第99話 準決勝当日
バスを降りた瞬間、熱気が全身を包み込んだ。
まだ朝だというのに、球場の空気は重たく、ぴんと張り詰めている。
昨日までとは違う。今日は、準決勝。全国まで、あと二勝。
今までになく、俺の肩にかかる空気が重い。
背後から聞き慣れた足音がして、春日が隣に並んだ。
「……緊張してるのか?」
気楽そうな口調。でも、あいつの目はいつも通り、試合の時の顔だ。
「……まあ、ちょっとな。準々決勝よりはマシだけど」
「へえ。俺は逆。この前より心臓バクバクしてる」
そう言って、春日はニッと笑った。
けど、その笑顔の裏にはちゃんと覚悟があるのが、最近わかるようになってきた。
「でもさ、楽しみでもあるよ。今日も、どんな球投げてくれるか」
「お前、どこまで前向きなんだよ……」
「そりゃあもう、俺は今日、風間の相棒だからな」
その言葉に、思わず足を止めた。
春日はそれに気づかず、先に歩いて行く。
肩越しに振り返りながら、声をかけてくる。
「置いてくぞ、エース」
──自然と、顔がほころぶ。
こいつと組むと、いつも自分を“ちょうど良く”保っていられる。
「わかったよ、行くってば……!」
俺はキャップのつばを軽く押さえて、再び歩き出した。
◇
球場内のダッグアウトに荷物を置くと、すぐにアップが始まった。
昨日と変わらぬ流れ。ストレッチから軽いキャッチボール。
だが、どこかチームの空気が違っている。全員の動きに、ひとつ芯が通っていた。
「いけるな、今日は」
金城先輩がグラウンドに目を向けながら呟いたのが聞こえた。
「俺も、そんな気がする」
春日は軽くボールを放り投げながら、俺に声をかけてくる。
キャッチボールの感触は悪くない。
腕がスムーズに振れる。ストレートの回転もキレてるし、変化球の指のかかりも上々。
「カーブ、ジャイロ、スクリュー、ストレート──全部試したけど、問題なしだ」
「なら、あとは“俺の構えたとこに”投げるだけだな」
「それが一番難しいんだけどな」
「はっ、わかってる。だから面白いんだろ」
少しずつ、心の中のざわつきが消えていく。
この空気、このやりとり。春日とだから、いつもの自分でいられる。
「よし、ピッチャー陣はブルペン入るぞ!」
コーチの声がかかる。
俺と春日は同時に頷き合い、ブルペンへと歩き出す。
──この試合も、きっと大丈夫。
そう思えるほどには、準備はできている。
後ろには春日がいて、仲間がいる。
もう、迷わない。
今日のこの試合も、「俺たちの野球」をするだけだ。
<ステータス>
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名前:風間 拓真(Kazama Takuma)
ポジション:投手(左投左打)
球速:135km/h
コントロール:C(66)
スタミナ:C(65)
変化球:ストレート2,
カーブ2,
スクリュー2,
ジャイロカッター4
守備:D(57)
肩力:D(57)
走力:D(55)
打撃:ミートD(51)、
パワーD(50)
捕球:D(55)
特殊能力:元天才・逆境○・
ピッチングの心得(Lv2)・
継続○・意外性・対強打者○・
打撃センス○・
ノビ◎・
強心臓・
スライディング・
未来への一歩・
選球眼・リベンジ・
負けないエース・
投打躍動・緩急◎
成長タイプ:元天才型
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