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浮世の水面
ぷくぅりと膨らんで
水から逃れて行きます
内側に包んだのは
空気ではなく命です
ふわりとした気泡の中で
命はくゆりくゆりと
舞い踊っております
近い遠い世界で
目には見えない者達が
再々演劇を演じていても
耳を澄ますことを知らねば
そこに形は無いのです
水連は赤い血を持っていて
時にとても美しいと言います
オフェリアが浮かんでいた
花の包む水面の中には
死が漂っておりました
ぷくぅりと気泡が膨らんで
命を包んで逝きます
何故か酷く眠いのは
凍った体に湛えられた
冷たい血液のせいなのか
分かりかねる浮世です




