第19話 紅白戦の告知とスクリューの最終調整
「来週末、1年全体の紅白戦をやる。これは再来週に控えた2軍の交流戦に向けての選抜試合だ。つまり――ここで結果を出せなきゃ、2軍の試合すらも見に行けないと思ってくれ」
二軍監督である鬼島のその一言で、グラウンドの空気が一気に引き締まった。
「マジかよ……」
「ここは絶対勝ちたいな……!」
ざわつく部員たち。顔を見合わせて、握った拳を見せ合う者もいれば、冷や汗を浮かべる者もいる。
そんな中、特待生のひとりが鼻で笑ったように呟いた。
「どのみち、一般組じゃどうせ選ばれねぇよ。数合わせだろ、数合わせ」
春日はそれを聞き逃さなかった。歯を食いしばりながら、風間の隣で小さく肩を震わせていた。
「……見返してやろうぜ、風間」
「言われなくてもな」
二人は拳を軽くぶつけ合った。
練習が終わったあとも、どこかソワソワと落ち着かない空気が部内を包んでいた。次の紅白戦が、全員にとってターニングポイントになることは間違いなかった。
「それにしても、あいつらの言い方……ムカつくな」
帰り道、春日は怒りを滲ませながらペットボトルの水をぐびりと飲み干す。
「でも、ああやって見下されるってことは、そんだけ怖がってるってことだろ。少なくとも、俺らに何か期待してるってことだ」
風間は笑いながらそう言った。
「……お前、強くなったな。いや、前から根性はあったけどよ」
「違うよ。今は……仲間がいるから、折れないだけだ」
その言葉に、春日は思わず吹き出した。
「ははっ……お前、たまにくせぇセリフ言うよな。でも、そういうとこ、嫌いじゃねぇよ」
◆◆◆
その日の夜。小春を加えた3人はまた永井の家に集まっていた。
「よーし、今日は本格的にスクリューの仕上げやるぞ。風間、お前の肩はどうだ?」
「問題ないです。投げられます」
永井の案内でトレーニングルームに入ると、春日と小春がきょろきょろと興奮気味に部屋を見回す。
「何度見てもマシンの数凄いよなぁ」
「まるでジムだよね……っていうか、こっちの方が設備いいまである!」
「お前ら、今日は遊びに来たんじゃないぞ」
永井が笑いながら言うと、春日と小春も笑って返すと、春日はプロテクターとキャッチャーミットを手に、小春はカメラを手にした。
「はいはい、ちゃんと撮るから安心して。ほら、フォーム撮る準備できてるから、風間くんいつでもどうぞ!」
風間は頷いて、深く息を吸い込んだ。ボールを握る指先に神経を集中させて、投球フォームをイメージする。
(落ち着け……肩の力を抜いて……スナップで回転を……)
「よし、いくぞ」
腕が振り切られ、ボールが空気を裂いた。少し不格好ではあるが、はっきりとした変化――スクリュー独特のカーブとは逆方向への落ちが、永井のミットに突き刺さる。
「……おぉ!」
春日が目を見開いた。
「撮れてるよ、ばっちり!」
小春がモニターを確認しながら笑顔を浮かべる。
「まだまだ荒削りだけど、間違いなくモノになってきてるな。努力の結晶だよ、これは」
永井は真顔でそう言った。
「……ありがとございます」
風間は照れ臭そうに言いながら、ボールをもう一度握る。
春日がぐっと親指を立てた。
「風間、お前なら絶対に物にできる。お前がスクリュー投げて、特待組を打ち取ってる姿が目に浮かぶよ」
「……あぁ。やってやるさ。絶対に、紅白戦で通用させる」
3人はその日、夜遅くまでスクリューの最終調整を続けていた。
そのボールは、たしかに風間だけの武器になり始めていた。
【変化球『スクリューボール』変化量1を獲得しました】
【スキル『ピッチングの心得(Lv2)』を獲得しました】
ピッチングの心得(Lv2):ピッチング練習を繰り返すことで、肩力・コントロールの成長効率が少し上昇する。
<ステータス>
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名前:風間 拓真(Kazama Takuma)
ポジション:投手(左投左打)球速:121km/h
コントロール:E(41)
スタミナ:E(47)
変化球:ストレート2,カーブ1,スクリュー1【↑】
守備:E(42)
肩力:D(53)
走力:E(42)
打撃:ミートE(42)、パワーE(43)
捕球:F(39)
特殊能力:元天才・ケガしにくさ×・逆境○・
ピッチングの心得(Lv2)【new】・
継続○・意外性・対強打者○・
打撃センス○・ノビ〇・
対ピンチ〇
成長タイプ:元天才型
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