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元・天才ピッチャー、転生先では俺だけが見える“野球スキル”で無双する 〜ケガで終わった俺が、ざまぁと完全試合で夢を取り戻す〜  作者: 猫又ノ猫助
新しい世界で

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第25話 プロの舞台

 紅白戦の翌日。全身の筋肉痛と疲労に包まれながら、俺は電車に揺られていた。


「……まだ、体バキバキなんだけど」


「当たり前だろ。あんだけ投げて打って走ってたらな」


 隣で春日が、俺の愚痴に呆れ顔で答える。その隣では、小春が嬉しそうに窓の外を眺めていた。


「でも今日は楽しみだよね! 永井さんの復帰戦って、貴重なタイミングだもんね!」


 ――そう。今日は、俺たち三人で永井さんの一軍復帰戦を観に行くことになっていた。


 永井さんから、「疲れてるだろうけど、来れる様なら」とチケットを手渡された。


 まさかとは思ったけど、それは――プロの試合のチケットだった。


 球場に着いた瞬間、思わず足が止まる。


「……うわ」


 でかい。


 目の前に広がる鉄骨のアーチ、漂ってくる芝生の匂い、スタジアムを包む地鳴りみたいなざわめき。すべてが、俺たちの知ってるグラウンドとは桁違いだった。


 スタンドに足を踏み入れた瞬間、空気が変わる。


「なんだよ、これ……」


 思わず漏れる声。ビジョンに映る選手たち、応援歌の嵐、そして響く歓声。


 全部が、生で、ここにある。


 指定された席に向かいながら、小春が俺の袖を引っ張った。


「見て見て! ここ、バックネットのすぐ裏だよ! すっごい!」


 席につくと、フィールドが目の前いっぱいに広がる。目が眩みそうなスケールだ。


「やば……マジでここ、別世界だ」


 自然と声が漏れる。プロって、ここまでの世界だったんだな。


 試合が始まると、俺たちはもう夢中だった。


 ピッチャーが投げるたび、打球が飛ぶたび、観客席が波のように揺れる。


 一つひとつの動きが、どれもエグい。球速、守備の反応、観客の熱。全部が違う。


 ピッチャーの投げる球や変化球の迫力、そして各選手の守備位置の変化などを鮮明に感じ取ることが出来た。


「見て! あのセカンドの守備範囲、エグくない!?」


「外野の返球もモンスターだな……肩どうなってんだよ」


「ほら、応援団の動きも合わせてる! すごい!」


 プロ野球という舞台が、ひとつの総合芸術みたいに感じられた。


 そして試合が終盤に差しかかった七回裏。


 2アウト、一・二塁。


『……代打、永井!』


 場内アナウンスが響くと同時に、球場全体がざわついた。


 ベンチから出てきたのは、あの永井さん。元一軍のトップバッター、そして今は再起をかけた俺たちの尊敬する人。


 自然と息を飲んでいた。


 初球――ボール。


 次の球も、ボール。


 そこから二球続けてストライクが入り、カウントは2ボール2ストライク。


「追い込まれた……!」


 小春の声が震えている。


 春日も手を握りしめたまま、無言で見つめていた。


 そして――次の球。


 永井さんは、迷いなくスイングした。


 打球は鋭く、一二塁間を破る。


「抜けたっ!!」


 球場が爆発したような歓声に包まれ、ランナーが一人、二人と帰ってくる。


 ベンチから飛び出した選手たちが、永井さんを迎える。


 スコアボードに「2-0」と刻まれた。


 ……それは、ただのヒットじゃなかった。永井武という男の、帰還の一打だった。


「……かっけぇな」


 気づけば、誰よりも真剣に俺は彼の背中を見つめていた。


 あそこに立っているのが、自分だったら。


 この歓声の中で、マウンドに立てたら――。


 そんな妄想が、胸の奥を熱くさせた。

 

◆◆◆


 試合はそのまま、2-0でホームの勝利。


 スタンドを立ち上がる観客たちの拍手の中、俺たちは静かに席を後にした。


 スタジアムの外に出ると、すっかり空は夜色に染まっていた。

 

 人ごみの中を歩きながらも、俺たちの間には、言葉にならない熱がまだ残っていた。


「……すごかったな」

 

 春日がぽつりと呟いた。


「あんな、マンガみたいな展開、ほんとにあるんだね」

 

 小春も感慨深そうに、夜空を見上げている。


「……なぁ」

 

 俺は、胸に湧き上がる感情を抑えきれずに口を開いた。


「俺も、あそこに立ちたい――いいや、絶対に立ってやる」


 春日が驚いたようにこちらを見る。


 でもすぐに、ニヤリと笑った。


「おう。当たり前だろ。……お前だけじゃねぇ。俺も、あそこに行く。抜け駆けはさせねぇからな!」


 小春もぎゅっと拳を握りしめる。


「わたしも……! 二人がプロになれるように、絶対にサポートするから!」


 風が、春の匂いを運んでくる。


 夜の空気はまだ少し冷たかったけど、俺たちの心は、確かに熱かった。


「よし。まずは、明日からな」


「練習、サボんじゃねーぞ、風間」


「サボるわけないだろ」


 そう言って、俺たちは顔を見合わせて笑った。


 小さな誓い。


 だけどそれは、未来へと繋がる、確かな一歩だった。


【未来への一歩を獲得しました。】

未来への一歩:練習時の能力上昇幅が3%上昇する。


<ステータス>

 ===============

 名前:風間 拓真(Kazama Takuma)

 ポジション:投手(左投左打)

 球速:122km/h

 コントロール:E(43)

 スタミナ:D(50)

 変化球:ストレート2,カーブ2,

     スクリュー1

 守備:E(42)

 肩力:D(54)

 走力:E(43)

 打撃:ミートE(42)、パワーE(43)

 捕球:E(40)

 特殊能力:元天才・ケガしにくさ△・

      逆境○・ピッチングの心得(Lv2)・

      継続○・意外性・対強打者○・

      打撃センス○・ノビ〇・

      対ピンチ〇・

      スライディング・

      未来への一歩【new】


 成長タイプ:元天才型

 ===============

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