ、枠の無駄遣いだろ。お情けか?」


「ほんとそれ。どうせ紅白戦でちょっと運が良かっただけだろ? 監督も俺を入れずにこんな奴を入れるなんて見る目ないぜ」


 特待生の一人がわざとらしくため息をつく。


「まぁ、この間みたいなお遊びの紅白戦じゃなくて実戦に出ればすぐにメッキが剥がれるって。一般生がどれだけ場違いかってことがな」


 挑発の雨あられ。


 その言葉の一つ一つが、トゲを持っているが俺は気にすることなく、まっすぐ安藤たちを見た。


「……それなら、お互いに試合で証明するしかないよな」


「ふん。理想だけなら誰だって語れる。まぁ、せいぜい後ろでベンチ温めとけよ。オレらが主役なんだからさ」


 鼻で笑う安藤を、春日が鋭く睨む。


「言ってろ。この前の紅白戦みたいに、大口叩いておいて引きずり降ろされたら余計に恥ずかしいぞ?」


 春日がそう言うと、安藤は顔を真っ赤にした。


「あ、あの日はお前らのチームにも特待組が居たからな、ソイツらのせいで負けただけだ! 単純な1対1の実力勝負なら、負けるわけねーだろ! オレたちは“選ばれた存在”なんだからな!」


 その“選ばれた”という言葉が、胸のどこかに火を灯した。


 ――選ばれなかった俺たちが、今度も絶対に結果を出してみせる!


 そんな気持ちを抱えたまま、ロッカールームへと向かった。


 *



 その日の放課後から始まった2軍の練習は、やはり雰囲気が違った。


 道具の一つ一つに手入れがされていて、ミーティングの声も的確で、無駄がなかった。練習メニューも徹底されていて、全体の動きに無駄がない。


 その中に混じるというのは、想像以上にプレッシャーだった。


 特に、ベンチに並んで挨拶をしたとき、真っ先に前に出てきたのは、2軍の4番――三年の山岡だった。


「聞いてると思うが、来週の練習試合に向けて、お前らもこっちで練習することになった。ここからは特待も、一般も、関係ない。ここで求められるのは結果だけだ」


 鋭い視線と、重みのある言葉に、特待生たちすら反射的に背筋を伸ばした。


「その代わり、結果が出せなきゃ、どんな肩書きだろうが容赦しない。覚悟はあるんだろうな?」


「……はい!」


 俺と春日は声を揃えて答えた。


 特待たちの視線が、いやらしく揺れる。


「はぁ? 威勢がいいのは最初だけだって」


「泣いて帰るなよ、ベンチ要員くんたち」


「足引っ張るなよ、なあ?」


 挑発されても、決して彼らには屈しない。


 ここは、俺たちが夢を見るために来た場所だ。


 練習はすぐに始まった。


 念入りなストレッチとキャッチボールを終えると、直ぐに守備位置ごとの練習が始まる。


「ピッチャー陣、マウンドへ!」


「はいっ!」


 鬼島監督の怒鳴り声とともに、選手たちは走った。

 俺も春日と顔を見合わせ、ダッシュでブルペンに向かう。


「……マジかよ。これが二軍のスピード感か」


 春日が小声で苦笑いを漏らす。俺も、内心同じだった。


 隣のマウンドでは、先輩たちが既にビュンビュンと球を投げ込んでいる。


「風間! 準備しろ!」


「はい!」


 俺は慌ててグローブを構えた。


 まずはストレートで――と思った瞬間、


「練習だと思って手ぇ抜くなよ。どんな一球でも、打者想定でいけ」


 山岡さんがすぐ隣で忠告してきた。


「はいっ!」


 気合を入れて、体重を乗せたストレートを投げ込む。


 ズバン!


 思ったよりもいい音がブルペンに響いた。


「ふっ……球筋は思ったよりいいな。球速は2軍ではやるには物足りないが」


 そう言って山岡さんは僅かに笑みをみせた、一応合格点らしい。


 そのあとも、次々とメニューが続いた。


 投手・内野手間の連携、バント処理、フィールディング、ランニング。


 すべてにおいてスピードと正確性が求められる。


 ミスをしたら即座に怒鳴られ、走らされる。


 特待だろうが、一般だろうが、誰も例外じゃない。


「おい安藤! そんなフィールディングじゃ、試合にならねぇぞ!」


「一球一球、意味を持って投げろ!」


 怒号が飛び交う中、俺も必死に食らいついた。


 気がつけば、ユニフォームは泥だらけ、呼吸も荒くなっていたけど――。


(これが……二軍か……)


 それでも、心の奥が熱くなっていた。


 これが本物の勝負の場だ。


 ここで生き残り――いずれは1軍で甲子園へ立つために、俺は、俺たちは来たんだ。


(絶対、喰らいついてやる……!)


 握りしめた拳が、小さく震えていた。


<ステータス>

 ===============

 名前:風間 拓真(Kazama Takuma)

 ポジション:投手(左投左打)

 球速:123km/h【↑】

 コントロール:E(45)【↑】

 スタミナ:D(51)【↑】

 変化球:ストレート2,カーブ2,

     スクリュー1

 守備:E(43)【↑】

 肩力:D(54)

 走力:E(43)

 打撃:ミートE(42)、パワーE(43)

 捕球:E(42)【↑】

 特殊能力:元天才・ケガしにくさ△・

      逆境○・ピッチングの心得(Lv2)・

      継続○・意外性・対強打者○・

      打撃センス○・ノビ〇・

      対ピンチ〇・

      スライディング・

      未来への一歩


 成長タイプ:元天才型

 ===============


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