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いきなりゴミ屋敷を片付けろなんてハードモードすぎじゃないですか?

「しかし精霊タン。オレ汚部屋で死んだくらいだから、こんなお屋敷片付けれないよ……」


「まーびっくりするよね。でも大丈夫。君のいた時代より、こっちの時代はずいぶんシンプルだから」


「どういうこと?モノが少ないってこと? ……多量にあるんだけど?」


「それがね、君の時代って“お片付け本”がベストセラーになるほど、汚部屋が増えた時代なんだよ。

逆に江戸時代は汚部屋が少なかった。なぜかというと、なんでも売ったり貸したりする文化があったから。し尿、紙屑、灰……なんでも回収して活かしてた。信じられないだろうけど、ふんどしまでレンタルしてたんだよ」


「それが変わったのが、高度経済成長期。爆発的にモノが増えて、家庭内のモノの数が一気に膨れ上がった。さらにスーパーやコンビニの普及で、いろんな素材でできた包装容器が増えた。

そして90年代に“容器リサイクル法”ができて、リサイクルのために“分別”が必要になった。

……でもね、これはこれで正しいけど、高齢者や疲れ切った人たちは、もう何をどう捨てていいかわからなくなった。それで汚部屋やゴミ屋敷が激増したのさ」


「なるほど……たしかに俺も、一人暮らしはじめて“分別”の仕方がよくわかってなくて……それが汚部屋になった原因の一つかも」


「ちなみにね。君がいた部屋レベルなら、まず“ペットボトルだけ”を回収して捨てる。

次に“紙ごみだけ”を回収して捨てる。

その次に“弁当の容器”だけを捨てる――。

こうして“同じ種類だけ”集めて捨てるとね、スッキリしやすいのさ」


「えーそれマジ神なんだけど。精霊タンと死ぬ前に会いたかったわ……」


「えへ。まーここではペットボトルはないから、とりあえず“ジャンルごと”に分けて固めるのがオススメだよ」


「よっしゃ、やってみるか。えーっと……本や紙類はこの部屋に集めて、なんだこれスポーツ用具? これはこの部屋で、これは農機具……あー庭の倉庫に入れた方が……」


「いやいやいや。それはマルチタスクになってる。まずは“本や紙類だけ”を探して一か所に集めるの!

人間ってね、A→B→A→C……って仕事を切り替えるだけで“異常に疲れる”んだ。これは“スイッチングコスト”って呼ばれる。

だから、“今日は本や紙類だけ”にして、シングルタスクにする。それだけで、スッキリするし、楽になるよ」


「なるほど……それなら楽ちんだ。頑張るよ!」


――そして俺は、スポーツ用具、台所用具、大工道具、農機具……

毎日ひとつのジャンルだけを片付けていった。


あれだけあった大量のガラクタは、10日もしないうちに、すっきりと片付いてしまった。


「とりあえず片付いたんだけど……次はどうすればいい?」


「そうだね。次は“この世界でどう生活していくか”を考えるターンだ。

君にはこの世界の記憶があるよね? それをベースに“未来予想図”を描く。そしてそこから“必要のないもの”を選び出す。

不要なものは、“売る”んだよ。道具屋に持ち込んでもいいし、商業ギルドに登録して広場で売ってもいい。後者の方が高く売れるよ」


「商業ギルドか……でも登録って高くないの?」


「10G…君の感覚で言えば……10万円くらいかな。でも保証金だから、やめたら返ってくるよ」


「そうか。だったら登録する価値あるね……ありがとう精霊タン」


「いえいえ。整理整頓は、人生を整える第一歩ってことで。まー頑張って」


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