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元・天才ピッチャー、転生先では俺だけが見える“野球スキル”で無双する 〜ケガで終わった俺が、ざまぁと完全試合で夢を取り戻す〜  作者: 猫又ノ猫助
新しい世界で

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第17話 練習開始

 放課後、荷物をまとめていた俺に担任の藤村先生が声をかけてきた。


「風間、ちょっといいか。……渡井の件だけどな」


 教室の隅、人目を避けるようにして藤村先生が小さく言った。


「彼には停学の処分が下される予定だ。詳細はまだ公表されていないが……校内暴力に関する証拠と証言が複数ある。君や、マネージャーの朝倉さんも協力してくれたそうだね」


「……はい」


「ありがとう。風間、折角一般生で野球部に入れたんだ。君のような生徒には、今後も野球に集中してほしい」


 それだけ伝えると、先生は足早に職員室へと戻っていった。


 ホッと胸を撫で下ろす暇もなく、教室のドアが開いて春日が顔を出した。


「おーい、風間。部活へ行こうぜ!」


「ああ、今行く」


 これまでの事に少しだけ片が付いた気がして、自然と口元がわずかに笑っていた。


 校舎を出て裏手の第2グラウンドへ向かう途中、小春が駆け寄ってきた。


「風間くん! よかった、体調悪くなってなかったみたいで……!」


「うん、ありがとな。今日は本当に助かった」


 照れ臭くなるくらい心配そうな顔をしていた。


 グラウンドに着くと、見慣れない光景が広がっていた。


 ジャージ姿の上級生たち、2軍所属の選手たちが並んでいる。その横には、初々しい新入生マネージャーたちの姿もあった。


 そして、ユニフォームの胸に「特待」の文字を刻んだ20名程度の生徒たち――特待生。誰もが優秀な実力と実績を持ち、将来を嘱望されている連中だ。


 そんな中の一人が、俺たちの方へと近づいてきた。


「おぉ、春日じゃん。まだ野球、諦めてなかったんだな」


 目元で笑っているその顔には、軽蔑と侮蔑の色がにじんでいた。


 「安藤……」


 春日が低く名を呼んだ。


 春日から、彼の事は少しだけ事前に話を聞いていた。


 安藤は春日と同じ中学シニア出身のピッチャーであり、かつてバッテリーを組んでいた。


 現時点での球速は140キロを超えて俺より遥かに速く、球種も3種類を巧みに使い分けて注目された選手だったようだ。


「特待で入れなかったくせに、まだしがみついてるのかよ。……ってことは、お前が連れてきたこいつも、同じくらいのレベルってことか」


 安藤が俺を顎で指す。


「まぁ、せいぜいコーチのボール拾いでもして、1年くらいで辞めないようにがんばれよ! お前らじゃ1軍どころか2軍のベンチにも入れないだろうからな!」


 その言葉を吐き捨てるようにして、安藤は去って行った。


「……あいつ、相変わらずだな」


 春日が静かに呟いた。


「気にするな。口だけで野球ができるなら、俺はもうプロだ」


 冗談交じりに言った俺に、春日が小さく笑った。


 そんな空気を切り裂くように、ガラガラ声がグラウンドに響いた。


「整列! 遅れた奴はその時点でグラウンド10週だ!」


 2軍の監督――鬼島だ。彼の見た目はまるで軍人で、小春の話では監督というより鬼教官の異名で有名らしい。


「今日からお前ら1年も混ざって練習に参加してもらう。『特待』だろうが関係ない。結果を出せなきゃ、全員ベンチの外だ。わかったな!」


「はいっ!」


 思わず背筋が伸びた。


 すぐにノック練習が始まった。地面をえぐるような打球が内野へ、外野へと飛んでいく。


 バウンドの変化が鋭い。捕るだけで体力が削られる。しかも、声を出さなかったり反応が遅れると、その瞬間に叱責が飛ぶ。


「反応が遅い! 頭を使え、頭を!」


「そこは前に出るんだよ、カスども!」


 鬼島監督の声が飛ぶたび、グラウンドの空気が重くなる。


 ただ、練習の厳しさの中にも、理にかなった指導があった。とにかく無駄がない。捕球から送球、送球から次の動作までの一つ一つに、意味があった。


 ――なるほど。これは、ただの体罰じゃない。


 叱咤の裏には、ちゃんとした「勝ち方」がある。


 周囲の選手たちも、最初は反発していたが、次第に無言になって集中し始めた。俺も気がつけば、無我夢中でボールを追いかけていた。


「はい、給水3分! その間に守備位置交代しておけ!」


 タイマーのような指示が飛ぶ。


 ふと横を見ると、小春がマネージャーの一人と一緒に汗拭きタオルとスポドリを準備していた。


 あの目は真剣だ。彼女の野球に対する情熱はやはり本物らしい。


 「……小春も、すげぇな」


 俺が呟くと、春日が苦笑した。


「なんだよ、惚れたか?」


「うるさい」


「まぁ、俺もちょっと感心してたところだ。あの子、やる気や知識があるだけじゃなくて、空気もちゃんと読めてる」


 春日はそう言って、ボトルの水を一口飲み干した。


「さあ、まだまだこれからだ。特待に舐められて終わりたくないなら、やるしかねぇぞ」


 春日の言葉に、俺は頷いた。


 ここは、野球をやる場所だ。


 誰が特待か、誰がボール拾いかなんて――グラウンドの上では関係ない。


 証明してやる。ここにいる意味を。


【スタミナが1上昇しました】

【守備が1上昇しました】

【捕球が2上昇しました】


<ステータス>

 ===============

 名前:風間 拓真(Kazama Takuma)

 ポジション:投手(左投左打)

 球速:121km/h

 コントロール:E(41)

 スタミナ:E(46)【↑】

 変化球:ストレート2,カーブ1

 守備:E(41)【↑】

 肩力:D(52)

 走力:E(41)

 打撃:ミートE(42)、パワーE(43)

 捕球:F(38)【↑】

 特殊能力:元天才・ケガしにくさ×・逆境○・

      ピッチングの心得(Lv1)・継続○・

      意外性・対強打者○・

      打撃センス○・ノビ〇・

      対ピンチ〇


 成長タイプ:元天才型

 ===============


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